日本オラクル(株)は17日、同社本社オフィスで中堅企業向けの製品/サービスに関する事業戦略説明会を開催した。説明を行なったアプリケーションソリューション本部 本部長の石川正明氏によると、2003年から取り組みを開始した同社の中堅企業向けビジネスは非常に好調だといい、第三者の調査会社調べによる2005年の中堅企業向けERPパッケージ市場におけるシェアは3位に上昇、対前年比2倍の成長を達成したとしている。
アプリケーションソリューション本部 本部長の石川正明氏 | 中堅企業向けERPパッケージの2004年および2005年のシェア比較。各製品の棒グラフの左側が2005年、右側が2004年のシェア |
中堅企業向けビジネスのスタート時に立てた日本オラクルの“仮説”。「パッケージ製品は安くて早い“はず”」「ERPは難しい」という中堅企業の声に応える製品/サービスを目指したという |
日本オラクルは、中堅企業向けビジネスを開始(2003年6月)するにあたり、同社がこれまで行なってきたエンタープライズ向けビジネスとは「異なる取り組みが必要」だと分析。そこで、中堅企業顧客のニーズ(低コスト/短期間/分かりやすい)に応える製品(ビジネスアプリケーション『Oracle E-Business Suite』)とサービス(パートナー企業各社の提供サービス)をインテグレーションしたパッケージの提供に向け、従来の営業スタイルである個別案件対応型(ヒアリングなどを通して、顧客が“何をしたいか”を見出し、製品/システムを提供するプル型営業スタイル)ではなく、プッシュ型営業によるソリューション販売(顧客に対して「この製品では○○ができる」という提案を行ないソリューションを販売する)を中堅企業向けビジネスにおいて新たに採用。製品としては、アプリケーションとシステム構築サービスを組み合わせた中堅企業向けのテンプレート・ソリューション“Oracke NeO”ブランドの立ち上げ、さらに、中堅企業向け専門の営業部隊を創設したという。
中堅企業向けソリューション“Oracle One”のビジネス規模の推移 |
2005会計年度(2004年6月~2005年5月)は、この流れを発展した取り組みの強化を行ない、具体的には以下の施策を実施したとしている(石川氏によると、以下のうち(1)~(3)の取り組みは顧客に特に好評だったという)。
- (1)低価格への挑戦
- 使いやすい画面や帳票の充実
- テンプレートを最大活用できる導入手法の開発
- 現状分析に基づくローコストなシステム構築に向けた、同社による現状分析プログラム“モデリングサービス・プログラム”を開発と提供
- (2)安心できる導入に向けたパートナーの強化
- パートナー企業向けの“プロジェクトマネージメント教育プログラム”の実施
- (3)わかりやすさの追求
- 積極的なインダストリー展開(業種に特化したテンプレートの拡充)
- (4)日本オラクル本社内に“Olacle Briefing Center”を設置、拡充
- (5)Re-Host(汎用機からの移行)に向けたスキル開発支援
中堅企業向け製品の主軸となる“Oracke NeO”は、当初業種を特定しない汎用的な用途のテンプレート(主に会計/人事システム)を中心に展開していたが、2005年度は、特定業種向けに特化したテンプレート(現在12業種向けを用意)を用意、特に建設やエンジニアリング向けの製品では非常に高い評価を得たとしている。また、オラクルのライセンスビジネスの3割程度は中堅企業向けが占めているといい、中堅企業向けビジネスは同社のビジネスの中核を占める位置にまで成長したという。
石川氏は同社の今後の展開として、
- 業種特化テンプレートの展開強化(特に流通業界向け)
- さらに低コスト/低リスクな導入を可能にする仕掛けの提供(11月に詳細を発表予定とのことで、この日は具体的な内容は語られなかった)
- “モデリングサービス”の提供拡大
- “Olacle NeO”をベースにしたローコスト・アップグレードの実現
- ガバナンス/コンプライアンス対応のための“内部統制”システムを実装した“Olacle NeO”ソリューションの提供
を挙げ、これらの取り組みにより中堅企業向けビジネスのさらなる成長を目指すとした。さらに同社では、中堅企業向けビジネスで確実な成果を挙げたソリューション展開型営業モデルの適用分野を広げ、幅広い分野で活用していくとしている。
日本オラクルのビジネスにおける“個別案件型営業”と“ソリューション提案型営業”の比率推移予測 |