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日本HP、ブレードサーバーソリューション“HP BladeSystem”の新製品戦略を発表――バランスのよい製品と施策の強化で普及を促進

2005年10月11日 22時29分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本ヒューレット・パッカード(株)は11日、ブレードサーバーソリューション“HP BladeSystem”事業に関する記者説明会を開催し、より広範な顧客に対してブレードサーバーの導入を促進するための新製品戦略を発表した。同社は今後、新製品やサービスの導入に加え、販売パートナー支援なども含めた総合的な提案力の強化を進めていくという。

執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 統括本部長の松本芳武氏ブレードサーバー市場のニーズの変遷。Windows搭載製品、高性能(2プロセッサー)製品の伸びが特徴的

同社は2005年度のサーバー事業の戦略と重点施策として、標準技術をベースとした64bitコンピューティングの普及と仮想化技術の革新を掲げているが、説明会の冒頭に登壇した執行役員 エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 統括本部長の松本芳武氏によると、同社はここまで、64bitのx86サーバーのラインナップ拡充(HP ProLiantおよびHP BladeSystem)や、ItaniumサーバーによるRISC/メインフレームのリプレース(HP Integrity)やミッションクリティカル分野(HP NonStop)への進出、x86ベースのシステム上での仮想化と統合管理環境の充実や仮想ストレージの提供などといった成果を上げてきているという。

このような同社の製品展開のうち、ブレードサーバーにおいては、市場の成長にともなってニーズに変化が起こっているという。従来のブレードサーバーはHPC/グリッドなどの特定分野での利用を中心としたアーリーアダプター(先進的なユーザー)向けの製品という性格が強く、搭載OSもLinuxの比率が高かったが、現在では顧客層の拡大によりWindows系OSの導入と汎用化が進み、機能/性能面でのニーズも、高密度/高集積性を重視する傾向から、性能/機能も重視する傾向が強まっているという。またこれに伴って、ユーザーの関心も、拡張性や高密度/高集積性といった従来から注目されている項目に加えて、管理性(統合管理環境の提供)や仮想化/自動化技術といった分野にも非常に高い関心が寄せられているとしている。

この日発表された“HP BladeSystem”新戦略

同社では、このような市場の変化を踏まえ、ブレードサーバーソリューションを「新しいステージに進める」ための戦略として今回の発表を行なうとしており、松本氏は、新製品および新施策の発表により「ブレード新時代をリードする」としている。具体的な取り組みとしては、次の3点を挙げている。

  • 統合管理環境“HP System Insight Manager”のアドオンとして、仮想化/自動化機能の新コンセプト“HP ProLiant Essentials Virtualization Management Software”を追加
  • サービス体制および販売パートナー経由での販売を強化する技術支援を実施
  • SAS対応ブレードサーバー『HP ProLiant BL35p SASモデル』の発売と既存モデルの価格改定

『HP ProLiant Essentials Virtual Machine Management Pack 2.0』の管理画面『HP ProLiant Essentials Server Migration Pack 2.0』による物理サーバーから仮想サーバーへの移行作業の流れ

“HP ProLiant Essentials Virtualization Management Software”は、機能強化が図られた『HP ProLiant Essentials Virtual Machine Management Pack 2.0』(異なるバーチャルマシン・ソリューションを一元的に管理可能な物理サーバー/バーチャルマシンの統合管理環境。ワークロード管理機能を強化)と、今回新たに発表された仮想化移行の支援ソフトウェア『HP ProLiant Essentials Server Migration Pack 2.0』の2つで構成される。

エンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部 ブレードシステムマーケティング部 部長の正田三四郎氏

