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アドビ システムズ、プロ向けビデオ編集関連ソフト4製品をバージョンアップ――Premiere Pro 2.0ではHD/SD/DVの混在編集が可能に

2006年01月18日 11時29分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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アドビ システムズ(株)は18日、プロ向けビデオ編集関連ソフト5製品をバージョンアップし、動画編集ソフト『Adobe Premiere Pro(アドビプレミアプロ) 2.0 日本語版』、動画加工ソフト『Adobe After Effects(アドビアフターエフェクツ) 7.0 Stanadard 日本語版』『同 7.0 Professional 日本語版』、音声編集加工ソフト『Adobe Audition(アドビオーディション) 2.0 日本語版』、DVDオーサリングソフト『Adobe Encore DVD(アドビアンコールディーブイディー) 2.0 日本語版』の4製品をバージョンアップすると発表した。同社の直販サイト“アドビストア”では、これらの単体製品、および組み合わせたパッケージ『Adobe Creative Suite Production Studio Standard 日本語版』『同 Premium 日本語版』の予約を本日開始し、2月上旬の発売を予定している。Production Studioの組み合わせおよび各製品単体の価格は以下のとおり。なお、特別提供版やアップグレード版は、ユーザー登録済み製品別に異なる価格体系が用意されているので、注意してほしい。

Adobe Creative Suite Production Studio Standard 日本語版(Windows版)

『Adobe Creative Suite Production Studio Standard 日本語版』のパッケージ
『Adobe Creative Suite Production Studio Standard 日本語版』のパッケージ
製品構成
Premiere Pro 2.0/After Effects 7.0 Standard/Photoshop CS2/Adobe Bridge/Adobe Dynamic Link/Adobe Stock Photos
通常版
15万5400円
特別提供版
9万2400円(Premiere/After Effects Standard/Photoshop CSの登録ユーザー向け)
アップグレード版
8万1900円(Adobe Video Collection Standardの登録ユーザー向け)

Adobe Creative Suite Production Studio Premium 日本語版(Windows版)

製品構成
Premiere Pro 2.0/After Effects 7.0 Professional/Encore DVD 2.0/Audition 2.0/Photoshop CS2/Illustrator CS2/Adobe Bridge/Adobe Dynamic Link/Adobe Stock Photos(太字はStandardとの違い)
通常版
26万400円
特別提供版
19万7400円(Premiere/After Effects Professional/Photoshop CSの登録ユーザー向け)
16万5900円(Creative Suite 2 Premiumの登録ユーザー向け)
アップグレード版
13万4400円(Production Studio Standardの登録ユーザー向け)
12万3900円(Video Collection Standardの登録ユーザー向け)
10万2900円(Video Collection Professionalの登録ユーザー向け)
アカデミック版
10万2900円
アカデミック 特別提供版
8万7150円(Creative Suite 2 Premium アカデミックパッケージの登録ユーザー向け)

Adobe Premiere Pro 2.0 日本語版(Windows版)

通常版
10万2900円
アップグレード版
8万4000円(パッケージ版Premiere LE/同 Elementsの登録ユーザー向け)
2万6250円(上記以外のパッケージ版Premeire全バージョン/Premiere Proの登録ユーザー)
3万9900円(バンドル版Premiere LE/同 Elementsの登録ユーザー向け)
アカデミック版
3万6750円

Adobe After Effects 7.0 Professional 日本語版(Windows版/Mac OS版)

通常版
15万5400円
アップグレード版
2万6250円(After Effects Professional/同 ProVersionの登録ユーザー向け)
7万1400円(After Effects Standardの登録ユーザー向け)
アカデミック版
6万2790円

Adobe After Effects 7.0 Stanadard 日本語版(Windows版/Mac OS版)

通常版
10万2900円
アップグレード版
2万6250円(After Effects Stanadardの登録ユーザー向け)

Adobe Audition 2.0 日本語版(Windows版)

通常版
4万950円
アップグレード版
1万4700円(Auditionの登録ユーザー向け)
アカデミック版
1万8900円

Adobe Encore DVD 2.0 日本語版(Windows版)

通常版
4万5150円
アップグレード版
1万4700円(Encore DVDの登録ユーザー向け)
アカデミック版
1万6800円

アドビ システムズのプロ向けビデオ編集製品は、2004年4月以来久々のバージョンアップとなる。今回の機能強化で製品全般に共通する大きなコンセプトは、

  • SD(標準解像度)からHD(高解像度)へ、SD/HDの混在編集に対応する
  • インターフェースを統一・統合化し、ワークフローの拡大や共同作業の充実を図る

の2点に集約される。前者では従来サードパーティー製のプラグインが必要だったHDV(HD仕様のDVフォーマット)をネイティブサポートしたほか、10bitカラーのビデオ、32bit HDR(ハイダイナミックレンジ)カラーおよびOpenGL APIのサポート、米AJA Video Systems社のプラグイン“Xena HS”サポートによるSD/HDフォーマットの混在編集が可能になるなど、放送業界を中心に需要が高まっているHD編集をサポートする機能強化が図られている。

