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【CEATEC JAPAN 2005レポート Vol.12】HD DVD is REAL! プレーヤー発売に向けて着々と準備を整えるHD DVD――次世代光ディスク戦争 HD DVD陣営編

2005年10月05日 04時07分更新

文● 編集部 小西利明

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映画やビデオ作品のポスターを多数掲げ、プレーヤーへの期待を高めるHD DVDプロモーショングループの展示ブース
映画やビデオ作品のポスターを多数掲げ、プレーヤーへの期待を高めるHD DVDプロモーショングループの展示ブース

CEATEC JAPAN 2005で注目を集めるHD DVD陣営対Blu-rayディスク(BD)陣営の次世代光ディスク戦争。続いてはHD DVDの普及促進団体“HD DVDプロモーショングループ”のブースと、参入メーカーのブースから、出展されていたHD DVD関連機器を紹介する。

HD DVDプロモーショングループのキャッチフレーズは“HD DVD is REAL!”。映像クオリティーがリアルという意味もあるだろうが、それ以上に未だにビデオディスクの規格がフィックスせず、ビデオプレーヤーの発売スケジュールが決まらないBD陣営に対し、HD DVDは発売に向けて着実に進んでいることをアピールしているのだ。ブースの周囲を取り巻くハリウッド映画のポスターもそれを示している。製品の登場は年内を予定している。

HD DVD陣営の中核は、(株)東芝と日本電気(株)(NEC)、三洋電機(株)など。メディアの構造がDVDに近く、ハードウェア開発コストの低減やメディアの製造にDVDディスクの製造設備を利用できるなど、現行DVD規格の後継者と言える規格となっている。9月27日には米マイクロソフト社と米インテル社がHD DVDへの支持を表明。特にマイクロソフトは次期Windows『Windows Vista』でのHD DVDサポートを表明するなどの追い風も吹いている。今回は前述の3社が機器を展示しているほか、HD DVDコンテンツのサンプルも披露された。

HD DVDビデオタイトルのインターフェースのデモ。DVD以上に多彩な機能を実装できるようだ
HD DVDビデオタイトルのインターフェースのデモ。DVD以上に多彩な機能を実装できるようだ

NECは自社ブースでHD DVD-ROMのパソコン用ドライブ装置や光学ピックアップ、関連LSI、搭載パソコンのデモ機などを出展した。光学ピックアップは三洋製である。あくまでROMドライブで、記録型HD DVDへの書き込みには対応しない。これは記録型HD DVDの規格化がROMメディアより遅れていたため(1層式は2月に規格書発行。2層式は年内の発行を目指して作業中)、ROMドライブ装置から先に開発が進んでいたためである。この構図は記録型が先行したBDと逆である。しかし東芝、NEC、三洋の3社とも、記録型HD DVD(HD DVD-R/RW)に対応したピックアップや信号処理LSIを開発しており、来年春には記録型HD DVDドライブも登場する予定だ。

HD DVDブースで展示されていた、NEC製のパソコン用HD DVD-ROMドライブのデモ機。DVD/CDの再生にも対応する NECの自社ブースで展示されていたHD DVD-ROMドライブと三洋製光学ピックアップなど
HD DVDブースで展示されていた、NEC製のパソコン用HD DVD-ROMドライブのデモ機。DVD/CDの再生にも対応するNECの自社ブースで展示されていたHD DVD-ROMドライブと三洋製光学ピックアップなど
三洋製光学ピックアップの写真。レーザーダイオードは3、対物レンズは1と思われる
三洋製光学ピックアップの写真。レーザーダイオードは3、対物レンズは1と思われる

HD DVD陣営の盟主と言える東芝は、同社のAVノートパソコン“Qosmio”のボディーにノートパソコン用薄型HD DVD-ROMドライブを組み込んだ試作機も披露していた。ドライブユニット自体は東芝と韓国サムスン電子社の合弁企業である東芝サムスン・ストレージ・テクノロジー(株)(TSST)が製造を行なう。

TSSTが製造するノートパソコン用の薄型HD DVD-ROMドライブ。搭載する光学ピックアップは、3レーザーダイオード、1対物レンズの構成で、HD DVD/DVD/CDの読み込みに対応する
TSSTが製造するノートパソコン用の薄型HD DVD-ROMドライブ。搭載する光学ピックアップは、3レーザーダイオード、1対物レンズの構成で、HD DVD/DVD/CDの読み込みに対応する
HD DVD-ROMドライブを前面左に内蔵したQosmioの試作機。パソコン用のHD DVD再生ソフトにより、パソコン上での鑑賞が可能

また東芝と三洋は民生用HD DVDプレーヤーの試作機を、東芝はHD DVDレコーダーの試作機も出展していた。東芝は9月に、2層式のHD DVD-R(記録容量30GB)に対応するHD DVDレコーダーを、来年春には発売すると発表している。

東芝ブースでHD DVDの再生デモを実演していたHD DVDプレーヤーの試作機。プレーヤーの最初の製品は、日本では年内、米国でも2006年2~3月に発売される予定 三洋製のHD DVDプレーヤー試作機。2005 International CESなどで展示された機材とはデザインが異なり、製品により近いものと思われる
東芝ブースでHD DVDの再生デモを実演していたHD DVDプレーヤーの試作機。プレーヤーの最初の製品は、日本では年内、米国でも2006年2~3月に発売される予定三洋製のHD DVDプレーヤー試作機。2005 International CESなどで展示された機材とはデザインが異なり、製品により近いものと思われる
記録型分野ではBDに遅れていたHD DVDだが、1層式の規格フィックスと2層式の年内規格化を受けて、レコーダーの開発も進んでいる。来春には市場に投入される予定
記録型分野ではBDに遅れていたHD DVDだが、1層式の規格フィックスと2層式の年内規格化を受けて、レコーダーの開発も進んでいる。来春には市場に投入される予定

記録型のディスクメディアについては、リコー(株)や太陽誘電(株)などが、HD DVD-RやHD DVD Re-recordable(仮称)のサンプルを出展していた。メディアメーカー側は発売に向けた準備を整えつつある。ちなみに気になる記録型メディアの価格だが、某メディアメーカーでは「現行の2層式DVD-R DL(実売価格で1200円前後)よりも安くしたい」とのコメントがあった。来春の登場が楽しみである。

HD DVDブースに掲げられていたリコー製のHD DVD-RメディアとHD DVD Re-recordable(書き換え可能)。リコーは記録型BDメディアも出品しており、その意味では中立の立場と言える 記録型光ディスクメディアの大手である太陽誘電も、HD DVD-RとBD-R(いずれも1層式)のサンプルを出展していた
HD DVDブースに掲げられていたリコー製のHD DVD-RメディアとHD DVD Re-recordable(書き換え可能)。リコーは記録型BDメディアも出品しており、その意味では中立の立場と言える記録型光ディスクメディアの大手である太陽誘電も、HD DVD-RとBD-R(いずれも1層式)のサンプルを出展していた

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