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ピクセルシェーダーを一気に3倍増!――ATI、デスクトップパソコン向けハイエンドGPU“Radeon X1900”シリーズを発表!

2006年01月24日 23時02分更新

文● 編集部 小西利明

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Radeon X1900のボードを掲げる、ATIテクノロジーズジャパン代表取締役社長の森下正敏氏 X1900シリーズの1つである“Radeon X1900XT”のチップ
Radeon X1900のボードを掲げる、ATIテクノロジーズジャパン代表取締役社長の森下正敏氏X1900シリーズの1つである“Radeon X1900XT”のチップ

ATIテクノロジーズジャパン(株)(以下ATI)は24日、デスクトップパソコン向けのハイエンドグラフィックスチップ(以下GPU)『Radeon X1900』シリーズ(以下X1900)と、X1900シリーズを搭載するグラフィックスカード3製品を発表した。既存のハイエンドGPU『Radeon X1800』をベースに、ピクセルシェーダー部を3倍に増加させるなどによって、他社GPUを大きくしのぐパフォーマンスを発揮するとしている。発表と同時に出荷を開始している。

Radeon X1900のサンプルボード写真。ブラケットは2スロット分の幅がある。デジタル映像出力はDVI、反対側には電源コネクターも備える X1900搭載カードのラインナップ。通常タイプのグラフィックスカード、CrossFire対応の『Radeon X1900 CrossFire』、TVチューナー内蔵の『All In Wonder X1900』
Radeon X1900のサンプルボード写真。ブラケットは2スロット分の幅がある。デジタル映像出力はDVI、反対側には電源コネクターも備えるX1900搭載カードのラインナップ(ATI資料より引用)。通常タイプのグラフィックスカード、CrossFire対応の『Radeon X1900 CrossFire』、TVチューナー内蔵の『All In Wonder X1900』
X1900のブロックダイアグラム
X1900のブロックダイアグラム

X1900シリーズは90nmプロセスで製造され、トランジスター数は3億8000万個以上という巨大なGPUである。インターフェースはPCI Express x16。X1800シリーズのアーキテクチャーをベースとしているが、さらなる高速化のためにピクセルシェーダー部(および独立フロー制御ユニット)をX1800の3倍にもなる48基に増強。「映画のCGに使うようなシェーダーコードを実行できる」(同社デスクトップマーケティング担当のダニエル・タラノフスキィ Daniel Taranovsky氏)としている。またテクスチャーユニットの強化により、1度に4テクセル(テクスチャーデータ上のピクセル)を処理可能(X1800は1テクセル)に強化。これらにより、ピクセルシェーダーの演算能力はX1800の600億回/秒から1660億回/秒に強化された。同社の計測では、パララックス・オクルージョン・マッピング(高さ情報を加味したバンプマッピング技法の1種)のパフォーマンスでは、ライバルである米エヌビディア社のハイエンドGPU“GeForce 7800 GTX”と比較して、3~4倍のフレームレートで描画可能としている。



ピクセルシェーダーのパフォーマンス計測テストを行なえるベンチマークプログラム『ShaderMark 2.0』によるパフォーマンス計測結果。X1800はもちろん、GeForce 7800 GTXをもほとんどのテストで上回っている
ピクセルシェーダーのパフォーマンス計測テストを行なえるベンチマークプログラム『ShaderMark 2.0』によるパフォーマンス計測結果。X1800はもちろん、GeForce 7800 GTXをもほとんどのテストで上回っている

一方でバーテックスシェーダーは8基、レンダーバックエンド(固定レンダリング機能)は16基と、X1800と同等になっている。これについてタラノフスキィ氏は、パフォーマンスが要求されているのはピクセルシェーダー部であり、「ジオメトリーはボトルネックではない」として、性能と価格のバランスに配慮した結果であるとの見方を示した。

