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キヤノン、デジタル一眼レフカメラ向けの大判CMOSセンサーを詳解する“第三回キヤノン技術セミナーを開催

2005年12月07日 19時06分更新

文● 編集部 佐久間康仁

キヤノン(株)とキヤノン販売(株)は7日、東京・品川のCANON S TOWER(キヤノンSタワー)にプレス関係者を集め、デジタル一眼レフカメラ向けの大判CMOSセンサーに関する基礎知識や同社の取り組みを紹介する記者向け説明会“第三回キヤノン技術セミナー”を開催した。これは、ほぼ1年前の2004年12月に行なわれた第一回(インクジェットプリンターの高速・高精細印刷について)、今年6月の第二回(デジタルカメラの映像エンジン“DIGIC II”について)に続くもので、今回は同社が10年前から手がけているというデジタル一眼レフカメラ向けの撮像素子“大判CMOSセンサー”について、CCDとの違いや改良点などをレクチャーした。講師はキヤノンのカメラ開発センター副部長の原田義仁氏が務めた。

キヤノンのカメラ開発センター副部長の原田義仁氏
キヤノンのカメラ開発センター副部長の原田義仁氏

キヤノンは現在、デジタル一眼レフカメラ向けのCMOSセンサーとして

“35mmフルサイズ”(36×24mm)
搭載機種:EOS-1D Mark II/EOS 5D
“APS-Hサイズ”(28.7×19.1mm)
EOS-1D Mark II N
“APS-Cサイズ”(22.7×15.1mm)
EOS 20D/EOS Kiss Digital N

の3サイズを製造・出荷している。これは一般的なコンパクトデジタルカメラの1/2.5インチ(5.6×4.5mm)と比べると、その大きさ(面積比)は実に34倍以上(35mmフルサイズと比べた場合)になる。特にAPS-H以上になると、製造過程の露光(ステッパー)が1度では済まなくなり、APS-Hでは2回、35mmフルサイズでは3回必要となる(ただし、最近は技術改良によって2回の露光で済むようになったとのこと)。

同社が開発・製品化して出荷しているCMOSセンサーのラインナップ
同社が開発・製品化して出荷しているCMOSセンサーのラインナップ

デジタル一眼レフカメラでは、この大判撮像素子によって明部/暗部の白とびや黒つぶれ、ノイズなどの少ない“豊かな階調性”と、被写界深度の幅を持たせた“ボケ味”のある“幅広い奥行き表現”が可能になる、と具体的なメリットを説明した。

感度が高くなり、階調性を上げられる S/N比が上がる
感度が高くなり、階調性を上げられる一定量乗ってしまうノイズに対して、正しい色情報が増えるためにS/N比が上がる
明るい部分でも白とびしにくくなる ボケ味のある“絵作り”が可能になる
明るい部分でも白とびしにくくなる同じレンズを開放で撮影しても奥に行くほどボケ味のある“絵作り”が可能になる
大判CMOSセンサーのメリット


CCDとCMOSの違いとは?

以前は携帯電話機のデジタルカメラなどに“低コストを目的”としてCMOSセンサーが搭載されることが多かったため、CCDに比べてCMOSは価格が低い分、画質もよくないのでは、という先入観を持たれやすい。この点についても原田氏は、CCDとCMOSの構造の違いを分かりやすく説明した。

CMOSとCCDの動作原理 CMOSとCCDの構造の模式図
CMOSとCCDの動作原理CMOSとCCDの構造の模式図
CMOSとCCDの動作原理の違い

CCDは別名“非増幅形センサー(パッシブピクセルセンサー)”、CMOSは“増幅型センサー(アクティブピクセルセンサー)”と呼ばれる。これはそれぞれの動作原理の違いによるもの。CCDもCMOSも、光を受けて発電する(電荷を送る)“フォトダイオード”がRGB各色の光の強さを判別して映像を色信号に変換するという仕組みは変わらない。

CMOSとCCDの動作原理のまとめ CMOSの改良点 CMOSとCCDの構成の違い
CMOSとCCDの動作原理のまとめCMOSの改良点、ノイズ除去技術CMOSとCCDの構成の違い。構成される機能は変わらないものの、CMOSは部品点数が少なく、主要部品をオンチップ化できるなどのメリットがある
CMOSとCCDの違い

CCDは、フォトダイオードで発生した電荷をそのまま隣接する回路(垂直CCD)に転送し、さらに縦ラインごとにまとめて読み出し回路(水平CCD)が電荷(電気信号)を転送する。これをアンプで増幅してA/D変換し、最終的なデジタル信号として読み出す。製造プロセスなどのノウハウが蓄積されているというメリットがあるものの、消費電力が大きい、読み出しの高速化が難しい、周辺回路をオンチップ化しにくい、などの欠点もあるという。

一方CMOSでは、フォトダイオードごとにアンプを設け、電荷を電圧信号に増幅してRGB各色情報単位で読み出す。回路構造がシンプルなためCCDよりも省電力化が可能なほか、読み出す回路(チャンネル)の増加が容易なため、読み出しの高速化も期待できる(現在8チャンネル読み出しタイプまで実用化されている)。半面、アンプを各画素に設けるため画素ごとのばらつきが出る、設計上発生するランダムノイズが発生しやすい、といった問題もある。キヤノンではこの問題点を克服して、メリットを生かした大判CMOSセンサーの開発にこぎつけたと語った。

キヤノンのCMOSセンサーの構造 CMOSとCCDの高速化の例 第2世代のオンチップノイズ除去技術を搭載
キヤノンのCMOSセンサーの構造CMOSとCCDの高速化の例第2世代のオンチップノイズ除去技術を搭載
キヤノンのCMOSセンサーの特徴

画素ごとのばらつきは、固定パターンノイズ(FPN)と呼ばれるもので毎回決まったノイズ(不要な電荷、電圧)が発生する。これは画素に転送スイッチを形成して光を当てない状態の純粋なノイズ成分のみをあらかじめ検出しておき、撮影した信号から差分を撮ることでノイズ除去を実現している。

高ISO限界/低ISO限界を拡大 CMOSの製造プロセスを改善し、ノイズを低減 今後はカメラ以外にもCMOSを活用する市場を拡大していく
光を集める集光レンズの間隔を小さくし、フォトダイオードの面積を大きく取れることで、高ISO限界/低ISO限界を拡大できるというCMOSの製造プロセスを改善し、ノイズを低減今後はカメラ以外にもCMOSを活用する市場を拡大していく
キヤノンのCMOSセンサーの特徴、その2

ランダムノイズ(RN)は動作中に発生する熱が原因のノイズで、時間や動作回数などで変動する。これもFPNと同様の手法で、ノイズ成分のみを検出してノイズ除去が行なえるという。このほか、シリコンウェハーにCMOSセンサーを形成する製造上の要因で、重金属やダメージによる結晶の乱れによるノイズ発生(暗電流)も発生する可能性があるが、これはシリコン基板の内部のフォトダイオードを形成する“埋め込みフォトダイオード構造”などの製造プロセスの改良と製造工程の徹底管理によって、極力低減できたと説明する。


同社では、今後CMOSセンサーの新たな用途を高画質化が進むカメラだけでなく、映像を検知・認識して役立てるセキュリティーや車載、ロボットなどの市場へと拡大するべく、技術の改良とアプリケーション(応用分野)の研究を進めるとまとめた。

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