Adobe Dynamic Linkのサポート
Adobe Dynamic Linkのサポートによって、After Effects 7.0で編集・加工した動画をレンダリングせずにPremiere Pro 2.0に読み込み、編集可能になった

後者では、新たに『Adobe Dynamic Link』という統合型ワークフローを提供する新機能(ソフトウェア)を開発した。これはAfterEffectsの“コンポジション”(現在編集している映像/音声/エフェクトの各トラックをひとまとめにした単位)をレンダリングすることなくPremiere Pro/Encore DVDから読み込むことができるようになった。これにより作業効率が飛躍的に向上するという。ただし、『Adobe Creative Suite 2』におけるファイル管理ソフト『Adobe Bridge』と同様に、このAdobe Dynamic Linkは『Adobe Production Studio』でのみ提供され、単体では販売されない(単体パッケージを個別に買い揃えても入手できない)。





Premiere Pro 2.0

『Adobe Premiere Pro 2.0』のパッケージ
『Adobe Premiere Pro 2.0』のパッケージ

Premiere Pro 2.0の主な機能強化点は次のとおり。

  • 最大4台までのマルチカム編集に対応
  • PDF形式を使ったビデオのレビュー(添削)が可能
  • カラーコレクション機能の強化、およびFlash Video形式の書き出しをサポート

マルチカム編集とは、1つの時間軸に沿った形でカメラを切り替えてアングルを変更し、ダイナミックな映像を制作するもの。音楽PV(プロモーションビデオ)などでよく使われる手法だ。複数トラックの映像をあらかじめ用意しておけば従来のPremiereでも編集操作はできたが、Premiere Pro 2.0では新たにマルチカム編集向けのウィンドウが用意され、4つまでの映像を同時にプレビューしながら、主画面に表示するカメラをマウス、もしくは1~4の数字キーで切り替えられるようになった。ユーザーにアンケート調査したところ、4つあれば十分とのことからこの仕様になったもので、4つの映像はSD/HD/DVの映像ソースを組み合わせることもできる。

最大4つのカメラアングルを切り替えられる“マルチカム編集”に対応
最大4つのカメラアングルを切り替えられる“マルチカム編集”に対応

PDFファイルにビデオを埋め込んでのレビューは、“Clip Notes”と呼ばれる機能で、作成した映像の確認や承認などに利用できる。貼り付けるビデオは、動画ファイルそのものをPDFに埋め込むか、インターネット経由で配信する“ストリーミング形式”(PDFファイルの容量が小さくなるため、メールのやり取りが楽になる)かを選択できる。視聴権限を管理するためのパスワード設定も可能だ。また、制作者が特に注目してほしい部分については、シーンごとに“コメント”を埋め込むことができ、レビュアーもタイムライン上にマークを打ってシーン単位で指示を入れることができる。

対応OSはWindows XP SP2。動作環境は、CPUがPentium 4-1.40GHz以上、もしくはSSE2対応のAMD製プロセッサー(HDV編集にはPentium 4-3.40GHz以上、HD編集にはXeon-2.80GHz以上のデュアルプロセッサーが必要)、メモリー512MB以上(HD/HDV編集には2GB以上を推奨)、HDD 800MB以上(ワークスペースに6GB以上の空き容量が必要、DV/HDV編集には毎分7200回転以上の高速HDDを、HD編集にはRAID 0環境を推奨)、ASIOもしくはDirectX対応オーディオインターフェース(サラウンドサウンド編集にはASIO対応マルチチャネルインターフェースが必要)。また、製品の継続利用にはアクティベーションが必須となる(インターネットへの接続環境が必要)。



After Effects 7.0

『Adobe After Effects 7.0 Professional』のパッケージ
『Adobe After Effects 7.0 Professional』のパッケージ

After Effects 7.0の主な機能強化点は次のとおり。

  • ユーザーインターフェースの改良
  • Adobe Bridgeとの連携機能の搭載
  • AfterEffects本体でのキャプチャー機能の搭載

ユーザーインターフェースは従来版のユーザーから、「パレットが多すぎる」という指摘があった。そのため、スペースを無駄にしないインターフェースに改良したという。具体的には、ひとつのウィンドウ(作業スペース)のサイズを変えると、ほかのパレットが自動的にサイズを変更して、不意に必要な操作パレットがほかのウィンドウに隠されて見えなくなる、といった心配がなくなった。また、複数パレットをひとつのウィンドウに重ね合わせてタブ切り替えできるインターフェースも搭載された。

After Effects 7.0の改良されたインターフェース
After Effects 7.0の改良されたインターフェース

Adobe Bridgeは当初より、画像やレイアウトイメージなどの静止画だけでなく動画や音楽といった制作者の資産(アセット)を管理/検索するためのツールとしてリリースされているが、新たにAfter Effects 7.0と組み合わせるとエフェクト付き動画のプレビューができるほか、XMP(メタファイル)による検索も行なえる。

After Effects本体でのビデオキャプチャーも、従来のユーザーから求められていた機能で、Premiere Proと同様のバッチキャプチャー(複数の取り込み開始/終了点を事前に指定して、一括取り込みを行なう機能)にも対応する。

Windows版の対応OSはWindows XP SP2。動作環境は、CPUがPentium 4クラス(Xeonデュアルプロセッサーを推奨)、メモリー512MB以上(1GB以上を推奨)、HDD 500MB以上(ディスクキャッシュ用に10GB以上、ワークスペースに1GB以上の空き容量を推奨)。また、製品の継続利用にはアクティベーションが必須。

Mac OS版はMac OS X 10.3.9~10.4に対応(10.4を推奨)。動作環境は、CPUがPowerPC G3/G4/G5(G5デュアルプロセッサーを推奨)、メモリー512MB以上(1GB以上を推奨)、HDD 500MB以上(ディスクキャッシュ用に10GB以上、ワークスペースに1GB以上の空き容量を推奨)。製品の継続利用にはアクティベーションが必須となる。



Audition 2.0

『Adobe Audition 2.0』のパッケージ
『Adobe Audition 2.0』のパッケージ

Audition 2.0の主な機能強化点は次のとおり。

  • ユーザーインターフェースの改良
  • レスポンスを向上した新開発の“ミキシングエンジン”を採用
  • 音源の周波数/パン(左右移動)/フェーズ(位相)のスペクトル表示に対応

ユーザーインターフェースはAfter Effects 7.0と同様に“ドッキングインターフェース”を採用し、ウィンドウのサイズ変更や移動に合わせてほかのウィンドウが追従/連携する。こうした変更結果の記憶/呼び出しも可能で、共有しているパソコンでも自分好みのインターフェースに切り替えて使うことができる。

Audition 2.0の新インターフェース
Audition 2.0の新インターフェース

スペクトル表示とは、数値を色のグラデーションに置き換えて視覚的、直感的に編集できるモードで、人間の可聴域のみに配色する“対数スケール”、音の大きさと左右チャンネルのバランスを周波数別に重ね合わせて表現する“プリズムモード”など複数のパターンが用意され、編集の目的に合わせて視覚効果を切り替えられる。

Audition 2.0で新たに搭載されたスペクトル表示のひとつ、“プリズムモード”の画面
Audition 2.0で新たに搭載されたスペクトル表示のひとつ、“プリズムモード”の画面

対応OSはWindows XP SP2。動作環境は、CPUがPentium M/III/4、もしくはSSE2対応のAMD製プロセッサー、メモリー512MB以上(1GB以上を推奨)、HDD 700MB以上(オーディオクリップ用に5.5GB以上の空き容量を推奨)、ASIOもしくはDirectX対応オーディオインターフェース(ASIO対応マルチチャネルインターフェースを推奨)。製品の継続利用にはアクティベーションが必須。



Encore DVD 2.0

『Adobe Encore DVD 2.0』のパッケージ
『Adobe Encore DVD 2.0』のパッケージ

Encore DVD 2.0の主な機能強化点は次のとおり。

  • ユーザーインターフェースの改良とフローチャートビューの搭載
  • スライドショー作成機能、チャプターメニューの自動生成機能の搭載
  • DTSオーディオ(6.1チャンネルのDTS-ES形式含む)のサポート(DVD書き出しのみで、オーディオ編集は不可)

ユーザーインターフェースは今回発表された他製品と同様の“ドッキングインターフェース”を採用。新たに搭載した“フローチャートビューモード”は、再生するチャプターの順番を矢印でつなぐことで編集・変更できるというもの。直感的に操作できる。

Encore DVD 2.0の新インターフェース
Encore DVD 2.0の新インターフェース

スライドショーは、Adobe Bridgeで管理している静止画/動画などを読み込んで並べるだけでなく、BGMに指定した音楽の長さに合わせて自動的に画像の表示間隔を計算して設定することができる。また、場面切り替え(トランジション)はPremiere Proが持つエフェクトメニューを利用できる。

対応OSはWindows XP SP2。動作環境は、CPUがPentium 4-1.40GHz以上、メモリー512MB以上(1GB以上を推奨)、HDD 1GB以上(コンテンツ用に5GB以上、ワークエリアに10GB以上の空き容量を推奨)、ASIOもしくはDirectX対応オーディオインターフェース。製品の継続利用にはアクティベーションが必須。

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