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――“ITシステムの正常動作には上流での“テストに対する計画”が重要”

マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン、新社長の石井 幹氏が就任挨拶

2005年11月02日 16時07分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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マーキュリー・インタラクティブ・ジャパン(株)は2日、東京・大手町のアーバンネット大手町にプレス関係者を集め、10月1日に就任した新社長の石井 幹氏の就任挨拶、およびITシステムの開発/テストから検査/運用までのライフサイクルを管理する統合ソリューション“Mercury BTO Enterprise”を発表した。発表会には、石井氏のほかマーケティングディレクターの河野真一氏が出席し、日本市場におけるテスティング環境の重要性、ならびに同社の展望や戦略を説明した。

代表取締役社長の石井 幹氏
代表取締役社長の石井 幹氏

最初に石井氏が挨拶に立ち、米マーキュリー・インタラクティブ(Mercury Interactive)社および日本法人が行なうアプリケーション/サーバーの品質検証や負荷・性能検証製品の市場などを紹介した。

開発部門とユーザー/意思決定者との間にギャップがある現実を説明
ITの成功が必ずしもビジネスの成功に結びつかず、開発部門とユーザー/意思決定者との間にギャップがある現実を説明

石井氏は、ITが業務プロセスに置ける重要な地位を占めるに至った現状と、それに対してITシステムの開発部門とユーザー/意思決定者(CIOなど)の間にギャップがあり、刻々と変化する状況に対応できない、あるいは必要なレポートが提出されない、可視化できていない、などの問題を指摘。日本でも導入が検討されている“SOX(Sarbanes-Oxley)法”(企業改革法、企業内部の統制・規範・義務の徹底と情報開示を求める米国連邦法)などをにらんでビジネスプロセスの掌握、可視化を求める声が高まっていると説明。

CoEの説明 “Mercury Managed Services”
CoEの説明。マーキュリーのBTO Enterpriseを導入することで、技術/ノウハウ/プロセスなどの知的財産を集約し、有効活用できるというマーキュリーでは、顧客側にシステム導入するだけでなく、システム運用をマーキュリー側で行なう“Mercury Managed Services”というASP的サービス形態も行なっている

同時に、ITシステムによるビジネスの効率化のために“CoE”(センター・オブ・エクセレンス、ノウハウなどの知的資産を集中管理・運用する手法)に対する認知が広まりつつあるとして、同社の提供するシステムが今後日本市場でも重要視されると力説した。

同社の提供する“BTO(Business Techonlogy Optimization)”とは

  • ビジネス戦略とIT戦略の整合を取る
  • アプリケーションの品質やパフォーマンス、可用性を最適化する
  • ITの可視化とライフサイクルに基づく変更管理を行なう
  • コストとリスクの最適化とコントロールを行なう

などを実現するためのツール群で構成され、同社の既存製品である負荷テストツール“LoadRunner(ロードランナー)シリーズ”などの単体システムだけでなく、テストの設計やテスト管理、運用監視、ITガバナンスなどのソリューションを提供していくと今後の展望を説明した。

なお、挨拶の最後に石井氏は、「よく(9月2日まで社長を務めていた)アドビ システムズとマーキュリーではだいぶ違う会社に来たものだが、と言われるが、私が(社長を)務めていた時期はPDFを中心にドキュメントソリューションをエンタープライス市場向けに売り込むべく積極的に取り組んでいた。マーキュリーは“テスティング”というツールを使って、今後成長していくであろう企業のITガバナンスの市場に挑戦していく。同じようなチャレンジを違う場(会社)で行なうと思っている。これは魅力的であり、可能性を感じる」「元々コンピューターのソフトウェア技術に興味がある。最初に触れたのは日本電気の『TK-80』というワンボードマイコンだった。卒業当初はソフトウェア技術者になりたかったくらいだが、もう一度ソフトウェアの観点からビジネス部門、技術部門を支援できるというのは非常にやりがいがある。技術的な匂いのする職場に就けたことはとてもうれしい」「日本における、自分たち(マーキュリー)の成功の尺度は顧客の成功である。ITは会社の“ありよう”を支援していくサポート部門であり、そこを支援するのがマーキュリーという会社。我々が提供するものが、顧客の最終的な成功を導くものでありたい」と締めくくった。

マーケティングディレクターの河野真一氏
マーケティングディレクターの河野真一氏

続いて河野氏が“Mercury BTO Enterprise”ソリューションの詳細を説明した。BTO Enterpriseはビジネス側とITシステムのギャップを埋めるために、可視化を行なうツール“ダッシュボード”、およびITシステム開発のための要求を管理、順序だてて構築・テスト・導入可否の判断、および導入結果から生まれる新たな要求=ライフサイクルを管理する“Mercury Application Change Lifecycle(アプリケーション・チェンジ・ライフサイクル)”“Mercury Application Performance Lifecycle(アプリケーション・パフォーマンス・ライフサイクル)”などを組み合わせた統合ソリューション。BTO Enterpriseを構成する製品は、2007年までに構成製品を順次リリースする予定という。Oracle/SAP/J2EE/.NETなどの、ブラックボックス化しがちな大規模なエンタープライズ向けシステムにおける評価・検証、および可視化に有効と説明した。

ダッシュボード導入のメリット “Mercury BTO Enterprise”を構成する各種サービス群
ダッシュボード導入のメリット“Mercury BTO Enterprise”を構成する各種サービス群
“Application Performance Lifecycle”の説明 “Application Change Lifecycle”の説明
“Application Performance Lifecycle”の説明。Diagnosticsによる診断で、ビジネスプロセスの構築、負荷テスト、稼働後の性能監視まで、一連の性能評価を行なうという“Application Change Lifecycle”の説明。ITILに準拠したシステム要求の整理・序列、導入、変更後の監視など一連の変更手続きを管理する

発表後の記者からのQ&Aで、昨日の(株)東京証券取引所のシステムダウンについて質問されると、「原因が判明していないので、あくまでも一般論として」と前置きした上で、「ITシステムが正常に動くためには、(マーキュリーが提供しているようなテスティング)ツールを使うのが確実。例えばLoadRunnerによる負荷テストやレスポンス、システムダウンの検証などを行なうべきだが、それ以上に重要なのが“テストに対する計画”。どういう業務アプリケーションであってほしいのか、実現したいサービスレベル(想定される接続者数など)がどこにあるのか、それらが想定されていなければテストをしても○×が付けられない。(設計段階の上流で)準備をきちんと行なっておけば、後々下流の工程で高いコストをかけて修復する必要がなくなるはずだ」と答えた。

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