英TTPCom社と英アーム(ARM)社は18日、都内で記者会見を開き、デュアルモード対応3G携帯電話機に関する両社の取り組みに関して説明した。
会見に出席した、TTPCom日本事務所代表の池田清秀氏(中央)、同シリコンBUの渡辺法明氏(右)、アーム取締役マネージングディレクターの内村浩幸氏(左) |
TTPComは、携帯電話機向けのベースバンド技術“CBEmacro”(Cellular Baseband Engine macro)のIP(知的財産権)をライセンス供与しているが、今回このCBEmacroを3G対応とし、従来別途入手する必要があったプロセッサー部分のIPとセットで提供できるようにした。CBEmacroが対応する通信方式はW-CDMA、GSM、EDGE、GPRS、HSDPA。プロセッサー部分はARM11ベースの『ARM1156T2』。すでにTTPComとCBEmacro 3Gのライセンス契約を結んでいる企業もあるという。
CBEmacroとARMプロセッサーを利用することで、携帯電話機の1チップLSIにおけるベースバンド部分の開発コストを大幅に低減できる | TTPComが試算した生産コストの比較グラフ |
TTPComの説明では、TTPComとARM両社のIPを利用することで、チップメーカーはベースバンド部分の開発コストを自社で開発した場合に比べ、約10分の1に抑えられるという。TTPComの試算では、ミドルレンジからハイエンドの携帯電話機に用いられる1チップLSIの開発コストはトータルで100~150億円ほど。そのうちベースバンド部分の開発が占める割合は50~70%となる。そのコストを削減すれば、そのぶんだけチップメーカーは他社と差別化するうえで重要なアプリケーション部分の開発に多くのリソースを割けることになる。
また、TTPComはアプリケーションプラットフォーム“AJAR”(アジャール)も合わせて提供する。CBEmacroにAJARを組み合わせることで、中国市場など、より低コストな携帯電話が求められる市場向けに、開発期間が短く、安価なソリューションを提供できるとしている。
記者会見には、TTPCom日本事務所代表の池田清秀(いけだ きよひで)氏、同シリコンBU:ビジネスデベロップメントマネージャーの渡辺法明(わたなべ のりあき)氏、英国ARMの日本法人であるアーム(株)の取締役マネージングディレクターを務める内村浩幸(うちむら ひろゆき)氏などが出席した。
会見では、CBEmacroを利用することで、チップサイズや消費電力がどの程度低減できるかといった質問も出たが、TTPComから具体的な数値や回路規模に関する情報は一切提供されなかった。唯一と言える情報は、池田氏が「各社の最新のダイと比較しても最先端で争える位置にいる」とコメントしたことのみである。詳細な情報は、2月にスペインで開催される“3GSM”において提供される見通しだ。