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ソニー、光学式手ぶれ補正対応の『DSC-T9』と3インチ液晶搭載の『DSC-N1』の2製品を発表

2005年11月01日 21時33分更新

文● 編集部 小林久

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ソニー(株)とソニーマーケティング(株)は1日、“サイバーショット”シリーズのラインアップに、光学式手ぶれ補正機構を備えたコンパクトデジタルカメラ『DSC-T9』とISO 800相当の撮影に対応し、3インチ液晶パネルも装備した『DSC-N1』の2モデルを追加した。価格はともにオープンプライス。予想実売価格はDSC-T9が4万7000円前後、DSC-N1が6万円前後。18日に発売する。当初月産台数はDSC-T9が7万台、DSC-N1が8000台。

製品画像
新製品の『DSC-T9』(左)と『DSC-N1』(右)

“ダブルでぶれない”がキーワード
──『DSC-T9』

DSC-T9はクレジットカードサイズ(幅89.7×高さ54.9mm)で薄型(厚さ16.8~20.6mm)のコンパクトデジタルカメラ。最大の特徴は“光学式手ぶれ補正機能”を搭載した点で、レンズシフト方式のユニットを折り曲げ式レンズと組み合わせて使用するのは業界初だという。これにより、従来より3段遅いシャッター速度でも手ぶれを心配せず撮影できるようになった。

基板部分に装着した2つのジャイロセンサー(垂直:PICTH、水平:YAW)で手ぶれを検知し、ぶれの量(角速度)に応じて補正用レンズを稼動させる。小型化のため稼動部(アクチュエーター)を1ヵ所にまとめた。手ぶれの検知と補正をほぼリアルタイムに行なうためにスライド式レンズの小型化と軽量化も必要だったという。

分解モデル CCDと光学式手ぶれ補正ユニット
手ぶれ補正ユニットは自社開発。レンズを縦横に動かすアクチュエーターを1ヵ所にまとめて小型のユニットとした

薄型機への手ぶれ補正機能搭載は、松下電器産業(株)が昨年7月に『DMC-FX7』で先鞭をつけたが、今年に入ってコニカミノルタフォトイメージング(株)が屈曲光学系レンズユニットのCCD部分を動かす『DiMAGE X1』を発表するなど、各社の採用が相次いでいる。また、それに対抗する形で、被写体ぶれも防げる高感度撮影対応をアピールしているメーカーもある。例えば富士フイルムイメージング(株)はISO 1600相当の撮影に対応した『FinePix F10』を開発し、市場投入している。

DSC-T9は光学式の手ぶれ補正機能を持つが、同時に基本となる撮影感度をISO 80相当とし、最大でISO 640相当の撮影にも対応できるようにした(従来のDSC-T7/5は基本感度ISO 50/最大感度ISO 400相当)。高感度撮影を実現できた最大の理由は画像処理LSIの改良で、RAWデータの段階でノイズリダクションを行なう“クリアRAW NR”エンジンの追加により、高感度化で問題になる輝度ノイズや色ノイズを大幅に低減できたという。

高感度撮影に関しては、ISO 800以上の感度に対応しているメーカーも多いが、ノイズレベルを示すS/N値などで自社の基準を満たす“十分な画質”が得られないという判断で今回はISO 640までの対応にしたという。

青木氏
ソニーマーケティングの青木陽介氏

ソニーマーケティング(株)のモバイルネットワークプロダクツマーケティング部パーソナルイメージングMK課統括課長の青木陽介(あおき ようすけ)氏の話では「2005年度の国内デジタルカメラ市場ではコンパクト機の約3割が光学式手ぶれ補正対応になる」という。ソニーマーケティングでは国内市場規模は前年比98%の818万台で、うち87%がコンパクトカメラになると予測している。

市場ではレンズ交換式一眼レフカメラや高倍率ズームモデルなどの売れ行きが伸長しており、割合としてのコンパクトカメラの売り上げは縮小傾向だが、その中で手ぶれに強いカメラは人気を集めている。ソニーは、増感処理による画質劣化のない“光学式手ぶれ補正”と被写体ぶれにも対応できる“高感度撮影”の両方を採用。“ダブルでブレない”をキーワードに自社の存在感をアピールしていく方針だ。



背面
背面。十字キーを中心とした操作体系
上面 側面 電池
本体はレンズカバー以外の厚さは16.8mmと薄型。バッテリーは従来機と同じ“Tタイプ”のインフォリチウム電池が使える
ブラックとシルバー
色はブラックとシルバーが選べる

DSC-T9では、背面液晶パネルが新開発の“クリアフォト液晶プラス”パネルに変更された。このパネルはDSC-T3以降で搭載してきた“クリアフォト液晶”パネルのカラーフィルターを改善。色再現性が約62%改善したという。方式は半透過型のTFTで、表面には反射を抑えるAR(Anti Reflection)処理が施されている。パネルサイズは2.5インチで、画素数は23万画素。

撮像素子も従来の1/2.5インチ有効500万画素CCDから同サイズの有効600万画素CCDに変更された。内蔵メモリーは58MBを装備。別売のメモリースティック Duoにも対応する。音楽付きの静止画スライドショー機能も追加し、撮影した画像を“見せる”用途も積極的に提案していくという。スライドショーとともに再生される音楽のファイルは付属ソフト『Picture Package』に含まれる『Music Transfer』というソフトでパソコンから転送することが可能。Picture PackageはMacintoshには対応しないが、Music Transferは単体で提供される。

レンズは焦点距離6.33~19mm(35mmフィルム換算で38~114mm相当)の光学3倍ズーム(カールツァイス“バリオ・テッサー”)で、開放F値は3.5~4.3。最短撮影距離はマクロモードで8~25cm。拡大鏡モード使用時で1cm。記録形式は静止画がJPEG。動画がMPEG-1。出力サイズは最大2816×2112ドット。縦横比が3:2(2816×1872ドット)と16:9(1920×1080ドット、フルHD)のモードも用意する。動画は“MPEGムービーVX”対応で最大640×480ドット/毎秒30コマの撮影が可能。起動時間は1.8秒。6Mサイズで最大7枚の連写ができる。

このほか本体にはUSB 2.0(High Speed対応)やAV出力端子を装備。USB経由で21日発売予定のHDDレコーダー“スゴ録”『RDZ-D70』『RDZ-D90』に静止画を取り込み、“x-Pict Story HD”機能でテレビ用のスライドショーを編集することも可能。

本体サイズは幅89.7×奥行き20.6×高さ54.9mmで、重量は134g(本体のみ)/159g(撮影時)。電源はインフォリチウム充電池(NP-FT1)で、撮影可能枚数は240枚(CIPA測定基準)/120分。



タッチパネルで操作する3インチ液晶パネル搭載機
──『DSC-N1』

DSC-N1は、1/1.8インチ有効800万画素のSuper HAD CCDを搭載したコンパクト機。“クリアRAW NR”によって、最大でISO 800相当(基本感度ISO 64相当)の高感度撮影に対応するが、光学式の手ぶれ補正機能は持たない。レンズ機構もDSC-T9の屈曲式ではなく沈胴式となる。

DSC-N1
DSC-N1。タッチパネルの操作をしやすくするための小型スタイラスも付属する

特徴は3インチの液晶パネルを背面に搭載する点。また背面の十字キーは取り払い、タッチパネルによる操作とした。液晶の右にある2つのボタンのうち上のボタンを押すと画面上に、露出設定、ストロボ発光、画像サイズなどを示すアイコンが表示され、それに指で触れることでカメラの設定を変更できる。3インチの液晶サイズはデジタルカメラ用としては現在のところ最大。パネルはDSC-T9と同様の“クリアフォト液晶プラス”となっており、画素数は23万画素。

アイコン 操作方法
背面のボタンはズームと液晶の表示要素を変えるオンスクリーンボタンと指のマークのついたメニュー表示用のボタンのみで、設定などの操作はすべてタッチスクリーンで行なう。手がレンズにかかってしまうので、カメラは右手で持ち、左手で操作するようにしたほうがいい

撮影画像に手書きのメモやイラストを追加できる“ペイント”機能、フォーカス位置を指先で指定できる“スポットAF”のほか、拡大画像を指先のドラッグで移動できる“ダイレクト操作”などタッチパネルを生かしたインターフェイスも用意した。

記録メディアは内蔵の26MBメモリーのほか、メモリースティック Duoに対応。撮影した画像は自動的に“ポケットアルバム”に登録され、日付で管理できる。メモリースティック Duo使用時には、VGAサイズの画像が内蔵メモリーにも同時記録されるためメモリースティック Duoを抜いた状態でも撮影した画像の履歴を残せる(最大500枚)。BGM付きのスライドショー機能にも対応。再生時には4つのエフェクトと4種類の内蔵BGMが選択できる。

前面 側面
上面側面

レンズは焦点距離7.9~23.7mm(35mmフィルム換算で38~114mm相当)の光学3倍ズーム(カールツァイス“バリオ・テッサー”)で、開放F値は2.8~5.4。最短撮影距離はマクロモードで6~34cm。記録形式は静止画がJPEG。動画がMPEG-1。出力サイズは最大3264×2448ドット。縦横比が3:2(3264×2176ドット)と16:9(1920×1080ドット、フルHD)のモードも用意する。動画は“MPEGムービーVX”対応で最大640×480ドット/毎秒30コマの撮影が可能。起動時間は約1.5秒。レリーズラグは約0.1秒。シャッターラグは約0.28秒、撮影間隔は約1.65秒。8M(ファイン)サイズで最大4枚の連写ができる。

本体にはUSB 2.0(High Speed対応)、AV出力などの端子を装備。USB経由で21日発売予定のHDDレコーダー“スゴ録”『RDZ-D70』『RDZ-D90』に静止画を取り込み、“x-Pict Story HD”機能でテレビ用のスライドショーを編集することも可能。

本体サイズは幅96.7×奥行き22.7×高さ61.1mmで、重量は151g(本体のみ)/185g(撮影時)。電源はインフォリチウム充電池(NP-BG1)で、撮影可能枚数は300枚(CIPA測定基準)。

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