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ウィルコム、同社の現状を説明する“プレス勉強会”を開催

2005年11月30日 18時34分更新

文● 編集部 小林久

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(株)ウィルコムは30日、東京港区の本社にプレス関係者を集め、コンシューマー、ビジネス、FMC(Fixed - Mobile Convergence)の各分野への取り組みと現状に関して説明した。

2005年はウィルコムにとって、同社執行役員の喜久川政樹(きくがわ まさき)氏が「今年は今までにないペースで発表会を行なってきた」とコメントするようにコンシューマー/ビジネスの両面においてさまざまな新展開があった。今回の説明会はこれらをまとめ、ウィルコム全体の戦略を再確認するのが主旨。

鉄筋を減らさずに、建築コストを減らせるナノセル

コンシューマー関連で目新しい情報としては、すでに記事にしたように『W-ZERO3』の発売日が決定したほか、11月25日に発売されたフルブラウザー搭載機の『WX310K』と『WX310SA』が好調でこの日だけで1万以上の新規加入があったことなどがある。

ウィルコム執行役員の土橋匡氏
ウィルコム執行役員の土橋匡氏

同社では多様なマーケットとニーズに対応できる個性的な製品/サービスの開発に重点を置いているおり、WX310シリーズやW-ZERO3以外にもW-SIMカードを利用する新コンセプト端末を積極的に投入していく意向だという。ウィルコム執行役員の土橋匡(つちはし ただす)氏はその提案のひとつとしてW-SIM対応の子供向け端末に関して言及。子供の1日のサイクルは大きく学びと遊びの2つに分けられるが、学校には音声通話に特化した音声端末や防犯機能を備えた端末、放課後はMP3プレーヤーやゲームなども遊べるエンターテインメント端末など、生活習慣に合った端末を着せ替えて使えるのがW-SIMの特徴であるとした。

常務執行役員の瀧澤隆氏
常務執行役員の瀧澤隆氏

法人分野の取り組みに関しては常務執行役員の瀧澤隆(たきざわ たかし)氏が、W-ZERO3を利用した企業向けソリューションや非常にコンパクトなPHS基地局である“ナノセル”を利用したソリューションなどを紹介した。ほかの携帯電話キャリアーは通常個人利用が90%以上というが、ウィルコムの法人利用率は非常に高く、46%以上あるという。ウィルコムは定額と低額という2つの“テイガク”をキーワードに企業導入を進めていくという。

企業システムに求められるセキュリティーとモバイルを実現するためのひとつの手段として紹介されたのが、W-ZERO3を220gと軽いシンクライアントとして利用する提案。例えばW-ZERO3に、シトリックス・システムズ・ジャパン(株)が昨日発表したWindows Mobile用のシンクライアントを導入すれば、W-ZERO3を企業ネットワークとシームレスに接続できるほか、必要な情報は企業内のサーバーに蓄えられるため、盗難や紛失にあった際のセキュリティーも優れるという。

ナノセルに関しては、鹿島建設(株)が東京駅八重洲口付近に現在建設中の超高層ビルの事例を紹介。従来高層ビルの建築では、地上と工事現場の連絡を取るために内線電話システムを構築する必要があり、工事期間のみの使い捨てで、数千万円もかかるPBXを導入していたそうだが、その代わりにナノセルを使用することで、大幅なコスト削減が可能になったという。また、本田技研工業(株)の自動車で利用できるナビゲーション“internavi”用の定額プランに関しても説明した。

常務取締役の喜久川政樹氏
常務取締役の喜久川政樹氏

固定電話とモバイルを統合するFMCに関しては喜久川氏が説明した。ウィルコムは(株)アッカ・ネットワークスのADSL回線とPHSの定額サービスを組み合わせたプランなどが提供されている。喜久川氏は一般的に言われているFMCの利点はキャリアーの都合が中心になっているとやや批判的に述べ、ウィルコムの考えるFMCは「固定/モバイルの音声通話とウェブサービスを顧客のニーズにあった形態で提供すること」にある点を強調した。

新CM。入院中の母親と子供が深夜に長電話するシーンによって、病院でも使える低電磁波、音声定額により時間を気にせず話せる安心感、話中に寝てしまった子供の息遣いまで感じる高音質をアピールしている
テスト設備
ウィルコムの屋上に設置されたテスト設備

また、PHSを内線電話として利用するソリューションに関しても説明。ナノセルにより、PBXを導入するより低コストにできるほか、屋内、屋外を問わず、同じ連絡が取れる点が利点になるとした。このほか、昨日発表された次世代PHSシステム向けの予備免許取得の件にも触れ、ウィルコム本社の屋上に設置された試験設備の写真も公開された。

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