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EMC、企業の“情報統合”に向けたストレージ関連製品を発表――ハイエンド・ストレージ・アレイ、ストレージ仮想化機能など4製品

2006年02月09日 21時59分更新

文● 編集部 内田泰仁

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EMCジャパン(株)は9日、ILM(Information Lifecycle Management、情報ライフサイクル管理)の簡素化/低コスト化と企業の情報統合の推進を目的とした新製品として、ハイエンドのストレージ・アレイ、SAN/NAS向けの仮想化機能など、4つの製品および機能を発表した。

執行役員 マーケティング兼パートナー営業統括本部長の古谷幹則氏

今回の製品発表のテーマは“情報統合”。この日行なわれた記者説明会で製品の説明を行なった同社執行役員 マーケティング兼パートナー営業統括本部長の古谷幹則(ふるや みきのり)氏によると、現在の企業では、情報に関するセキュリティー/コンプライアンス/TCO増加といった側面から“情報=リスク”とする考え方が広まっているという。そこで同社では、ストレージ運用/管理の一元化とILM導入による“情報”の統合を提案し、リスクの低減を支援していくという。

この“情報統合”に向けて同社は、“Hyper Consolidation”という物理的な統合(=大規模ストレージ)と論理的な統合(仮想化技術による複数ストレージの統合化)の2つのアプローチからなる製品戦略を展開。今回発表された製品/機能はこれらの戦略に沿ったもので、それぞれの概要は以下のとおり。



『EMC Symmetrix DMX-3』『EMC Invista』『EMC Rainfinity Global File Virtualization』『EMC Centera』

ストレージ・アレイ『EMC Symmetrix DMX-3』の新構成モデル
物理統合向けの大規模ストレージ製品。今回は、最小構成96ドライブ/7TBのエントリーモデルと、500GBのLC-FC HDDを搭載した単一のストレージ・アレイで1PB(ペタバイト)超の規模に拡張可能なハイエンドモデルの2構成を新たに発表。1台の同製品を階層型ストレージ化することができ、アプリケーション統合だけでなく階層化に伴うデータ移動のオーバーヘッド低減も可能だという。
 
SAN仮想化機能『EMC Invista』
論理統合向け。さまざまなベンダー製のストレージ・アレイによるSANを仮想化技術により統合するための製品。統合化により可用性/利用率の向上、管理の一元化によるコストの低減などを実現する。また、サービスを止めずにデータの移動/コピー/移行が可能で、ハードウェアの入れ替え作業も無停止で実行できる。
 
NAS仮想化アプライアンス『EMC Rainfinity Global File Virtualization』
論理統合向けのアプライアンス。『EMC Invista』がSAN(FC接続ストレージ)用なのに対して、本製品はNAS(IP接続ストレージ)用。多ベンダー製品の統合化、使用率の最適化、管理の統合、無停止移行などを実現。新機能として、IPネットワーク上のさまざまなファイルサーバーに存在するすべてのファイルとファイルシステムの統合ビューを提供する“グローバル・ネームスペース管理機能”、IPネットワーク経由の同期型レプリケーションにより重要なファイルとファイルシステムの保護強化を行なう“同期型IPレプリケーション機能”を装備。
 
CAS(コンテンツ・アドレス・ストレージ)システム『EMC Centera』(機能拡張)
『EMC Centera』は、固定情報(フィックス・コンテンツ)の保存を目的としたストレージ。今回は、大容量化(対応HDDを従来の320GBから500GBに拡大、これにより『EMC Centera』1台あたり2TB~28TB(ミラー構成)の容量をサポート)に加えて、コンプライアンス対応機能の強化。イベントをトリガーとした保存期間設定、特別コンテンツの削除防止期間設定(証拠保全)、アクセス監査証跡ログ機能などのソフトウェア機能の追加により、法規制要件に従ってアーカイブしている情報のセキュリティー/柔軟性/管理性の向上を実現

代表取締役社長のナイハイゼル・エドワード氏

製品の発表に先立って登壇した代表取締役社長のナイハイゼル・エドワード(Edward J. Neiheisel)氏は、米EMC社および日本法人のビジネス概況や今後の戦略などを説明。これによると、米EMCの2005年通年の業績は、売り上げが対前年比17%増の96億6000万ドル(約1兆1000億円)で過去最高を記録し、純利益は対前年比60%増の14億ドル(約1600億円)となったという。

近年の大きな動きとして、同社ではソフトウェア企業の買収およびソフトウェア製品の強化を積極的に行なっているが、この流れについてナイハイゼル氏は「顧客のニーズに合わせてEMC自身も進化」した結果だといい、1990年代~2002年はストレージベンダーとして、2002年~2005年はストレージおよび情報管理ソリューションのベンダーとして、それぞれ活動してきたEMCは、今後は“情報のインフラ”を提供するベンダーとして、ハード/ソフト/サービスの3点を展開していくとしている。なお、同氏が説明中に示した資料によると、2005年上期に同社はソフトウェア企業としても世界6位にランクインしている。これに関してナイハイゼル氏は、「(2006年は)世界中のソフトウェア会社のトップ5に」なることを目指していくと述べた。

日本での展開については、従来のターゲット市場であったエンタープライズに加え、2005年以降特に取り組みを強化している中小/中堅企業へのアプローチをさらに強化するという。また、日本市場での反応については、コンプライアンス/ガバナンス強化の動きに関連して、「CIO(Chief Information Officer、最高情報責任者)だけでなく、経営トップマネージメントの関心も高まっている」と述べ、ストレージ/情報管理製品市場の今後のさらなる成長に期待感を示した。

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