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日本電気とEMC、戦略的アライアンスを拡大――エントリー向けストレージ製品や次世代情報管理ソリューションの開発で協業

2006年04月05日 21時28分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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NECとEMCのアライアンス拡大に関する記者説明会

日本電気(株)(NEC)と米EMC社は5日、東京・日比谷の帝国ホテルにプレス関係者を集め、従来のEMC製品をNECのストレージ製品/サーバー製品と組み合わせて販売するSIer形態の協力体制を大きく拡大し、エントリー向けストレージ製品やミドルウェア製品の共同開発、さらに“次世代情報管理ソリューション”の共同開発、国内ストレージ販売ビジネスの強化で協業することを発表した。これにより、両社は互いの持つストレージ製品/技術を持ち寄り開発コストの削減と、製品やソリューションの販売機会の増加を世界規模で実現できるという。



NECの代表取締役執行役員社長の矢野 薫氏と、EMCの会長兼社長兼CEOのジョー・トゥッチ氏ら
左から、NECの代表取締役執行役員副社長の川村敏郎氏、代表取締役執行役員社長の矢野 薫氏、EMCの会長兼社長兼CEOのジョー・トゥッチ氏、グローバルマーケティング兼事業開発担当上席副社長のハワード・エライアス氏

発表会には日本電気から代表取締役執行役員社長の矢野 薫氏、代表取締役執行役員副社長の川村敏郎氏、EMCからは会長兼社長兼CEO(最高経営責任者)のジョー・トゥッチ(Joe Tucci)氏、グローバルマーケティング兼事業開発担当上席副社長のハワード・エライアス(Howard Elias)氏が出席し、アライアンスを拡大した狙いや両社で共同開発中という“次世代情報管理ソリューション”の片鱗などを紹介した。

今回発表された協業体制強化の4つの柱
今回発表された協業体制強化の4つの柱

元々NECの中は1997年からEMCの販売パートナーとして提携しており、今年で10年目を迎える。今回はそうした販売協力だけでなく、製品開発体制や相互の既存製品/機能の販売においても協力する。具体的に挙げられた協業内容は以下の4つ。

ストレージ製品の開発
今後需要が拡大すると見られるエントリー向けの次期ストレージ製品について、開発、生産、販売、サポートで協業。NECは“iStorage”シリーズ、EMCは“CLARiX”シリーズにそれぞれラインナップし、国内および海外で販売展開する。さらに、現在コンソーシアムで標準化が進められている次世代ストレージ・インターフェース・アーキテクチャー“Storage Bridgebay(ストレージブリッジベイ)”の製品化を進める
ミドルウェア製品の開発
NECの統合システム管理製品『WebSAM』、EMCのリソース管理ソフト製品群『Smarts』の相互接続性を強化して、相互供給を行なう。これにより、互いのサーバー/ストレージ/ネットワークまでリアルタイムなシステム管理が実現可能になる。
さらにフレームワークの統合を図り、それぞれの機能をコンポーネント化して互いのプラットフォームに組み込んで販売できるよう、技術研究を共同で行なう
コンテンツ管理ソリューションの開発
EMCのコンテンツ管理ソフトと、NECの業種別テンプレートや業務アプリケーションのノウハウを組み合わせて、新たなコンテンツ管理ソリューション(EMCでは“Enterprise Content Management”と呼称)を共同開発し、新たな市場展開を進める
国内ストレージSIビジネスの協業
従来の販売協力体制をさらに進めて、両社が持つストレージおよびILM(Information Lifecycle Management)のノウハウを集めて、販売、システム構築、保守サポートの協業を強化する。特にNECの持つ国内のサポート体制やノウハウをEMC製品のサポートにも展開し、両社の共同検証センターを設置する

ストレージ製品の開発協業 ミドルウェア製品の開発協業
ストレージ製品の開発協業ミドルウェア製品の開発協業
コンテンツ管理ソリューションの共同開発 国内ストレージSIビジネスの協業強化
コンテンツ管理ソリューションの共同開発国内ストレージSIビジネスの協業強化

これにより、NECは自社のストレージ製品ラインナップが拡充できるとともに、コンテンツ管理や運用管理などのソフトウェア面での強化が図れる。一方、EMCはNECの中のシステム管理技術やプラットフォーム技術との連携により開発期間やコストの低減が図れる。また日本でのストレージシェアの拡大、サポート体制の強化により国内および全世界での販売強化につながる、とそれぞれのメリットを説明した。

EMCの地域別シェア
EMCの地域別シェア。日本を除く各地域ではシェア1位を取っており、日本でのシェア拡大が同社の急務になっていることがうかがえる

両社が共同開発するという“次世代情報管理ソリューション”は、

  • ストレージの仮想化を含む“プラットフォームの最適化”
  • セキュアーな“情報管理”
  • 必要に応じて可視化できる“情報活用”

をフレームワークとして、経営視点から情報のライフサイクル、リスクマネジメント、迅速なリアルタイムマネジメントを図るというもの。ウェブページの増加、インターネットを流通する情報量(トラフィック)の増加、企業が情報を蓄えるストレージシステム容量が近年爆発的に増加しており、この管理と有効活用が企業に求められる=新たな市場として拡大する、と見ている。今回の協業では、このうちコンテンツ管理/リソース管理/次期ローエンド領域ストレージの3つの分野で共同開発を行なう。なお、共同開発するハードウェア(ローエンド向けストレージ製品)についてはNECがEMCの“プライマリーサプライヤー(最優先供給元)”になるという契約になっており、EMCはまずNECが製造したストレージ製品を販売し、その供給体制において不足などがあった場合に別の企業からの供給を受けることになる(専属/独占契約という形ではない)。同製品はNECもiStorageシリーズとして販売する。

NECの考える次世代情報管理ソリューション EMCの考える次世代情報管理ソリューション
NECの考える次世代情報管理ソリューションEMCの考える次世代情報管理ソリューション
両社による“次世代情報管理”共通ビジョン
両社による“次世代情報管理”共通ビジョンと共同開発の分野

奇しくもこの発表会の2時間前には、同じ場所(帝国ホテル内宴会場)でデル(株)の新社長、ジム・メリット氏のお披露目を兼ねた記者懇親会が行なわれており、記者からもEMC/EMCジャパン(株)とデルの関係に何か変化があるのかという質問が出たが、「EMCとデルはこれまでも良好かつ強固なパートナーシップを結んでいる。EMCとNECは今後もすべてのチャネルを通じて販売をしていく」と回答し、今回の協業の発表が、すぐにデルとの関係を改めることにはならないことを強調した。

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