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エクセル、日本ALS協会、日立が、ALS患者向けYes/No判定装置“心語り”を開発――脳血流量で判定

2005年09月26日 21時08分更新

文● 編集部

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エクセル・オブ・メカトロニクス(株)、非営利団体の日本ALS協会、(株)日立製作所は26日、“ALS”(Amyotrophic Lateral Sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)が進んでコミュニケーションがとれないトータリーロックドイン状態(TLS: Totally Locked-in State)の患者向けに、問いかけに対するYes/Noを脳の血液量を測定して判定する装置“心語り”を開発したと発表した。エクセルが製品化し、年内に販売を開始する。

装着イメージ 測定装置
装着イメージ測定装置
“心語り”

ALSは、脊髄の運動神経が冒されて徐々に全身の運動機能が低下する難病。“心語り”は、頭脳の働きが正常でも身体をまったく動かせないTLSのALS患者(国内には約70名いると推定されている)でもコントロールできる生体現象(脳の血液量)を利用してYes/Noを判定するのが特徴。安静(リラックス)状態から意図的に頭脳を働かせると前頭葉の血液量が増え、意図的に安静状態を保つと変化が起こらなくなることを利用するもの。人体を透過しやすい近赤外光を頭蓋骨を通して脳に送ると、近赤外光が脳の表面付近で散乱され、その光の一部が頭蓋骨を通って戻ってくるが、血液量が増加するとその検出光量が減少し、血液量が変わらないと検出光量も変わらないという。

脳血液測定の原理
脳血液測定の原理

測定は“安静期間”“回答期間”“安静期間”の3区間で行なわれ、最初の安静期間は計測を開始するための準備期間、回答期間はYes/Noの回答を得る区間、最後の安静期間は回答期間とのデータ変動の差異を見る区間となっており、各区間は12秒で、1つの回答を得るための時間は36秒。

測定データと判定結果
測定データと判定結果

装置は“額装着部”“制御部”“『Yes/No判定プログラム』を格納したパソコン”で構成される。発光ダイオードとPINフォトダイオードを内蔵した額装着部を伸縮性のあるベルトで患者の額に固定し、検出光量を制御部で電気信号に変換、その変化データをUSB経由でパソコンに送るようになっている。『Yes/No判定プログラム』は、一般的に、頭を使う場合には血液量の変化の振幅が大きく揺らぎ回数が少なくなり、リラックスした状態が続くと血液量の変化の振幅が小さく揺らぎ回数が多くなることを利用し、あらかじめ患者から計測しておいたモデルデータを元にYes/Noの判定を行なう。振幅と揺らぎによる測定方式を利用することで、正答率は80%となったという。

モデルデータによるYes/Noの判定領域
モデルデータによるYes/Noの判定領域

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