『HP ProLiant Essentials Server Migration Pack 2.0』は、既存サーバー環境を仮想サーバーに移行する際に必要な作業をウィザードにより自動化し、IT管理者の負荷や工数を削減するソフトウェア。物理サーバーから仮想サーバー/仮想サーバーから物理サーバー/仮想サーバーから仮想サーバーの3系統のサーバー移行に対応し、日本HP製および他社製サーバーの移行や、ヴイエムウェア(株)およびマイクロソフト(株)の仮想サーバー技術をサポートする。説明を行なったエンタープライズストレージ・サーバ統括本部 インダストリースタンダードサーバ製品本部 ブレードシステムマーケティング部 部長の正田三四郎氏によると、ブレードサーバーを利用した仮想サーバー環境への移行は、テストや検証、移行作業などの工程の多くがマニュアル操作で行なわれるため、IT管理者にとって大きな負担となっているというが、『HP ProLiant Essentials Server Migration Pack 2.0』では、数日から数週間の期間が必要だった物理サーバーから仮想サーバーへの移行作業(OSおよびアプリケーションの移行)が数分で完了可能だとしている。

『HP ProLiant Essentials Server Migration Pack 2.0』の価格は、1サーバーライセンスで1万2600円、10サーバーライセンスで11万5500円、1年間限定の台数無制限ライセンスが168万円。出荷時期はいずれも11月上旬。

サービスおよび販売の強化に関しては、大きく3つの取り組みを行なうという。

定型サービスの設定
需要の高いサービスを定型化することにより、販売形態や価格携帯を明確化。メニューとしては、同社エンジニアがシステム要件定義から設計/導入までを一貫して行なう“HP BladeSystem Optimized エクスプレスサービス”(189万円から。システム規模に応じて価格を設定)、サーバー導入時のソフトウェアインストールなどの手間を簡略化する『Rapid Deplyment Pack』の導入を同社エンジニアが実施する“Rapid Deployment Pack(RDP) スタートアップサービス”(68万2500円/セットアップ1回)、同社がソフトウェアに関する電話サポートを直接行なう“ソフトウェア電話サポートサービス”(44万1000円/10インシデント)を用意。
同社内に部署/地域などを横断した組織体を設立
ブレードサーバーソリューションに関する技術/技能を、部署/国籍/地域などの枠組みを越えて担当者が共有するための組織“HP BladeSystem Profession”を設立。ソリューション開発や導入、サポート技術の共有を図り、展開に活用。
販売パートナーの支援
“HP BladeSystem”の販売は従来直販を中心に展開していたが、市場の拡大に伴い、販売パートナー経由での販売を拡充。これに向けて、チャネルパートナー経由の販売における顧客に提供可能な技術サービスを強化するため、販売パートナーから“HP BladeSystem パートナー”を募集し、パートナー各社が独自に技術サービスを開発/販売するための技術支援(トレーニングの提供、デモ機器の特別価格提供、技術ノウハウの移転、など)を行なう。現在の“HP BladeSystem パートナー”は10社程度で、今後も積極的に募集を継続するという。

ハードウェアの新製品『HP ProLiant BL35p SASモデル』は、7月に発表された『HP ProLiant BL35p デュアルコアモデル』(詳細はこちらのニュースを参照のこと)をベースに“シリアルアタッチドSCSI”(SAS)に対応させた製品で、36GBまたは72GBの2.5インチSAS HDDを最大2台搭載可能。高速なディスクアクセスが重要とされるウェブサーバーなどに向けた製品だとしている。価格は31万5000円から。またこれに合わせて既存製品の価格改定も行なわれ、『HP ProLiant BL35p シングルコアモデル』が26万2500円から、『HP ProLiant BL35p デュアルコアモデル』が28万3500円からにそれぞれ値下げされる。

なお、この日インテル(株)が発表した新Xeon搭載サーバーや、Itanium搭載ブレードサーバーについては、「年内に正式発表予定」(松本氏)だという。

正田氏は、ブレードサーバーの普及を促進し「HP BladeSystemで感動していただく」ための施策として、“ブレードサーバーは高いというイメージの払拭”と“管理性の高さ”の訴求に努めていくとしている。特にコスト面においては、台数が増えた場合の効果を強調し、ハードウェアの価格、スペース、消費電力の違いを例示した

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