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日本ビクター、120Hz表示の“高速液晶ドライバー”搭載37インチなどデジタルハイビジョン液晶TV“EXE”3製品を発表

2006年04月06日 19時06分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本ビクター(株)は6日、東京・新橋の同社新橋ビル内ショールーム“ビクターニッパーズギンザ”にプレス関係者を集め、地上デジタル/BSデジタル/110度CSのデジタル3波に対応したハイビジョン液晶TV“EXE(エグゼ)”シリーズの新製品として、46インチフルHD液晶パネル(1080i対応)を採用した『LT-46H800』、37インチハイビジョン液晶パネル(720p対応)で120Hz表示の“高速液晶ドライバー”を搭載してスポーツシーンなどでもチラツキを低減したという『LT-37LC85』、26インチハイビジョン液晶パネル搭載の普及タイプ『LT-26LC80』の3製品を5月上旬以降順次発売すると発表した。価格はすべてオープンプライス。主な特徴と編集部による予想実売価格は以下の通り。

ハイビジョン液晶TV“EXE”シリーズの新製品『LT-46H800』など
ハイビジョン液晶TV“EXE”シリーズの新製品『LT-46H800』など
LT-46LH800
フルHD対応46インチワイド液晶パネル採用
予想実売価格:58万円前後
発売時期:5月上旬予定
LT-37LC85
3製品中、唯一“高速液晶ドライバー”搭載
ハイビジョン対応37インチワイド液晶パネル採用
予想実売価格:38万円前後
発売時期:5月中旬予定
LT-26LC80
ハイビジョン対応26インチワイド液晶パネル採用
予想実売価格:21万円前後
発売時期:6月中旬予定
松嶋芳樹氏 山崎雅則氏
ディスプレイ事業グループ ディスプレイカテゴリー副カテゴリー長の松嶋芳樹氏ディスプレイ事業グループ ディスプレイカテゴリー商品企画室主席の山崎雅則氏

発表会にはディスプレイ事業グループ ディスプレイカテゴリー副カテゴリー長の松嶋芳樹氏、ディスプレイ事業グループ ディスプレイカテゴリー商品企画室主席の山崎雅則氏らが出席し、3製品に搭載した高画質化エンジン(同社では映像知能と呼称)“新GENESSA(ジェネッサ)”などの特徴を紹介した。

TV全体の世界需要予測
TV全体の世界需要予測

最初に松嶋氏が日本ビクターのTV戦略全般について、市場規模などを材料に説明した。それによると、日本ビクターの独自予測で世界全体のTV(ディスプレー)全体の需要は2004年の約1億5000万台から堅調に伸び続け、2008年予測では1億9000万台に成長。そのうち液晶パネルが占める割合は2004年の6%から36%に飛躍的に向上すると見ている。

国内のカテゴリー別TV構成比
今年2月までの1年間における国内のカテゴリー別TV構成比

その予測を裏付ける材料として、2005年3月から2006年2月までの国内販売台数/販売金額の推移(数値はGfk調べ)を紹介し、今年2月時点で液晶TVが台数で57.8%、金額で75.3%を占めるに至ったことを挙げた(PDPは台数6.8%で金額17.6%、CRTは台数35.4%で金額7.1%)。

日本ビクターにおける今回の新製品の位置づけ
日本ビクターにおける今回の新製品の位置づけ。D-ILAはリアプロジェクションTV。プラズマTVについては、一部ニーズがあることから、今後も販売を継続すると説明

その上で、ビクターとしての“ディスプレイ事業”の基本戦略を“ONLY1技術で先行差別化”とし、

  1. 大画面映像のさらなる高画質化の実現
  2. ラインナップ拡充と大型サイズへのシフト
  3. やさしい、使いやすい機能の強化

の3つを掲げた。

日本ビクターの商品差別化の提案、4項目 『LT-46LH800』の概要
日本ビクターの商品差別化の提案、4項目最上位機種となるフルHD対応『LT-46LH800』の概要
『LT-37LC85』の概要 『LT-26LC80』の概要
高速液晶ドライバー搭載の『LT-37LC85』の概要シングルや夫婦2人の家庭向けという26インチの『LT-26LC80』の概要

高画質化の実現として、今回発表された3モデルには新GENESSAを搭載している。これは例えば黒いコーヒー豆の上に鮮やかなコーヒーカップ&ソーサーを置いたような、暗い部分と明るい鮮やかな部分が混在する映像に対して、ガンマコントロール(明るさ補正)とカラークリエイション(色味補正)を最適化して、暗い部分もつぶれず、明るい部分は色鮮やかに見せるという技術。単純にガンマを上げると、暗い部分はつぶれないものの、明るい/鮮やかな部分が白くぼやけて見えてしまう。新GENESSAでは映像の輝度/色分布を60分の1秒単位で判別し、32bitCPUを内蔵した映像処理専用ICがリアルタイムで補正を行なっているという。さらに、従来のGENESSAのノイズリダクション回路は、HD映像もSD映像も同様に補正していたが、これを信号の種別ごとに切り分けることで、HD映像でもSD映像でもそれぞれに合ったノイズリダクションの効果が得られるとのこと。

