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【CEATEC JAPAN 2005レポート Vol.4】“Cell”の処理能力で奇妙に変身!? “デジタルかがみtype F”を披露――東芝

2005年10月04日 16時54分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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(株)東芝はホール1の製品中心の展示のほかに、ホール8にデバイス/半導体などを中心としたもうひとつの展示ブースを設けている。ホール8の東芝ブースでは、米IBM社/ソニー(株)/(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントと共同で開発したマルチコアプロセッサー“Cell”のパワフルな処理能力をソフトウェア開発者向けに見せつけるデモが行なわれていた。

Cellを搭載したマザーボード ソフトウェア開発者向けに提供予定という開発キット
Cellを搭載したマザーボードソフトウェア開発者向けに提供予定という、開発キットの画面と本体(写真下のキューブ)

東芝では、Cellを搭載した大きなキューブタイプのワークステーションに、OSやサンプルアプリケーション、ミドルウェアなどを収録した開発キットを2006年4月以降に提供開始する。会場では、これを使ったサンプルプログラムとして、

  • デジタル1チャンネル、アナログ3チャンネルの合計4チャンネルの同時録画
  • MPEG-2データを合計48ストリーム同時再生(デコード&多分割表示)
  • 顔の立体形状を取り込んで、メイク&ヘアメイクをリアルタイム描画する“デジタルかがみ type F”

という趣向の異なる3つのデモが公開された。特に来場者の多くが見入っていたのが“デジタルかがみ type F”で、最初にユーザー(近未来的なファッションの女性モデル)の顔を細かいポリゴンに分割して3D CGに変換し、そこにテクスチャーマッピングやテンプレートマッチング、行列演算による動き予測などを1秒間に100回以上行なって、ほとんど破綻のないメイク(動物をイメージした野生的なフェイスペイント)や、まったく印象の変わるヘアスタイル(男性のように短く揃えた髪型やオールバックなど)を施して、鏡を見るように顔を左右に振りながら確認しても破綻なく映像が合成されるというもの。

MPEG-2映像を合計48ストリーム同時デコードしているところ 6つのCPUコアがそれぞれ8つのストリームを並列処理する
MPEG-2映像を合計48ストリーム同時デコードしているところ1つのCPUコアで8つのストリームを並列処理(デコード)し、それが6つのコアで同時に行なわれるため、合計48ストリームの同時再生が可能になると説明

これは、ユーザーの前方にハーフミラーを斜めに立て、正面からカメラで撮影しながらユーザーの顔の動きを計測。それをCellの高速演算処理能力を生かして画像合成して、下部からハーフミラーに映し出すと、ユーザーには鏡に映った自分のように見えるというもの。映像出力の解像度は720×480ドット、フレームレートは毎秒30フレーム。会場では、モデルによるデモンストレーションだけでなく、来場者が実際にバーチャルメイク/ヘアメイクを体験できる時間も設けており、すっかり変わった自分に驚く声も聞かれた。さすがに顔の動きが速すぎたり、最初に計測した顔以外(アゴの下など)が映る角度では映像に矛盾も出てしまうが、Cellの処理能力の高さを十分アピールできるデモとして来場者の高い関心を集めていた。

デジタルかがみ type Fをデモしてみせるモデル デジタル合成の仕組み
デジタルかがみ type Fをデモしてみせるモデル。合成後の違いが分かるように、最初からかなり奇抜なファッションで登場したデジタル合成の仕組み。髪型の合成は、方向の違う映像をあらかじめ16種類用意しておき、ユーザーの顔の動きに応じて最適なものを選び、さらに微調整している
メイクの合成の例 顔のメイクとヘアメイクを組み合わせたところ
メイクの合成の例顔のメイクとヘアメイクを組み合わせたところ。顔と髪型では異なる処理を行なっているにもかかわらず、映像が乱れたり遅れることなく再現していた

このほか会場では、昨年のCEATECでも展示された世界最小の燃料電池ユニットの活用例として、昨年展示した携帯電話と充電(メタノール燃料の注入)ユニットのほか、新たにMP3プレーヤー2機種のコンセプトモデルを展示していた(モックアップだけでなく、説明員が1台ずつ実動モデルを持っていた)。十字ボタンを持つ、同社の“gigabeat(ギガビート)”を強く意識したデザインで、HDDタイプはかなり大型に見える(事実、厚みはgigabeatの2倍ある)が重さは250gで印象よりは軽く感じた。燃料電池による放電での発熱も、ほんのりぬくもりを感じる程度だ。また、HDDタイプ、フラッシュメモリータイプともに、側面にメタノール燃料の残量が分かる窓が設けられており、充電のタイミングをユーザーが確認できる。これらは試作機のため、燃料電池の効率を計測するためのユニットが搭載されるなど、製品版までにはさらなる小型化が図られると説明していた。

昨年も出ていた世界最小の燃料電池モジュール 燃料電池を使ったHDD内蔵のMP3プレーヤー
昨年も出ていた世界最小の燃料電池モジュール。後ろにあるのはギネスブックが認定した証明書燃料電池の活用例として、HDD内蔵のMP3プレーヤー(gigabeatのロゴがデザインされていた)を展示。説明員が持っているものは、実際に音楽を聴いてみることもできるが、燃料電池モジュールの取り外しはNGだった

このほか、同社説明員が「用途はこれから考えていきたい」という0.2インチ/QVGA表示の“超小型有機ELマイクロディスプレー”もユニークな存在だ。シリコンチップ上に有機ELディスプレーを形成したもので、1画素(ピクセル)は5×15μmという微細さ。同社では、「例えばビューファインダーなどへの応用も考えられる」という。

こちらはフラッシュメモリータイプ 側面にのぞき窓が
こちらはフラッシュメモリータイプで、『iPod shuffle』を一回り大きくしたような印象側面にのぞき窓があり、燃料電池のメタノール燃料の残量が一目で確認できるという

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