実際のゲームを用いた比較についても、一部ゲームでGeForce 7800 GTXに劣る場合はあるとしながらも、多くの人気ゲームでライバルの20~25%上のパフォーマンスを発揮するとしている。またX1000シリーズ共通の特徴であるが、HDR(ハイダイナミックレンジ)レンダリングと全画面アンチエイリアシングを併用できる点についても、ライバルにはない特徴であるとした。またテクスチャーフィルタリング技法の1つ“アニソトロピック(異方性)フィルタリング”の実装についても、ライバルが斜め方向の処理に問題があるのに対して、X1900はどの角度でも滑らかなフィルタリングが可能としている。

ATIによる、ゲームを用いたX1900 XTXとGeForce 7800 GTXのパフォーマンス比較。『DOOM3』と『Quake4』の除くタイトルでは、X1900が上回っている アニソトロピックフィルタリングを適用した場合の、X1900とGeForce 7800の違い。斜め方向の表現もX1900は自然であるとしている
ATIによる、ゲームを用いたX1900 XTXとGeForce 7800 GTXのパフォーマンス比較。『DOOM3』と『Quake4』の除くタイトルでは、X1900が上回っているアニソトロピックフィルタリングを適用した場合の、X1900とGeForce 7800の違い。斜め方向の表現もX1900は自然であるとしている
ATIのCrossFireとNVIDIAのSLI、それぞれのグラフィックスカード2枚差し規格を使用した場合のパフォーマンス比較。全般的な傾向としては1枚状態でのパフォーマンスと似ているが、多くのタイトルでCrossFireの方が高速となっている
ATIのCrossFireとNVIDIAのSLI、それぞれのグラフィックスカード2枚差し規格を使用した場合のパフォーマンス比較。全般的な傾向としては1枚状態でのパフォーマンスと似ているが、多くのタイトルでCrossFireの方が高速となっている

ビデオ再生のハードウェアアクセラレーションについても、X1000シリーズ共通のビデオ再生支援/高画質化技術“Avivoテクノロジ”を備えている。たとえばH.264コーデックを使うHD品質の動画再生などでは、GeForce 7800 GTXが多数のフレーム落ちを生じるような場合でも、X1900 XTXならば一切フレーム落ちを生じないという。

H.264再生アクセラレーションの比較。Pentium 4-3GHzとGeForce 7800 GTXでは多数のフレーム落ちが生じたビデオ再生を、同CPUとX1900 XTXではフレーム落ちを生じることなく再生できるとしている
H.264再生アクセラレーションの比較。Pentium 4-3GHzとGeForce 7800 GTXでは多数のフレーム落ちが生じたビデオ再生を、同CPUとX1900 XTXではフレーム落ちを生じることなく再生できるとしている

X1900を搭載するカードは以下の3種類がラインナップ(All In Wonder X1900除く)される。最上位の『Radeon X1900 XTX』は想定価格が649ドル(約7万4635円)と、価格もハイエンドになる模様だ。なお『Radeon X1900 CrossFire』は、同社のグラフィックスカード2枚差し規格“CrossFire”を構成するために必要なカードである。組み合わせるもう1枚はX1900 XTX/XTのどちらでもかまわない。

Radeon X1900シリーズのラインナップ
名称 Radeon X1900 XTX Radeon X1900 XT Radeon X1900 CrossFire
エンジンクロック 650MHz 625MHz
メモリーデータレート 1.55GHz 1.45GHz
搭載メモリー GDDR3 512MB
想定価格 649ドル(約7万4635円) 549ドル(約6万3135円) 599ドル(約6万8885円)

TVチューナーを搭載し、TVやビデオソースの視聴/録画が可能なAll In Wonder X1900は、北米市場をターゲットに発売される。カード形状は1スロット幅サイズのPCI Express x16カードで、映像入出力用のコネクターなどが付属するほか、『Adobe Premiere Elements 2.0』『Adobe Photoshop Elements 4.0』などが付属する。Windows XP Media Center Editionにも対応している。

低消費電力化のためかややエンジンクロックやメモリーデータレートは低めで、それぞれ500MHz/1GHzとされている。

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