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コーエーネット、ゲームソフトのレンタル事業“RentaNet”を5月下旬より展開――2008年度に1500店900億円市場を目指す

2006年04月25日 16時25分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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ゲームソフトの卸業を行なう(株)コーエーネットは25日、東京・日比谷の帝国ホテルにプレス関係者を集め、新たにゲームソフトのレンタル事業“RentaNet(レンタネット)”を5月下旬に運用開始すると発表した。発表会には同社取締役名誉会長の襟川恵子氏、代表取締役社長の伊藤通宏氏らが出席し、RentaNetの概要や新事業開始の背景などを説明した。

取締役名誉会長の襟川恵子氏
取締役名誉会長の襟川恵子氏

RentaNetはゲームソフトのレンタル業務を運営・管理するシステム(パッケージへの専用バーコードの添付やPOSシステムなどのハードウェア/ソフトウェア、およびネットワーク経由での顧客情報の管理やレンタル開始情報の配信などを行なうバックグラウンドシステム)をコーエーネットが参加店に提供するもので、コーエーネット自身がレンタル店を運営するわけではない。コーエーネットでは、ゲームセンターなどゲームに関心が高いユーザーが集まる場所への参加を呼びかけるとともに、ゲームメーカー/ゲームプラットフォームホルダー(ゲーム機本体メーカー)へも参加を呼びかけており、5月下旬の開始当初は約10メーカー/100タイトル程度の参加が見込まれている。ただし、現時点ではメーカー間の足並みをそろえるために、参加表明済みメーカーの公表は行なわれなかった。

代表取締役社長の伊藤通宏氏
代表取締役社長の伊藤通宏氏

コーエーネットがレンタル事業を行なう目的について、襟川氏は

  • 新しい市場の創造
  • ユーザーの利便性の向上
  • レンタルによる利益を、次の優れたゲーム開発への投資につなげる(メーカー、クリエイターに還元する)

という3つを挙げ、ゲーム市場全体の発展に寄与したいからと理由を説明した。

新市場の創造については、映画や音楽が、パッケージソフトの販売だけでなく、上映やレンタル、ダウンロードなど幅広いチャネルで(著作権者やメーカーの権利を守りながら)頒布できるのに対して、ゲームはパッケージ販売のチャネルしかなかった。レンタルのビジネスを広げることで、これまでゲームソフトの購入に積極的でなかったユーザーを新たに発掘し、市場を広げていきたいという狙いがある。

ユーザーの利便性としては、新製品を購入するより安く気軽に遊べること、遊び終わったソフトを手元に残さなくても済むことなどを挙げた。

襟川氏が特に強調したのは3点目の“メーカー、クリエイターへの利益還元”で、現在の中古ゲームソフト流通は、いくら売買があってもメーカーやクリエイターには利益が還元されない。しかし、中古ソフト販売を巡る裁判の中でゲームソフトにおいても貸与権が保護されることが明言されたため、レンタルによる利益還元を目的としたビジネスができると考えた。そこで、襟川氏は2005年3月にプラットフォームホルダーのソニー(株)、5月には米エレクトロニック・アーツ(Electronic Arts)社に相談を持ちかけ、レンタル事業の成立に自信を深めた。その後、国内のゲームメーカー/ゲームプラットフォームメーカー各社の賛同を得るまで時間がかかったものの、1年あまり経った今日、発表に至ったという。

ゲームレンタルの市場予測 ゲームソフトの新製品の売り上げ推移グラフ
ゲームレンタルの市場予測。2年後に1500店、900億円に拡大したいというが、「全国に行き渡るには1万5000店は必要だと思っている」(襟川氏)とさらに強気の発言も飛び出した参考資料としてゲームソフトの新製品の売り上げ推移グラフを掲示。多くのタイトルが3~4週程度でリピートがなくなる。その理由は中古販売が多いためだという

実際の価格設定などは、コーエーネット側でも試算中であり、あくまでも目安として公表された数字ではあるが、発売日から3ヵ月後までを“新製品”とした場合、新製品を1ヵ月貸し出した場合で5000円強、新品を購入した場合の8割程度の金額をみている、という。もっと短く4泊5日程度なら2700~2800円程度。3ヵ月を過ぎたタイトルなら4泊5日で900円を切る程度、1ヵ月でも3700~3800円程度を見込む。ただし、これは実際にレンタルする店舗でのポイントサービスなどもあるので、一概に決められるものではないとのこと。

また、その売り上げの配分については、コーエーネットがシステム運営のために10~20%程度、残り80~90%をショップとメーカー(クリエイター)が折半する形になるとしている。なお、襟川氏はこのビジネスにおいてコーエーネット側の利益を高くは見積もっていないとして、「10%のフィーもシステムの構築・運営に必要な経費。このレンタル事業が将来広がっていくために、1社(コーエーネットだけ)でやっていっていいものかと考えており、将来的にはRentaNetをコーエーネットの中に置いておくかどうかも含めて検討していく」と述べ、1社の事業としての拡大よりも業界全体の活性化に向けた施策としての面をアピールした。

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