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絶対的シェアナンバーワンが確保できる、25%シェアを目指す──キヤノン幹部IXY DIGITAL新モデルに大きな自信

2006年03月07日 17時38分更新

文● 編集部 小林久

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キヤノン(株)とキヤノン販売(株)は7日、都内で両社が同日発表したデジタルカメラの発表会を開催した。今回発表された製品は“IXY DIGITAL”シリーズ3モデルと“PowerShot A”シリーズの4モデルで、スペックなどの詳細は既報のとおり(詳細記事1詳細記事2)。ここでは、IXY DIGIALシリーズでは、2000年5月の初代機発表以来6年ぶりという発表会の模様をお伝えする。

会見風景
新製品を手に取る、芦澤氏(右)と真栄田氏(左)

発表会には、キヤノン販売から常務取締役でコンスーママーケティングカンパニーのプレジデントを務める芦澤光二(あしざわ こうじ)氏、キヤノンからイメージコミュニケーション事業本部DC事業部事業部長の真栄田雅也(まえだ まさや)氏の2名が出席。それぞれ新商品の販売戦略と開発のポイントに関して説明した。

芦澤氏はテーマとして“IXY DIGITAL全開宣言”を掲げ、2006年は同ラインナップが「NEXTフィールドに進む1年になる」と冒頭で語った。国内のデジタルカメラ市場におけるキヤノンのシェアは1999年は7位であったが、2000年にIXY DIGITAL効果で4位にアップ。2003年からは3年連続でトップとなっており、ポイント数も漸増している(2005年では21.4%)。世帯普及率が50%を超え、成熟期に入りつつあるデジタルカメラ市場であるが、市場としては依然として年間828万台弱(うち761万台がコンパクト機)の大きなパイがあり、国内のマーケットで、キヤノンの優位を堅持していく考えだ。芦澤氏は2006年の目標として「絶対的シェアナンバーワンが確保できる、25%シェアを目指す」と力強く語った。

市場規模 メーカーシェア 重視する要素
市場規模(出展CIPA)メーカーシェア(出展GFK Japan)重視する要素
購入したいメーカー 満足度
次に購入したいメーカー(左)、満足度調査(右)。ともに調査会社を利用したキヤノン独自の調査

国内の市場は「量から質へ変わりつつある」と芦澤氏は分析する。その中で、ユーザーが重視する項目は上位から順に画素、ズーム倍率、液晶パネルのサイズ、起動時間、そして2005年ごろから光学式手ぶれ補正(IS)、高感度対応の認知度と関心が大きく高まったとキヤノンでは見ている。そんな状況の中、満を持して投入されたのが、キヤノンの薄型カメラとしては初のIS搭載機『IXY DIGITAL 800 IS』だ。同機種では、光学式手ぶれ補正機能に加え、ISO 800相当の高感度撮影機能も装備した。また、従来機種でユーザーからフィードバックを受けている「オートホワイトバランスの精度の高さ」「モデル間で画質にばらつきがなく、安心感がある点」などを売りにしていくという。

ユニット
光学式手ぶれ補正に使用するユニットの比較。小型化した
構造 LSI
セラミックボールの使用と、LSIの1チップ化が技術的なチャレンジ

一方、真栄田氏は高画質の提供とデザインの進化の両面で今回のラインナップを紹介した。注目の手ぶれ補正機能は、補正レンズ機能にセラミックボールの3点支持を採用した点が特徴。光学式手ぶれ補正はすでに同社『PowerShot S2 IS』などでも採用されているが、IXY DIGITALの小型ボディーに収納するために、従来3チップで構成されていた制御チップを1チップ化。同時に補正レンズを稼動させるために利用するコイルも、むき出しのネオジウム磁石に変更した。それに伴って、補正レンズの3点支持に利用するボールもステンレスから、磁石に影響を及ぼさず、熱変形にも強いセラミックに変更。1ミクロン単位での精度を出すことに成功したという。

芦澤氏が「バトルロワイヤル状態」と表現するように、国内のコンパクトデジタルカメラ市場では非常に熾烈な競争が繰り広げられると同時に、脱落するメーカーも出つつある。これまで光学式手ぶれ補正、高感度対応に関しては静観の構えを保ってきたキヤノンが、その両方を採用したカメラを投入したことにより、これらの機能はコンパクトデジタルカメラの標準装備になった感がある。今年7年目を迎える新生IXY DIGITALを中心に、キヤノンが思惑通り、他社製品を引き離せるのか、はたまた大逆転が待っているのかは興味深いところである。

訂正とお詫び:記事掲載時に、芦澤氏の名前に誤りがありました。お詫びして修正いたします。(3月7日)

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