東京エレクトロン(株)は18日、同社本社オフィスにおいてコンピュータ・ネットワーク事業部の事業戦略に関する記者説明会を開催した。同社は、半導体製造機器メーカーとして広く知られているが、同事業部では、ネットワークおよびストレージ機器と関連ソリューションの販売を展開している。この日の説明会では、同事業部の取り組みのうち、ストレージ機器関連事業にフォーカスを絞って説明が行なわれた。
コンピュータ・ネットワーク事業部 事業部長 執行役員の天野勝之氏 | 同社パートナーが一堂に会して行われたパーティーを紹介するスライド。このような場を通じて生まれた同社のパートナー同士の新しい関係から新しい製品/テクノロジーが生まれる期待感もあるという |
同社のコンピュータ・ネットワーク事業部の2005年度の売上高は160億円で、これは同社全事業の売上高の2.5%にあたるという。このうち、この日の説明会のメインテーマとして取り上げられたストレージ関連事業の売り上げは70億円程度で、2007年には100億円規模への成長が見込まれているという。製造業を主軸とする同社だが、事業部長で執行役員の天野勝之氏によると、同事業部は、米国シリコンバレー(ベイエリア)を中心とする先端的な技術を持った企業の競争力のある製品をいち早く日本市場に提供することをモットーとする商社的事業を行なっているという。
マーケティンググループ 統括リーダーの上善良直氏 | コンピュータ・ネットワーク事業部のビジネスモデル |
同事業部 マーケティンググループ 統括リーダーの上善(じょうぜん)良直氏の説明によると、同社は、ベンダーパートナーから入手した製品に同社独自の付加価値の追加やほかの製品/ソリューションとのインテグレーションなどを施し、OEM向け販売/SIパートナーなどを通じたチャネル販売/直接販売の3販路で販売を展開。間接販売(OEM/チャネル販売)と直接販売の比率は、前者が80%、後者が20%。今後は、蓄積したノウハウをプラスしたソリューションの展開を強化するなどして直接販売の比率を拡大していきたいとしている。
コンピュータ・ネットワーク事業部の注目分野 |
同社のストレージ/ネットワーク事業のベースとなる考え方は、情報システム部門が抱える“Cost(コスト)”“Complexity(複雑性)”“Compliance(コンプライアンス/法令遵守)”の“3つのC”の解決に向けた“データセンターの統合化”にあるという。上善氏は“3つのC”の解決に向けた各テーマ別の手法を示し、同事業部の注目分野として挙げている。
- Cost
- ストレージ統合
- ファイルサーバー統合
- バックアップ統合
- Comlexity
- ファイルサーバー統合
- バックアップ統合
- ディザスターリカバリー
- Compliance
- ディザスターリカバリー
- ストレージセキュリティー
- コンプライアンス
また同氏は、現在同社が提供しているこれらの解決手法に向けた具体的な製品/テクノロジーとして、大きく3つの製品カテゴリーを紹介している。
- クラスター・ストレージ
- SANの高パフォーマンス/拡張性とNASの管理/共有の容易さを両立する米アイシロン システムズ(Isilon Systems)社の製品。ストレージの容量/性能をリニアにスケールアップ可能。
- 高圧縮ディスクベースバックアップ
- HDDのバックアップをHDDに行なう米Data Domain(データドメイン)社のバックアップアプライアンス。平均で1/20という高圧縮率のバックアップを行なうことで、HDDベースながらテープメディア並みの容量単価を実現。東京エレクトロンでは、“D2D2T”(Disk to Disk to Tapeの略)ソリューションも提供。
- WAFS(Wide Area File Services)
- 米ブロケード コミュニケーションズ システムズ(Brocade Communications Sysmtems)社のSANスイッチを用いた、WANを介したSANやファイルサーバーの統合ソリューション。WAFSで統合されたファイルサーバー群の仮想化に加え、セキュリティー、バックアップといったソリューションも組み合わせて展開。
さらに上善氏は、今後の注目分野として、機密情報保護や災害/障害からの復旧などのニーズの高まりを反映し、セキュリティーとデータ・コンティニュイティー(データ/ストレージシステムの無停止運用性向上)の2つを挙げている。
- セキュリティー
- ITコンプライアンス実践に伴う運用負荷の増大に対処するためのSIM(セキュリティー情報管理)/SEIM(セキュリティーイベント情報管理)ソリューションの提供。
- データ・コンティニュイティー
- リモート・リプリケーションやディザスター・リカバリー、CDP(Continuous Data Protection)関連ソリューションの提供。
ストレージ営業統括グループ 統括リーダーの大村鉄夫氏 |
続いて登壇したストレージ営業統括グループ 統括リーダーの大村鉄夫氏は、同事業部の設立以来の時代/技術の変遷に伴った代表的なユーザー事例を紹介、同事業部が初期に取り組んだファイバーチャネル技術の立ち上げ(ファイバーチャネル・スイッチを活用したSAN)、各種SAN製品の相互運用性が今ほど高くなかった時期に取り組んだ相互運用検証などといった過去の事例や、大規模SANやセキュリティー、D2D2Tソリューション、大容量クラスター・ストレージ、WAFS活用といった最近の実例が取り上げられた。
ファイバーチャネル・スイッチを導入した初期の事例。ファイバーチャネルの信頼性をいかに保証するかが初期の大きな課題だったという | ファイバーチャネル・スイッチを活用したメールシステムの事例 | |
過去のユーザー事例 |