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【特別企画】韓国市民記者ビジネスを追うVol.2――SBSソウル放送

2006年01月30日 16時45分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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政治経済面への進出にも期待

PMPを見るビジネスマン
[ソウルの風景3]地下鉄車内で、パーソナルメディアプレーヤーの画面をじっと見つめるビジネスマン。録画したテレビ番組を見ているのだろうか。趙氏によれば、こうした姿は珍しくないとか
[編集部] 競合サービスの取材で、最も活発にコメントがやり取りされるのは政治面のネタだと伺いました。Uポーター制度で、市民記者が政治面や経済面に進出するのは難しいのでしょうか。
[キム氏] それは我々も期待しているところです。あと1年くらいすれば、まともな記事が書けるような人が出てくるのではないかと思います。

それと、Uポーター制度には、医者、学者、環境運動家など、その道のスペシャリストも多く参加しています。日常的に文章を書いている方も多いので、そういった方々からの投稿が政治経済面に広がる日は近いでしょうね。また我々編集部が、政治経済分野の有職者で記事が書けそうな人にUポーターとして参加するように働きかけることはやっています。
[編集部] 韓国で著名なブロガーは、大きな発言権を持っているのでしょうか。
[キム氏] 韓国では有名なブロガーのことを“論客”というのですが、彼らがカリスマ性を持っている理由は、マスコミのサイトに文章を載せているからなんです。
[編集部] 企業などが、市民記者を記者発表会に招くような文化はありますか?
[キム氏] まだ、そこまではいっていません。市民記者の中には、取材活動のために名刺を作ってくれとか、プレスパスを発行してくれと求める人もいますが、悪用の懸念があるので、運営者側は二の足を踏んでいます。
[編集部] Uポーターの原稿料を教えてください。
[キム氏] 取材活動費ということで原稿料を支給しています。採択された場合、ネットもしくは放送の支払いの規定に従い、3ヵ月に1回、まとめて支払っています。また月に1回、最も優秀な活動した記者に報奨金を支払っています。

原稿料は、人によって値段の差があるわけではなく、トップ記事、一般記事、放送に載った場合は追加でいくら――と、共通の基準を設けています。一般の記事としてUポーターの公式サイトで採択された場合は、1万ウォン(約1200円/1ウォン=0.12円)です。テレビで放送された場合は3段階で、すべてそのまま放送された場合は30万ウォン(約3万6000円)、少し紹介された場合は10万ウォン(約1万2000円)、コメント程度で紹介された場合は5万ウォン(約6000円)です。


インターネットが最も進歩的で総合的なメディアかもしれない

韓国SKテレコム社のショールームで見つけたテレビ電話サービス対応の携帯電話機。同社は2003年よりcdma2000 1x EV-DO網によるテレビ電話サービスを提供している
[ソウルの風景4]韓国SKテレコム社のショールームで見つけたテレビ電話サービス対応の携帯電話機。
[編集部] テレビ電話でレポートというのも将来的にはあり得るのでしょうか?
[キム氏] まだ具体的な事例はないですが、十分あり得る話です。テレビの取材というのは現場が非常に重要です。しかし、現在のところは、中継車や放送の装備がなければ報道できません。イラクの戦争の際に、テレビ電話を使ってライブでレポートする報道番組もありましたが画質が悪くて見られたものではなかったし、技術が向上することに期待しています。
[編集部] 携帯電話機で撮影した写真が番組で使用されることはありますか?
[キム氏] もうすでにたくさんあります。地下鉄の構内での転落事故とかですね、そういった事件の写真を十分活用しました。
[編集部] 最後にお伺いしますが、市民記者の活動に最も適している媒体は何でしょうか?
[キム氏] インターネットだと思います。インターネットは制限がなく、自由ですから。放送や新聞では、“基準”というものを持っているので、それを満たすにはまだ力不足な面がありますね。

個人的には、さまざまな媒体の中で、インターネットが最も進歩的で総合的なメディアだと思います。新聞のようにテキストや写真を掲載することができれば、テレビのように動画を流すこともできる。既存の媒体が持っているすべてを可能にしていますら。その一方で、新聞やテレビにはできないようなインタラクティブな仕掛けもできますし、時間や空間といった制限もありません。そういった意味で、非常に期待しています。




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