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日本IBM、中期経営戦略“Challenge 2008”の説明会を開催――顧客のイノベーションを支援する施策を実施

2006年02月02日 20時01分更新

文● 編集部 小西利明

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日本IBM 代表取締役社長の大歳卓麻氏
日本IBM 代表取締役社長の大歳卓麻氏

日本アイ・ビー・エム(株)(以下日本IBM)は2日、2006年以降の戦略に関する記者説明会を開催。同社代表取締役社長の大歳卓麻氏により、“Challenge 2008”と題された日本IBMグループの中期経営戦略についての説明が行なわれ、顧客企業のイノベーションを支援するための5つの施策が示された。

大歳氏はまず2005年の成果について述べ、同社のTV CMでも盛んに連呼されている“オンデマンド・ビジネス”(※1)が浸透してきたとして、電子工業のみならずさまざまな企業/団体での事例が増加していると述べた。その例のひとつとして大歳氏は、徳島県立中央病院が主体となって行なう電子カルテの共有システムなどを挙げた。またIBMグループ自身によるオンデマンドの実践として、パソコン事業を米レノボ社に売却した事例についても触れ、単なる事業売却ではなく両社の強み弱みを相互補完するため、“コンポーネント・ビジネス・モデル”と称するコンサルタント手法を用いて実行したとした。その成果として、パソコン事業売却を半年の期間で実行できたと述べた。

※1 市場や顧客ニーズなど、状況の変化に迅速に対応できるビジネスモデルのこと

また2005年の成果のひとつとして、同社大和研究所の変革も取り上げられた。ThinkPadの開発拠点として知られていた同研究所だが、現在は顧客企業のデジタル家電支援、スーパーコンピューターやオートノミック(自律)コンピューティングなど、顧客企業との協業やコンサルティング、先端技術開発など、さまざまな事業に取り組んでいることを述べた。

日本IBMのある種の象徴であった大和研究所も、2005年にはさまざまな変革を迎えた
日本IBMのある種の象徴であった大和研究所も、2005年にはさまざまな変革を迎えた

将来に向けた経営戦略として、日本IBMでは独自に、日本IBMグループの中期戦略として“Challenge 2008”を掲げて、事業を展開していく。“お客様にイノベーションによって成功していただくための、最も信頼されるパートナーとなる”を大きな目標として掲げ、そのために大歳氏は5つの施策を挙げた。

     
  • 顧客およびパートナーの新規開拓
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  • 高付加価値ビジネスへの注力
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  • 量販ビジネスの効率化
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  • グローバルのベストプラクティス活用
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  • グローバルに活躍できる人材の育成

大歳氏は同社が関与したイノベーションの実例として、ソニー・コンピュータエンタテインメント(株)や(株)東芝との協業による“Cell Broadband Engine”の開発や、(株)アートネイチャーの営業プロセス見直し、またIBMグループ全体でオープンスタンダードや特許情報公開の推進など、さまざまな分野でのイノベーション実現に向けた取り組みを挙げた。

コンシューマーにも身近なIBMによるイノベーション実現の事例としては、まず“Cell Broadband Engine”の開発が挙げられる。Cellを搭載するプレイステーション3は2006年春に出荷の予定だったが、現時点でも具体的なスケジュールについては明言されていない
コンシューマーにも身近なIBMによるイノベーション実現の事例としては、まず“Cell Broadband Engine”の開発が挙げられる。Cellを搭載するプレイステーション3は2006年春に出荷の予定だったが、現時点でも具体的なスケジュールについては明言されていない

5つの施策を実現するための実践として、日本IBMは2日に、顧客企業の製品開発支援の窓口となる専任営業部門“R&Dイノベーション事業部”の新設と、他企業と連携して日本IBMが持つ技術や知識を活用した製品開発や技術研究を協業で行なう“IBMエレクトロニクス・イノベーション・センター”を大和事業所内の東京基礎研究所に新設したことを発表した。R&Dイノベーション事業部は主に製造業の企業を対象に、研究開発や製造に関する支援を提供する営業部門で、製品開発のコンサルティング業務などを一元窓口となって引き受ける。当初は20名の人員でスタートする。エレクトロニクス・イノベーション・センターは、IBMの専門知識と顧客企業のノウハウを融合し、製品開発や先端技術研究におけるイノベーションを生み出すとしている。すでに松下電器産業(株)、三洋電機(株)、韓国サムスン電子社などとの協業がすでに始まっているとのこと。

新設部門のポジションと顧客企業との関係。新設部門は日本IBMが特に力を入れている、顧客企業との協業により、製品開発や研究開発にイノベーションをもたらす
新設部門のポジションと顧客企業との関係。新設部門は日本IBMが特に力を入れている、顧客企業との協業により、製品開発や研究開発にイノベーションをもたらす

また人材の育成については、優秀な新人を海外研修に送り出す制度を改善し、2005年比で10倍の80人程度を海外研修に出したいとの考えも示された。

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