このページの本文へ

仏AFP通信とソフトバンクグループ、読者が投稿できるニュースコミュニティーサイト“AFP BB News”を開設――「世論が形成できるメディアに」

2006年02月03日 21時45分更新

文● 編集部 伊藤咲子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

世界3大通信社の1つである仏AFP(Agence France-Presse)通信社、ソフトバンクグループのMOVIDA ENTERTAINMENT(モビーダ・エンターテインメント)(株)、(株)クリエイティヴ・リンクは3日、ニュース記事や報道写真を配信し、読者からの書き込みを受け付ける会員制ニュースコミュニティーサイト“AFP BB News”を開設したと発表した。サービス料金は無料。

左から、クリエイティヴ・リンク 代表取締役社長の古角将夫氏、(株)時事通信社 代表取締役社長の若林清造氏、AFP通信社 CEOのピエール・ルエット氏、モビーダ・エンターテインメント 取締役 兼 (株)ソフトバンクBB 取締役の孫 泰蔵氏
左から、クリエイティヴ・リンク 代表取締役社長の古角将夫氏、(株)時事通信社 代表取締役社長の若林清造氏、AFP通信社 CEOのピエール・ルエット氏、モビーダ・エンターテインメント 取締役 兼 (株)ソフトバンクBB 取締役の孫 泰蔵氏
AFP BB Newsのトップページ。会員制サービスなので、報道写真のサムネイルをクリックすると、ID/パスワードの入力が求められる
AFP BB Newsのトップページ

プロの記事を“素材”にブログが書ける

AFP BB Newsが提供するサービスは、ニュース配信と、それを題材にしたコミュニティー機能の2つ。ビジネスモデルは広告収入のみに頼るものだ。

ニュースは、AFPの記者が世界165ヵ国で取材した記事に加え、AFPと提携関係にある(株)時事通信社の記事、ソフトバンク グループと提携関係にある米ゲッティ・イメージズ社による記事なども含まれる。このように、複数の通信社と提携し、世界各国の事件を網羅的に、かつ速報で掲載することをサービスの特徴としている。海外記事は日本語に翻訳し掲載する。また、AFPによる報道写真を、著作権処理を行なった上で1日あたり約2000枚掲載し、高解像度の写真(最大解像度1024×1024ドット)も積極的に使用するという。そのほか、フランスのファッション関連のニュースを動画で掲載する予定だ。

AFP通信社などの記事を写真とともに掲載する 掲載する写真の解像度は、最大で1024×1024ドット
AFP通信社などの記事を写真とともに掲載する掲載する写真の解像度は、最大で1024×1024ドット

コミュニティー機能としては、個人用のブログ“Actiblog(アクティブログ)”が開設され、日記や雑感を書き込む際に、AFP BB Newsで配信されるニュースや写真を引用(コピー)できる。また、配信されているプロの記事に対してコメントを投稿することも可能。さらに“マイページ”が開設され、関心のある分野を予め設定することでその記事を優先的に表示したり、気になる報道写真をブックマーク登録したりできる。

ブログの画面 マイページのイメージ
ブログの画面例。AFP BB Newsで配信されるニュースや写真を引用できるマイページのイメージ

なお、FP BB Newsに掲載された記事は、13日からヤフー(株)のニュース配信サービス“Yahoo!ニュース”に写真とともに転載される予定。非会員は、ここで記事を閲覧できる。

非会員は“Yahoo!ニュース”で記事を読むことができる
非会員は“Yahoo!ニュース”で記事を読むことができる

数百万人の加入を目指す

駐日フランス大使のジルタ・ル・リデック(Gildas LE LIDEC)氏が祝辞を述べた
駐日フランス大使のジルタ・ル・リデック(Gildas LE LIDEC)氏が祝辞を述べた

フランス大使館の大使公邸で開催された記者発表会には、AFP通信社 CEOのピエール・ルエット(Pierre Louette)氏、(株)時事通信社 代表取締役社長の若林清造(わかばやし せいぞう)氏、モビーダ・エンターテインメント 取締役 兼 (株)ソフトバンクBB 取締役の孫 泰蔵(そん たいぞう)氏、クリエイティヴ・リンク 代表取締役社長の古角将夫(こかど まさお)氏などが出席した。モビーダ・エンターテインメントはコンテンツ制作/配信事業などを、クリエイティヴ・リンクは情報通信インフラの企画開発事業などを手がけている企業。



モビーダ・エンターテインメントの松岡保昌氏
モビーダ・エンターテインメントの松岡保昌氏。ソフトバンク(株)のブランド戦略室長を兼務

AFP BB Newsを運営する本部のリーダーは、メディアらしく“編集長”と呼ばれ、モビーダ・エンターテインメントの松岡保昌(まつおか やすまさ)氏が就任した。松岡氏はソフトバンク(株)のブランド戦略室長を兼務しており、ソフトバンク入社以前には(株)ファーストリテイリングで執行役員として“ユニクロ(UNIQLO)”ブランドの社外広告などを手がけたという経歴を持つ。

ルエット氏は、AFP BB Newsを「議論のできるメディア」だとし、一般市民の、特に若者のニュースへの関心が高まることを期待している。孫氏は、アクションが起こせるメディア、「世論の形成」を1つの目標としており、ページビューや会員数の目標などは非公開としながらも、ASCII24の取材に対しては「数百万人は獲得したい」と希望を述べた。



市民記者制度の即時導入は困難か

モビーダ・エンターテインメント 取締役の孫 泰蔵氏
モビーダ・エンターテインメント 取締役の孫 泰蔵氏

読者参加型のメディアといえば、“オーマイニュース”をはじめ、韓国ではすでにいくつかがビジネスとして確立している。しかしその多くは、ブログなどによるコミュニティー機能と、一般市民から記事の投稿を受付けて優秀作をマスメディアに掲載する“市民記者制度”が、サービスの両輪となっている。なぜAFP BB Newsではコミュニティーサービスのみに焦点を当てたのか、ASCII24の取材に対して孫氏は市民記者制度を採用するには「編集体制の整備」であるとか、高いハードルが存在することを理由として述べた。AFP BB Newsでは、“オフィシャルブロガー”制度を設け、事務局が任命した各業界のスペシャリスト50人が論説委員として記事を投稿する。今後はオフィシャルブロガーの人数を増やすとともに、一般読者をそれに任命することも視野に入れているという。また、順次サービスメニューや機能拡張を行ない、将来的には海外展開も視野に入れていると、孫氏は語った。



人気が集まるのはスポーツの記事と予想

なお韓国の読者参加型のメディアでは、政治経済分野の記事に最も人気が高く、読者から多数のコメントが寄せられている。AFP BB News編集長の松岡氏は、AFP BB Newsは高解像度の写真を掲載しているので、特にスポーツ分野の記事に人気が集まるのではないかと予測している。

運営者側は、スポーツの記事に人気が集まるのではないかと期待している マリア・シャラポワ選手の写真も高解像度で見られる
運営者側は、スポーツの記事に人気が集まるのではないかと期待しているマリア・シャラポワ選手の写真も高解像度で見られる


カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン