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【特別企画】韓国市民記者ビジネスを追うVol.1――オーマイニュース

2006年01月13日 23時10分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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社会意識が最も高い30~40代男性が市民記者の中心

朝のソウル特別市庁
[ソウルの風景]朝のソウル特別市庁
[編集部] 現在市民記者は何名いますか?
[ソン氏] 4万人を超えています。
[編集部] どういった性別、職業、年代が多いですか?
[ソン氏] 男性の、30~40代が一番多いです。
[編集部] インターネットのメディアなので、もっと若い、20代が中心なのかと思っていました。
[ソン氏] 韓国のインターネットユーザーは20代が最も厚いのですが、20代は記事を見ているだけという人が多いようです。実際に記事を投稿しているのは男性で、やはり30~40代です。韓国のこの世代というのは、育ってきた環境から社会意識が最も高い世代であり、自らの意見を発言したい世代なんです。


市民記者が得意とする取材分野

ソウル特別市庁内部
[ソウルの風景]ソウル特別市庁には、各行政区が発行する新聞や特定の世代向けの新聞、インターネットに接続されたパソコンなどが置かれている。携帯電話機は日本から持参したauの『A5514SA』。ローミングの設定により、音声通話やメールのやり取りなどが国内と同じようにできる
[編集部] 市民記者が得意としている分野を教えてください。
[ソン氏] 社会面です。社会のある事件に対する意見を書き込んだりとか、何か事故や事件が起きた時に現場に行って取材をしてきたりであるとか、あとは自分の身の回りの「こんないい人がいる」「こんないい出来事があった」という記事が人気があります。
[編集部] 現場に行くというのは、記者発表会や、事故、事件の現場だと考えていいですか。
[ソン氏] 記者会見であるとか、デモの現場であるとか、座談会や討論会であるとか、直接出かけます。
[編集部] 韓国にも記者クラブがあると思いますが、市民記者に対してもプレスパスが発行されるのでしょうか


ソウル・プレスセンター
[ソウルの風景]ソウルプレスセンターはソウル特別市庁のすぐそば
[ソン氏] オーマイニュースは「すべての市民は記者である」というモットーを守るために、プレスパス制度には反対しています。そういったパスがあって、特殊な人たちしか取材ができないのが間違いなのです。だから誰でも取材ができるようにそういったものをなくしたいと考えている。取材先などによって証明書がないと取材できない場合もあるが、そういったときは我々(編集部)が名刺を発行したり、取材先に電話をして段取りをつけたりしています。

メディアの立ち上げ当初は“市民記者”という単語がなじめなくて、取材に応じてくれないところも多くありました。でも今はオーマイニュースが有名になり、市民記者制度も安定しているので、何も証明がなくても「オーマイニュースの市民記者です」と名乗るだけで取材をさせてくれたり、市民記者の書く記事に対しても信頼されています。


取材先はネットメディアの影響力を知っている

[編集部] 企業によって、市民記者の取材を受け入れる姿勢に差はありますか。
[ソン氏] 企業に差があるということはありませんし、今までそういった差別を受けたことはありません。市民記者制度に対する取材先の個人の好感度の差はあるのですが、集団的に、組織的に拒否することは今までありませんでした。
[編集部] 私はインターネットメディアで7年程度の編集経験がありますが、日本でのことを考えると、それは少し意外ですね。
[ソン氏] やはり初期は難しいことがありました。でも、インターネットが発展し、インターネットの影響力が知れ渡った今では、取材を拒否したら大変なことになるということが分かっているのであまりないですね。逆にオンラインメディアに記事化されることを恐れる企業が多いんです。
[編集部] それは、例えば企業が隠したいことが公にさらされるとか、市民記者の記事や読者の議論が企業の望んでいない方向になる可能性があるからでしょうか
[ソン氏] インターネットは伝播力がものすごいので、一度載ってしまうと収集が付かなくなるということです。
[編集部] 現在のページビューもしくはユニークユーザー数を教えてください。
[ソン氏] それは調べておりません。
[編集部] 一度掲載した記事を削除してくれと取材先から言われたことはありませんか。
[ソン氏] 何回かありましたが、そういった要求を受け入れたことはありません。また、最近はそういう要求はありません。記事の取り消しができない理由は、記事を掲載すると、すぐ下にコメントが書き込まれます。記事を消去するとコメントも消えてしまうので、削除できません。また、仮にオーマイニュースが削除したとしても、記事が掲載されると瞬時にあちこちのサイトに転載されてしまうので、ニュースが消滅することは決してないのです。

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