新GENESSAの映像処理 ノイズリダクションの改良
新GENESSAの映像処理ノイズリダクションの改良

このほか、設置した部屋の明るさに応じてバックライトの輝度を変更する“EEセンサー”(従来製品から搭載)に、“オートピクチャー”機能を追加。これは映像信号の明るさを検出して、バックライトの輝度調整を最適化するもので、明るいシーンではそれに併せて輝度を下げることで目に優しく、省エネにもつながるとしている。

37インチモデルのみに採用された“高速液晶ドライバー”は、通常毎秒30フレームもしくは60フレームで描画する映像に対して、中間のフレームをリアルタイム生成し、毎秒120枚(120Hz)で表示することにより、特に動きの激しい野球やサッカーなどのスポーツ中継において液晶TV特有のにじみ/ぼやけを防ぐというもの。これは高速液晶ドライバー(IC回路)だけでなく、組み合わせる液晶パネルも日本ビクターが仕様を定めて特注して実現している(他社の黒挿入やインパルス駆動とは異なる方式)。フルHDの上位機種では、この画像生成プロセスにより高速処理が求められるだけでなく、液晶パネル側もそれに追随する高速応答が必要になるため、現在は37インチハイビジョンパネルでのみ実現可能とのこと。ただ、将来的には120Hz以上の高速描画やフルHDパネルへの展開も見据えて開発を続けているとしている。

リモコンの使い方をオンスクリーンで説明するヘルプ機能の例
リモコンの使い方をオンスクリーンで説明するヘルプ機能の例

使いやすさへの工夫としては、リモコンやオンスクリーンメニュー(ヘルプ機能)を改良している。リモコンには“簡単設定リモコンガイド”を搭載し、購入後の設置時に行なうべき初期入力などをウィザード形式で手順に沿って説明する“簡単設定ウィザード”、リモコンの各機能や使い方をTV画面と音声で紹介する“リモコンガイド”、取扱説明書にある解説のうちで特にユーザーサポートに問い合わせが多い項目を画面上で確認できる“マニュアル”などを用意している。また、デジタル放送ではTV番組に関連するデータ放送で番号やボタンを入力する機会が多いため、リモコンを立ててボタンを見ながら操作する機会が少なくないことから、赤外線発信部を上端と上部裏側の2ヵ所に用意して、垂直に持った状態でもTVに正しく発信できるように工夫している。

新開発の小型スピーカーユニット “テレビ「きき楽」”機能の仕組み
最上位モデルに内蔵した新開発の小型スピーカーユニット音声も聞き取りやすくなるという““テレビ「きき楽」”機能の仕組み

内蔵スピーカーにも改良を加え、米Waves Audio社の低音域再現技術“MaxxBass(マックスベース)”を採用している。これはほかの中高域の音に対して、低音域が小さくて音がつぶれてしまう場面で、低音を元の2倍の周波数(倍音)で発生させることにより、元の低い音があたかもはっきり聞こえるように再現される音響心理効果を使った技術。このほか、シーンごとの音量のばらつきを減らして、小さなしゃべり声を聞き取りやすく、逆に大音量の迫力シーンでも周囲に迷惑にならない程度に抑えるという“テレビ「きき楽」”機能を搭載。

このほかの主なスペックは以下の通り。

液晶パネル輝度
500cd/m2(3製品共通)
入出力端子
HDMI入力×2(LT-46LH800のみ)、HDMI入力×1(ほか2製品)、D4入力×1、コンポーネント入力×1、S-Video入力×2、コンポジット入力×3、アナログRGB入力×1、i.LINK入出力×2(4ピン)、Ethernet端子(10/100BASE-TX)×1、光デジタル音声出力×1、録画用出力端子×1、ヘッドホン端子×1など
消費電力
295W/待機時0.2W(LT-46LH800)
190W/待機時0.2W(LT-37LC85)
136W/待機時0.2W(LT-26LC80)
スピーカー出力
10W+10W
本体サイズ/重量
幅112.6×奥行き12.3×高さ77.5cm/37.6kg(LT-46LH800)
幅91.9×奥行き12.8×高さ65.2cm/21.5kg(LT-37LC85)
幅67.2×奥行き13.8×高さ51.9cm/13.3kg(LT-26LC80)

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