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日本HP、バーチャルマシン・ソリューション『HP Integrity Virtual Machines』などを発表――仮想化技術を用いたサーバー/IT統合化を促進

2005年11月29日 18時24分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本ヒューレット・パッカードは29日、IT環境統合の促進に向けた仮想化技術関連製品の強化を行なうと発表した。今回発表された製品は、1CPUを最大20分割して利用できるバーチャルマシン・ソリューション『HP Integrity Virtual Machines』や、仮想環境の統合管理ソフトウェア群、サーバー統合に向けたサービスの3カテゴリー。

『HP Integrity Virtual Machines』の構造と機能の概要『HP Integrity Virtual Machines』の利用例(サーバー統合)

日本HPは従来、サーバー仮想化ソリューションとしては、セルボード(CPUボード)ごとのハードパーティショニング(物理パーティショニング)が可能な“nPartitions(nPars)”、ハードパーティション内に複数のOSイメージを作成できるソフトパーティションニング“Virtual Partitions(vPars)”といったミッドレンジ以上の環境/サーバー統合に向いたソリューションを提供してきていた。

今回発表された『HP Integrity Virtual Machines』は、1CPUのリソースを複数のOS環境に分割できる“サブCPUパーティショニング技術”と、I/Oリソースを複数のバーチャルマシン環境で共有する“共有I/O”技術を用いたバーチャルマシン・ソリューション。2~4CPU程度のエントリークラスのサーバー環境にも向けた製品と位置付けられており、対応するサーバーのラインナップは、1U/2プロセッサ搭載のエントリーサーバーから同社最大の“HP Superdome”まで、すべての“HP Integrityサーバ”シリーズとなっている。

『HP Integrity Virtual Machines』では、1CPUあたり最大20の仮想OS環境が作成でき、仮想化されたCPUリソースはアプリケーションの負荷に応じて5%単位で再配分が可能。また、OSに関連した障害はパーティションごとに分離できるほか、ハードウェア・パーティションと組み合わせて利用することで、ハードウェア障害にも対応可能。このほか、パーティション間の隔離による高セキュリティー性、他のヴァーチャルマシン・サーバーへの仮想環境の容易な移行が可能、などの特徴を持つ。

対応ホストOS(『HP Integrity Virtual Machines』を運用するOS環境)は、HP-UX 11i(12月提供開始)/Linux(2006年末)/Windows(2006年末)。価格は31万5000円。

『HP Integrity Essentials Capacity Advisor』の機能概要『HP Integrity Essentials Virtualization Manager』の機能概要

また、複数のパーティショニング技術の併用により、サーバー/CPUリソースのより高効率な利用ができるようになる反面、管理/運用が複雑になってしまうことから、『HP Integrity Virtual Machines』の発表に併せ、仮想化環境へのワークロード展開計画/構成情報/仮想リソース自動最適化が可能な新しい管理ソフトウェア『HP Integrity Essentials Capacity Advisor』『HP Integrity Essentials Virtualization Manager』『HP Integrity Essentials Global Workload Manager』の3製品を発表した。これらの3製品はいずれも、同社のサーバー統合管理環境『HP Systems Insight Manager』のアドオンとしてシームレスに統合され利用可能となる。

各ソフトウェアの主な機能と価格は以下のとおり。なお、発売/出荷開始時期はいずれも2006年1月の予定。

『HP Integrity Essentials Capacity Advisor』
仮想化システムの負荷状況全般の把握
仮想化システム環境の変更を事前シミュレーション
価格:36万9600円(『HP Integrity Essentials Virtualization Manager』も含まれる)
『HP Integrity Essentials Virtualization Manager』
仮想化システム全体の構成イメージを可視的に把握できる管理ツール
価格:21万円
『HP Integrity Essentials Global Workload Manager』
システム状況に応じたリソースの再配分をリアルタイムに自動的に実施
価格:46万2000円

さらに同社は、これらの仮想化技術などを利用するなどした“HP Integrityサーバ”によるIT統合の促進に向けたシステム導入支援サービスを発表した。詳細は以下のとおり。

“ITコンソリデーション基本構想策定サービス”
従来から提供していたIT統合支援サービス“ITコンソリデーション基本構想策定サービス”に対して、最新の仮想化技術の内容を盛り込んだバージョンアップ版。
現状のIT環境とコスト構造の把握、最適な統合IT環境とコスト構造の検討、そこへの移行計画/基本方針/施策の共同策定を行なう。ITコスト削減の基本方針や施策等の基本構想に基づき、さまざまなシナリオを設定し、最適なアーキテクチャーやコスト効果が得られる移行計画を策定していくという。
価格:個別見積(262万5000円~)
“HP-UXプログラム開発・ポーティング支援Expressサービス”
Solarisなど他社OS用に開発されたITシステムやアプリケーションをHP-UXに移植する際の技術サポートサービス。メールを利用して技術的な質問に回答する。
価格:52万5000円(問い合わせ5件、3ヵ月間有効)

エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ビジネスクリティカルサーバ製品本部長の榎本敏之氏日本HPにおける2005年度の“HP Integrityサーバ”の重点施策を示したスライド

発表に併せて行なわれた記者説明会で、“HP Integrityサーバ”による統合IT戦略について説明したエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 ビジネスクリティカルサーバ製品本部長の榎本敏之氏によると、日本国内のUNIXサーバー市場において同社はシェア36.0%(2005年第2四半期)を獲得して首位に立ち、同社サーバー出荷台数における“HP Integrityサーバ”の比率が50%を超え、Itaniumサーバーへの移行が順調に進んでいるという。また、顧客ニーズとしては、ITシステム面での水平統合への移行や変化への対応性強化と、企業課題面での災害対策/コンプライアンス/セキュリティーなどの要求から、サーバー/IT統合に対する関心が高まっているという。

しかし同氏は、現在までに複雑化されたサーバー/IT環境の統合は「一気に統合化するのは難しい」と認識していると述べており、同社では、ステップバイステップの移行プログラムや、段階的な統合化(将来的には大規模な環境に移行が容易となるように、まずは小規模な環境に移行)が可能な製品ラインナップやサービスの拡充を図り、サーバー/IT統合ニーズに応えられる体制を提供するとしている。

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