このページの本文へ

アドビ システムズ、開発者向け“Adobe PDF&Flashテクニカルセミナー”を開催

2006年03月28日 16時39分更新

文● 編集部 佐久間康仁

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

アドビ システムズ(株)は28日、東京・品川の東京コンファレンスセンター品川にウェブ開発者、SIer(システムインテグレーター)などを集め、PDFとFlashをビジネスシーンに役立てる具体的な手法をレクチャーするセミナーイベント“Adobe PDF&Flashテクニカルセミナー”を開催した。会場はFlashやFlex技術を主体とした“RIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)セッション”、PDFによる安全性を高めた文書運用をレクチャーする“セキュアドキュメントセッション”、Flashによる動画配信やBleezeを使った電子会議/eラーニングなどを主体とする“Flashストリーミングセッション”の3つの会場が併設され、いずれも盛況ぶりを見せた。

横田 聡氏
FxUGの代表でクラスメソッドの代表取締役の横田 聡氏

午後1時に大ホールAでスタートした技術解説“Adobe Flex 2で作るWebアプリケーション”のセミナーでは、リッチクライアント技術の普及促進を目指す任意団体“Flex User Group(FxUG)”がその活動内容を報告するとともに、現在開発者向けにβ版を公開中で今年前半に発売が予定されているリッチインターネットアプリケーション開発ツール『Adobe Flex 2.0』の概要、1.5までとの違いなどを説明した。

FxUGの活動によるメリット
FxUGの活動によるメリット

講師役を務めたのはFxUGの代表でクラスメソッド(株)の代表取締役の横田 聡氏、(株)電通国際情報サービスの情報推進本部開発技術センター エンジニアの公門和也(こうもんかずや)氏、(株)リンコムのリンコムネクスト事業部チーフアーキテクトの中垣 茂氏の3人。

最初に横田氏がFxUGの活動内容について、「当初は自分のブログでリンク集やTIPS(チップス、知っておくと便利なミニ情報)を提供していたが、有志が集まってユーザーグループを結成することになった。活動目的はFlex 2.0とRIAに関する“情報交換”、技術者のための“コミュニティーの形成”、会社の枠を超えて“新しいモノを作り出す”ことで、必ずしもFlexにコミットするのではなく、AjaxなどRIAを実現するほかの技術との連携や比較検討も進めている」と紹介した。

公門和也氏
電通国際情報サービスの情報推進本部開発技術センター エンジニアの公門和也氏

公門氏は自身が開発現場に関わっている経験から、「国内での情報の流通量が少ない。問題にぶつかったときにGoogleで日本語サイトを検索しても、Flexについてはなかなか見つからない。それが問題解決に時間や手間がかかり、ようやく導き出した解にも品質面に不安がある、Flexでの開発はイタイ、という状況につながってしまう」と現状の問題点を指摘した。そして、その解決方法としてアドビに対しても、「米国ではアドビ社内のエンジニアが参加してすぐにレスポンスを返してくれる活発なML(メーリングリスト)がある。情報をぜひ広く無償で公開してほしい。その上で、サポートや保証が必要な場面では有償にするという“オープンソース”で行なわれているようなサポートモデルを提供してほしい」とリクエストを送った。

中垣 茂氏
リンコムのリンコムネクスト事業部チーフアーキテクトの中垣 茂氏

中垣氏はデモを交えながら、Flex 2.0と従来のFlex 1.xの違いを説明した。中垣氏の説明によると、「Flex 1.xはサーバーサイドの技術であり、クライアントのリクエスト(MXML形式)を受けてサーバー側で逐次コンパイルしてHTMLやSWFファイルを生成、クライアントに送り返していた。これではメモリーをいくら積んだリッチなサーバーを用意しても処理しきれない」と説明し、Flex 1.xがRIA環境として広く普及しなかった理由を説明。

Flex 1.xはサーバーサイド技術 Flex 2.0は事前にコンパイルしたSWFの配布が可能に プッシュ配信にも対応できる
Flex 1.xとFlex 2.0の違い。Flex 1.xはサーバーサイド技術で、サーバー負荷が高いため普及に至らなかったと説明Flex 2.0は事前にコンパイルしたSWFの配布が可能になったことで、サーバーにも開発者側にも負担が減るという従来のサーバーサイド技術も利用可能で、さらにプッシュ配信にも対応できるという

それに対してFlex 2.0ではコンパイル済みのSWF+HTMLを配布することができ、開発環境はFlex Frameworkと無償配布される予定のFlex 2.0 SDKで、サーバー側も開発者も負担が大きく軽減される。さらに、1.xと同様にサーバーサイド技術も用意されるが、これを機能強化してプッシュ配信やトランザクション処理(クライアントからの入力に応じてリアルタイムに結果を反映して出力)が可能になるという。

今後のFxUGの活動形態を図示
今後のFxUGの活動形態を図示

最後に横田氏が今後の活動について、「定期的な勉強会の開催、TIPSや解説付きソースコードの公開、そして情報交換のための飲み会を行ないたい」と説明。活動方針として、エッジな開発者のために濃い情報をやりとりする環境作り(これを「縦に伸ばす」と表現)と、Flex 2.0を使い始めようという入門環境作り(「横に広げる」)の双方のグループを設置したいと語った。さらに、Flashベースのプログラミング言語“ActionScript 3(AS3)”についても高く評価し、「Ajaxでできることは、ほとんどすべてAS3でも実現できるし、Ajaxにはできないこともある。例えば動画配信など。しかし、すべてをAS3で作ればいいと言っているのではない。必要なポイントではAS3を使って解決するという工夫が大切」と、集まった開発者にメッセージを送った。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン