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ザイリンクス、高性能DSP市場に対する今後の戦略に関して説明──通信、マルチメディア、防衛システムの3分野を中心に展開

2005年10月25日 00時03分更新

文● 編集部 小林久

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ザイリンクス(株)は24日、都内で記者会見を開き、同社が進めている“XtreamDSP”ソリューションの今後に関して説明した。

会見風景
左端が米ザイリンクス副社長のタヘルニア氏、右端がザイリンクス日本法人代表取締役社長の吉澤氏

ザイリンクスは、昨年9月にDSP事業部門を設立。高負荷なデジタル信号処理を行なえるLSIとしてFPGA(Field Programmable Gate Array)を積極的にアピールしている。記者会見には米国本社(米Xilinx社)から、副社長兼DSP事業部ジェネラルマネージャのオミッド・タヘルニア(Omid Tahernia)氏、日本法人から代表取締役社長の吉澤仁(よしざわ ひとし)氏が出席した。

会見ではまず吉澤氏が、第2四半期(2005年7~9月期)の業績に関して発表した。ザイリンクス第2四半期(7~9月期、全世界)の売り上げは、3億9900万ドル(約458億8500万円)で、第1四半期(4~6月期)の4億500万ドル(約465億7550万円)より若干落ちた。しかし、国内の売り上げは2004年第4四半期(2005年1~3月期)から第1四半期にかけて8%、第1四半期から第2四半期にかけて15%と好調に伸び、ザイリンクス全体の売り上げに占める割合も16%に到達したという。

売上高(国別) 売上高(分野別)
売上高。ザイリンクス全体では前四半期に比較して微減しているが、国内は堅調に伸びている分野別では医療などの産業機器と薄型テレビなどの民生機器が中心

国内で“PLD”(Programmable Logic Device:FPGAとほぼ同義)の採用が拡大した背景として、吉澤氏は「従来の通信分野に加え、薄型テレビなどの民生機器、医療機器などの産業用機器における需要が拡大している」点を挙げ、これらの機器の開発サイクルの短縮にPLDが大きく貢献していと述べた。吉澤氏は、ザイリンクスは90nmプロセスのPLDでは90%のシェアを取っていること、日本では上記の市場特性を反映する形で、低コスト量産品の“Spartan-3”シリーズが特に好調である点などにも言及した。

タヘルニア氏
オミッド・タヘルニア副社長は、ザイリンクスのDSP事業部のトップを務める

DSP事業部のトップを務めるタヘルニア氏は、DSP事業の今後の戦略について説明した。タヘルニア氏は、ザイリンクスが狙う高性能DSP市場は20億ドル(2300億円)規模であると指摘。デジタル信号処理の分野では“DSP(Digital Signal Processor)チップ”(以下DSPプロセッサー)が広く用いられているが、同氏は“256タップのフィルター回路”を例にとりながらFPGAは並列演算ができるため、DSPプロセッサー(直列演算)の半分のクロック周波数でも100倍近い性能が得られると説明した。ザイリンクスは高性能DSP市場の中でも、特に“通信”“防衛システム”“MVI”(Multimedia Video Imaging)の3分野を重点に置いており、FPGAの開発経験が少ないデベロッパーでも容易に使えるツールの提供や幅広いニーズに合わせた製品の提供など、包括的なソリューションを展開していくという。

会見では、監視カメラや医療画像機器などの開発に使用するビデオ・スターターキット『VSK-4VSX35』、米テキサス・インスツルメンツ社のDSP『TIDM642EVM』に対応したビデオ・コ・プロセッッシングキット、FPGAを利用したMPEG-4コーデックなどの紹介も行なわれた。また、タヘルニア氏は、次世代の広域無線技術“WiMAX”対応に関しても積極的に推進していく意向を示した。“FEC”(Forward Error Correction:前方誤り訂正)など特定用途向けIPのバンドルを計画しており、より低価格にWiMAX回路を実現できるようにしていくという。



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