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日本HP、プロフォトグラファー向けインクジェットプリンター『Photosmart Pro B9180』を6月中旬に発売

2006年03月22日 11時11分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本ヒューレット・パッカード(株)(日本HP)は22日、同社初の顔料系フォトインク“Vivera(ビベラ)”を採用したプロフォトグラファーおよびハイアマチュア向けのA3ノビ対応インクジェットプリンター『Photosmart Pro B9180』を6月中旬に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、編集部による予想実売価格は7万円弱。

『Photosmart Pro B9180』
『Photosmart Pro B9180』

海外では、米国で行なわれたカメラ関連製品のトレードショー“PMA 2006”で発表されており、日本でも23日から東京国際展示場(東京ビッグサイト)で行なわれるカメラ関連製品展示会“フォト イメージング エキスポ 2006(PIE 2006)”に先駆ける形で発表された。PIE 2006の同社ブースに参考出展される予定。

前面のHPロゴのパネルを倒すと厚紙など特殊用紙の手差しが可能になる
前面のHPロゴのパネルを倒すと厚紙など特殊用紙の手差しが可能になる

Photosmart Pro B9180は、9色の染料系フォトインクを用いたインクジェットプリンター『Photosmart 8753』(2005年2月発表、併売)の上位機種にあたる、A3ノビ用紙対応のプロフォトグラファー向けフォトインクジェットプリンター。印刷解像度は最高4800×1200dpi、印刷速度はモノクロ毎分28枚、カラー毎分26枚。ユーザー(プロフォトグラファー/ハイアマチュア)からの要望に応えて、新たに新開発の顔料系フォトインク(8色独立タンク方式(※1))を採用し、高耐光性と正確なカラーマネジメント、多様な用紙に対応したことなどが特徴。

フォトブラック/ライトグレー/マットブラック/シアン/マゼンタ/イエロー/ライトマゼンタ/ライトシアンの合計8色を同時使用する

8色独立の顔料系インク
8色独立の顔料系インク。インク滴はマットブラック/シアン/マゼンタ/イエローの4色が6pl、残り4色は4pl

日本HPは、2005年9月のインクジェットプリンター発表会で、プロユースからコンシューマー向けまで拡張性のある印刷技術を適用することで開発期間の短縮やトータルコストの削減を目指す“SPT(スケーラブル・プリンティング・テクノロジー)”を発表している。今回のPhotosmart Pro B9180もSPTを適用したもので、発表時点で話題を集めたインクの気泡を消して循環する高効率なインク供給システム“Active Air Management”は持たないものの、新開発の顔料系インクとそのインクの性質に合わせた効率的な供給システム、および各色1056ノズル/幅0.85インチの大型印刷ヘッドを採用する。

Photosmart Pro B9180が採用したSPT 新開発の顔料系Viveraインクに採用されたEETの図解
Photosmart Pro B9180が採用したSPT新開発の顔料系Viveraインクに採用されたEETの図解

新開発の顔料インクは、発色の源になる顔料をレジンコートし、“EET(電気立体カプセル化テクノロジー)”で周囲のレジンコートにマイナスの電荷を与えることで、互いのインクが反発し合って等間隔にインク滴を撃ち分けられる新技術を搭載。顔料インクの耐久性の高さによって、200年以上の耐光性、および防水/防汚性を実現するという。ただし、同社の高級用紙のひとつ『HPプレミアムプラスフォト用紙』には非対応となる。これはインク自身が紙に染み込んで発色・定着する“膨潤型用紙”と紙の上に定着する顔料系インクの相性がよくないためだとしている。

プロフォトグラファー/ハイアマチュアーが求める多階調の“黒”表現については、フォトブラック/ライトグレー/マットブラックの3種類の黒インクで対応する。9色染料インクを採用するPhotosmart 8753と比べると、ダークグレーが省略されているが、本体サイズや価格、発色などのバランスを考えて今回の3つの黒の組み合わせが最適と判断したもの。同社のテストでは、黒/グレーの階調を示す“L*(エルスター)最小値”が銀塩フィルムの8を大きく上回る3を記録。さらに引き締まった黒の表現が可能になったとしている。

