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NEC、電子カルテソリューション『MegaOakHR』を発表――グループ/パートナーとの協業強化と製品ブランドの統一も

2006年01月17日 19時10分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本電気(株)は17日、複数医療機関間での電子カルテの共有や電子紹介状交換などの医療機関連携機能を装備した病院向け電子カルテソリューション『MegaOakHR(メガオークエイチアール)』の製品化を発表した。同社従来製品より20%の導入コスト削減を実現したといい、販売価格は1床当たり約80万円、300床規模の場合では2億4千万円(税別)。販売開始は6月予定。またこれに関連して、NEC、NECシステムテクノロジー(株)、(株)シーエスアイの3社は、同様の連携機能を持つ電子カルテ関連製品を“MegaOakシリーズ”としてブランド統合し、3社が協力して医療機関の連携を支援していくという。

『MegaOakHR』の製品/機能構成(画面左)とソリューションパッケージ(右)。パッケージは、スタンダードな業務フロー/テンプレートを組み合わせた“BS”と、細かいカスタマイズが可能な“CS”の2パターンを用意

『MegaOakHR』は、医療機関の施設間連携と患者に対する“安心・安全”の提供をコンセプトに、複数の医療機関で患者の情報を共有することにより、高度な医療連携を実現する機能を装備したことが特徴。同社では新製品を、“Electronic Health Record(EHR、生涯健康情報)”を実現する次世代の電子カルテソリューションと位置付けているという。

『MegaOakHR』の画面。左はカルテの一覧表示、右は詳細情報表示。本製品の最大の特徴は電子カルテの共有/連携機能だが、このほかにも、顔イラスト(患者の同意を得られた場合は本人写真)や紙のカルテをイメージした過去の履歴の“量”の表示(患者がこれまでにどれくらいの回数の診察/診療を受けてきたかも判断材料となる)など、視覚的に一目で分かるような工夫が施されている

主な機能は、電子カルテの共有や電子的な情報伝達支援、医療ミス防止やインフォームドコンセント促進を目的とした分かりやすい情報表示機能などで、具体的には以下の機能を持つ。

電子カルテ情報の共有
同社および協業各社(NECシステムテクノロジー、シーエスアイ)の電子カルテ製品間も含めた複数医療機関間での電子カルテの共有を実現。
電子紹介状
画像や検査データを含む電子紹介状の交換機能を装備。電子紹介状は現在“医療情報システムにおける相互運用性事業”により標準化が進められており、同製品でも標準化後に対応予定。
暗号化
セキュリティーを考慮して各医療機関間で共有される電子カルテのデータは全て暗号化。今後は、電子署名やタイムスタンプなどの共通基盤整備状況に応じて、さらに高度なセキュリティー機能を導入予定。
顔イラスト自動表示
患者の性別や年令に合わせた顔イラストの自動表示により、姓名+性別/年齢を視覚的に確認し、確実な患者確認を可能とした。また、前回ログイン者の情報/患者情報(氏名/生年月日/禁忌情報など)を画面上部にわかりやすく表示し、情報管理と診療ミス防止を支援。
診療行為の進捗確認/指示の支援
診療行為の進捗や各種指示を画面上できめ細かく表示/管理。特定の疾患に対する診療行為を標準化した“ユニットパス”機能と呼ばれる標準フローに加え、疾患や患者状態に合わせて診療プロセスを臨機応変に組み合わせてフローを構成できる“ユニットパス”機能を新たに搭載。

この日発表された3社競合/ブランド統合による3社製品の位置付けおよび新名称

また、3社協業については、新たにブランド統合を行なった“MegaOakシリーズ”として、以下の製品を販売していくとともに、これらの製品の展開に併せ、技術支援も含めたサポートを一元的に提供する体制を整備していく予定だという。

MegaOakHR
次世代電子カルテシステム(NEC)
MegaOak-NEOCIS(メガオークネオシス)
診療サポートソリューション(NEC)
MegaOak-SyntheScope(メガオークシンセスコープ)
複数病院対応ウェブ電子カルテシステム(NECシステムテクノロジー)
MegaOak-MI・RA・Is(メガオークミライズ)
電子カルテシステム(シーエスアイ)

NEC 執行役員の岩波利光氏電子カルテに求められる効果や機能。今後は施設関連形がさらに強く求められるという

この日行なわれた記者発表会で3社を代表して説明を行なったNEC 執行役員の岩波利光氏によると、医療の質と安全性の向上へのIT活用や法制度面での電子化が求められている一方で、多くの医療機関では電子化がまだ進んでいない状況にあるという。同社らは、業界で取り組んでいる相互運用性試験/標準化作業の成果を盛り込んだ医療連携体制、患者の“安心・安全”を支援するシステム、医療現場に合った機能の追加による業務効率化の実現を、今回の新製品で実現していくとして、「患者の皆さん、医療に従事する皆さんにフォーカスし種々の技術を統合し、健康と医療に寄与していきたい」と述べた。

また、電子カルテの市場性については、先行している欧米での導入の進捗、世界的な電子カルテ導入の流れから、日本でも今後普及が進むと見られ、かつ普及が進まなければならないと指摘、高い市場性を持っているとの見解を示した。また、普及に向けては、ベンダーによるコストダウンの努力がさらに必要だが、これに併せて、国からも「医療機関に対する(電子カルテ導入および活用に対する)継続的なインセンティブ制度導入の検討を提案している」という。

なお、NECら3社の電子カルテ市場における2005年5月時点での国内シェアは24%で、37%の富士通(株)についで第2位。今後、新製品の展開により、シェア40%/第1位の獲得を目指すとコメントしている。

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