このページの本文へ

MacBook Pro 2.0GHz(MA464J/A)

“4倍速い”は本当だった!? ウワサのIntel Macを速攻レビュー

2006年02月23日 12時08分更新

文● 編集部 広田稔

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

『MacBook Pro』は、Intel製CPU“Core Duo”を採用した初のノート型Macだ。今回は上位機種の2.0GHzモデルでさまざまなテストを実施して、Macユーザーが一番気になるであろう動作速度を調べた。

MacBook Pro
『MacBook Pro』

検証の前に、まずアップルが公言している「4倍速い」というキャッチフレーズの根拠について知っておきたい。アップルによれば、PowerBook G4-1.67GHz(15インチ)とMacBook Pro-1.83GHzの試作機を使い、3Dグラフィックソフト『Modo』でレンダリングをテストした場合に、4.1倍相当のスコア差が確認されたとのこと。

ただし、3Dアクションゲーム『Doom 3』を使ったフレームレート計測やSafariのHTML読み込み速度などは、約2倍程度の差にとどまっている。つまり、Macの動作速度がすべて4倍に向上するわけではない。

また、アップルが言うiMacの「2倍速い」というキャッチフレーズは、iMac G5-2.1GHzとiMac-2.0GHzの試作機を使い、Modoでテストした際に2.6倍、Doomで2.3倍というスコア差が確認されたことが根拠となっている。iMacの「2倍」とMacBook Proの「4倍」には関連性がないため、MacBook ProがiMacの2倍速いわけではない。

比較対象として用意したマシンは、PowerBook G4-1.33GHz(以下、PowerBook G4)と、iMac-2GHz(以下、iMac)。PowerBook G4は2004年4月に発売された2世代前のモデルで、HDDを毎分7200回転のものに交換してある。iMacは1月に発売された“Core Duo”を搭載する製品だ。3台のマシンは、OSをMac OS X 10.4.5、メモリーを1GBに統一した。


ノートでも快適にHD映像を楽しめる時代に

“NASA Space Shuttle”の“720p”ムービーを再生し、QuickTime Playerの“情報を見る”画面と“アクティビティモニタ”で挙動を確認。左がMacBook Pro、右がPowerBook G4

今回のテストで、CPUの違い最も体感できたのは、H.264で圧縮されたHD解像度ムービーの、『QuickTime Player』での再生時。アップルがウェブページにて配布しているHDムービーをダウンロードし、PowerBook G4で見るとコマ落ちしてしまうが、MacBook Proではスムーズに再生された。

『アクティビティモニタ』を見ると、PowerBook G4では、QuickTime PlayerがCPUを90%前後使用しているが、それでも処理が追いつかずに“再生FPS”が本来のフレームレートの半分ほどに落ちている。

一方、MacBook Proでは、CPUの使用率が60~100%の間を推移し、“再生FPS”もオリジナルと同じ。MacBook ProのCPUにはコアがふたつ含まれるため、アクティビティモニタ上でのCPUの使用率は最大200%となる。つまり、余裕をもって処理しているということだ。ちなみにiMacでもHDムービーはコマ落ちなく視聴できた。


MacBook ProとiMacのスコアはほぼ同じ

次にいくつかのテストで処理時間やベンチマークスコアを計測したところ、どのテストでもMacBook ProとiMacは同じ傾向を示した。

システム起動時間
システム起動時間のグラフ。電源オンからメニューバーの項目が完全に現れるまでにかかった時間を計測した
iTunes 6.0.3で、38.8分(12曲/392.7MB)の音楽ファイルをAAC(ビットレートは128kbps)に変換するのにかかった時間を計測。変換中の曲の再生はオフに設定した

システムの起動時間と、iTunesによるAACエンコードのテストでは、MacBook ProとiMacがPowerBook G4より30%前後速く処理が終わっている。ひと世代前のマシンから乗り換える人なら、速さを実感できるだろう。

CINEBENCH
『CINEBENCH 9.5』は、3D画像のレンダリングをCPU、またはGPUによって実行し、そのパフォーマンスを数値で算出する。“Rendering”はCPU性能、“OpenGL HW-L”はGPU性能をそれぞれ表わしている

速度差が際立って確認できたものとして、ソフトが“Universal Binary”(ユニバーサル バイナリ)化された3Dグラフィックのベンチマークソフト『CINEBENCH 9.5』(シネベンチ)も挙げられる。Universal Binaryとは、PowerPC用/Intel製CPU用のふたつのバイナリを含むソフト構造のことで、どちらのCPUでもネイティブで動作できる。CPUによるレンダリング(グラフ赤)では、Intel MacがPowerBook G4の4倍ほどのスコアを出した。

2Dスクロール
『Adobe Photoshop CS』で縦1440×横640ドットの画像を開き、上から下までスクロールするのにかかった時間を計測した。なお、2Dスクロールに関しては、GPUが一定水準の性能に達して以来、計測結果に大差がつかない状況になっている
Unreal
『Unreal Tournament 2003』を使い、3Dグラフィックの描画性能を計測したグラフ。ゲームの表示サイズを1024×768ドットに、描写設定を最高に設定したうえで「flyby-citadel」のテストを実行した

一方、フォトレタッチソフト『Adobe Photoshp CS』や3Dゲーム『Unreal Tournament 2003』(アンリアル トーナメント)では、Intel Macの遅さが確認された。ともにUniversal Binary化されておらず、“Rosetta”(ロゼッタ)というエミュレーション技術を使って動作させているため速度が落ちてしまう。


バッテリーの持ちはいいがマシンの熱さがやや心配

CPU性能と合わせて、アップルが公表してないバッテリーの連続動作時間も調べた。AirMac/Bluetoothをオンにし、液晶モニターの明るさを最大に保つように指定。省電力関連やスクリーンセーバーの設定をすべてオフにした条件で、MacBook ProのHDD上にあるムービーを連続再生し続けたところ、1時間56分でスリープに移行した。ちなみに、『システムプロファイラ』の『電源』項目で調べられるバッテリーの完全充電時の容量は5480mAhで、充放電回数は“0”だ。

通常よりCPUやHDDへの負荷が高い状態なので、Safariでウェブブラウズするような用途では、もう少し動作時間が延びると推測される。ちなみにPowerBook G4を同じ条件で計測したところ、1時間37分でスリープに入った。バッテリーの完全充電時の容量は4113mAhで、充放電回数は“206”。MacBook Proは大容量バッテリーの恩恵を受けていると考えられる。

表面温度を放射温度計で計測した結果。左がMacBook Pro、右がPowerBook G4で、数字の単位は摂氏度数

長年のノート型Macユーザーなら、筐体の熱さも気になるところだろう。(株)カスタムの放射温度計『CT-2000』を使い、先のバッテリーの検証でスリープに入った直後のMacBook ProとPowerBook G4の表面温度を調べたところ、MacBook Proのほうが若干高い結果となった。

熱の感じ方に個人差はあるだろうが、筆者の印象では、体温に近い33~35度前後は肌を当てていると少し汗ばんでくる程度、40度前後は熱くて長時間触っていたくないと感じるレベルだ。電源オフ時の筐体はともに27度前後で、手を当てると金属の冷たさが感じられる。

特に左前パームレストの温度が上がっているため、長時間、負荷をかける作業では熱さが気になるかもしれない。ちなみに底面の温度は、MacBook Proの場合、キーボード手前が33~35度、奥が38~40度。PowerBook G4では、キーボード手前が31~35度、奥が35~37度。MacBook Proは底面も左側が熱い印象だ。



カテゴリートップへ

ASCII.jp RSS2.0 配信中