“濃度式クローズループカラーキャリブレーション” 濃度式クローズループカラーキャリブレーションに用いるセンサーパーツとカラーチャート
“濃度式クローズループカラーキャリブレーション”の説明濃度式クローズループカラーキャリブレーションに用いるセンサーパーツとカラーチャート

また、プロユースでは、印刷枚数を重ねても発色に変化が起こらないよう、定期的なカラーキャリブレーションが必要となるが、Photosmart Pro B9180では本体のみでカラーキャリブレーションが行なえる“濃度式クローズループカラーキャリブレーション(CLC)”機能を新たに搭載している。これは専用紙(アドバンストフォト用紙)にカラーキャリブレーション用パターンを印刷して、その結果を内蔵センサーが自動的に読み出し、分析値を基に本体内部で吐出量の調整を行なうというもの。同社では初回セットアップ時、プリントヘッド交換時、および連続使用している場合は年1回程度のキャリブレーション実施を勧めている。

新静電式ドロップ検出システムの説明
新静電式ドロップ検出システムの説明

インクドロップの検出システムにも、新開発の“新静電ドロップ検出システム”を採用する。これは先のレジンコートにマイナスの電荷を与えるEETを応用した技術で、マイナスの電荷が通過している状況を読み取り、インクが正しく吐出されているか、インク切れやノズル詰まりによって正しく吐出されていないかを判断する。もし吐出されなかった場合は、予備のノズルがバックアップで吐出し、吐出できないノズルが増えた場合は、プリンタードライバーや本体の警告LED等を通じてユーザーにヘッドクリーニングを促す。

“HP Photosmart Pro Printプラグイン”の説明
“HP Photosmart Pro Printプラグイン”の説明

このほか、Windows/Mac OS向けにPhotoshopで印刷設定を1画面にまとめた印刷支援プラグイン“HP Photosmart Pro Print”、用紙に最低化したICCプロファイル“HP Color Center”など印刷機会が多いプロユーザーを支援するソフトウェアを同梱。オプションでRIP(ラスターイメージプロセッサー)ソフトウェアも販売予定で、ユーザー環境に合わせたプリントソリューションをSIer/VARなどが提供可能になるという。さらに、顔料系インクに最適化した新たな専用紙『HPアドバンスフォト用紙』を新たに発売する。これは保護層を2.5倍に厚くしたのが特徴で、セラミックコーティングにより光沢感やなめらかな表面を実現している。

“HPアドバンスフォト用紙”の説明 HPアドバンスフォト用紙のコーティング構造
“HPアドバンスフォト用紙”の説明HPアドバンスフォト用紙のコーティング構造

主なスペックは以下の通り。

印刷解像度
最高4800×1200dpi
印刷速度
モノクロ:最大毎分28枚/カラー:最大毎分26枚
給紙方式
前面給排紙/特殊用紙トレイ搭載(前面トレイからストレートに給排紙可能)
対応用紙サイズ
A3ノビ/A3~A6/B4~B5/封筒/ハガキ/往復はがき/L判/2L判など(76×127mm~330×483mm)
対応用紙種別
普通紙:60~90g/m2、フォト用紙:280g/m2、特殊用紙:最大1.5mm厚
給紙トレイ
普通紙200枚、フォト用紙60枚、カード20~40枚など
液晶ディスプレー
モノクロ(ステータス表示のみ、画像プレビュー非対応)
インターフェース
USB 2.0、10/100BASE-TX対応Ethernet
消費電力
最大29W/待機時6W
本体サイズ/重量
幅676×奥行き429×高さ234mm/17.1kg
対応OS
Windows 2000/XP、Mac OS X 10.3/10.4

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