オリンパスイメージング(株)は27日、CCDサイズとレンズマウントの統一規格“フォーサーズシステム(Four Thirds System)”に準拠するレンズ交換式一眼レフデジタルカメラ“オリンパス E-システム”の第3弾製品として、デジタル一眼レフカメラで最軽量(同社調べ、2005年9月27日現在)という『E-500』を11月11日に発売すると発表した。価格はオープンプライスで、ブラックとシルバーの2タイプが用意される。編集部による予想実売価格は、2004年9月に当時のオリンパス(株)が発表した『E-300』と同じ『ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6』のフォーサーズ対応レンズをセットにした“レンズキット”が10万円を切る程度になりそうだ。
レンズを外した『E-500』の正面と、背面の操作系 |
E-300は軍艦部(一眼レフカメラ上部のミラーやプリズムを収納する突起部)を省略することで、デジタル一眼レフカメラとして最小サイズ(幅146.5×奥行き64×高さ85mm)を実現したが、E-500は一般的な一眼レフカメラと同様にフラッシュ内蔵の軍艦部を持つ。代わりに、電源部との2枚構成だった基板を1枚に集約し、素材を変更することで重量を約580g(本体のみ)から約435gへと大幅な軽量化を実現した。これは、従来最軽量と言われたペンタックス(株)の『*ist DL』より35g軽量となる。具体的な軽量化の工夫としては、グラフファイバーで強化した“エンジニアリング・プラスチック”と、強度的に不要な部分に穴を開けて軽量化を図った“ステンレス・スチール”を組み合わせた“ハイブリッドシャーシ”、ならびにボックス構造を採用することで、軽量化と高い剛性を実現できた、と説明する。
上部のスイッチ類。ロータリースイッチで、本格撮影からシーンモードによるお手軽撮影まで切り替え可能 |
背面には一眼レフデジタルカメラとして最大級の2.5インチ21万5000画素の“ハイパークリスタル液晶”(半透過型TFT)ディスプレーを採用。これは視野角が広く、明るい場所でも視認性に優れるもので、撮影結果を数人が同時に鑑賞する際や、屋外での撮影結果をプレビューする場合でも細部まで確認しやすい、としている(液晶ディスプレーは輝度を±7段階に調整可能)。また、高解像度液晶ディスプレーの採用に合わせて撮影設定情報を1画面により多く表示する“詳細表示モード”と、情報量を減らす代わりに大きな読みやすい文字で表示する“簡易表示モード”の2種類の“スーパーコントロールパネル”を用意する。
レンズキットの付属レンズを取り付けた、シルバータイプ | シルバータイプの背面 |
ちなみに、本製品に付けられた“三ッ星”は、上記の“小型軽量ボディー”“2.5インチの大型液晶ディスプレー搭載”に加えて、E-300と同等の“800万画素フルフレーム型CCD”の採用による、ラチチュード(適正露出範囲)の幅が広い滑らかな表現が可能な撮像素子を搭載、という3つの特徴を差す。同社開発者は、E-1/E-300についてのユーザーの評価として「空が奇麗に写ると評判で、これを“コダックブルー”(CCDセンサーをコダックが開発・提供していることから)と呼ぶ方もいるが、最終的に出力される映像はセンサーだけでなく、画像処理の性能も大きい。これからはぜひ“オリンパスブルー”と呼んでほしい」と画質への強い自信を表わした。
徹底的な軽量化を図ったシャーシ | シーンモードの一例、花火撮影の場合 |
そのほか、従来のE-1/E300から搭載する“ダストリダクション”機能(レンズ交換時などにCCDの表面にほこりなどが載った場合でも、電源投入直後に自動的にCCD表面のフィルターを超音波振動させることで、ゴミを落とす機能)に加えて、
- 夜景/夜景+人物/花火/夕焼けなど15種類の“シーンモード”を搭載
- プリントして見栄えのするべく記憶色強調を行なう“VIVID(ビビッド)”、自然なトーンに調整する“NATURAL(ナチュラル)”、カメラの測色に忠実な色合いを記録する“FLAT(フラット)”の3種類の“仕上がりモード”を用意。各モードごとにコントラスト/シャープネス/彩度を調整可能
- 7×7の49ブロックに分割して明るさを検出する新型測光システム(露出モードはESP測光(評価測光)/中央重点平均測光/スポット測光の3モード)を搭載
- スポット測光時は、“ハイライトコントロール”(最も明るい部分を“白とび”しないように調整)、もしくは“シャドーコントロール”(最も暗い部分が“黒つぶれ”しないように調整)を選択可能
- 暗い状況でISO感度を上げた場合に有効な“ノイズフィルター”を搭載。色ノイズ/輝度ノイズが従来から半減できたという
- 高速記録可能なメディア(サンディスク(株)の“Extreme III”など)を利用し、解像度HQで1/8圧縮のJPEG記録時に、毎秒2.5コマで容量いっぱいまでの連写が可能(RAW/TIF形式では最大4コマまで)
- xDピクチャーカードとType II CFのデュアルカードスロットを装備。一方が容量いっぱいまで撮影したときに、自動的にもう一方に記録を続けることができるほか、メディア間のコピーも可能
- 2枚の画像で同じ座標で同一倍率(最高14倍)に拡大して比較検討する“ライトボックス再生機能”を搭載
- 本体背面でちょうどシャッターの裏側に当たる位置にカスタマイズ可能な“ワンタッチWBボタン”を搭載。押しながら撮影すると、メディアに記録せずに露出だけを測る“試し撮り”、もしくはあらかじめ記録しておいた撮影設定でシャッターを切る(離すと元の状態に戻る)“マイモード撮影”に割り当てが可能
- 電源は専用リチウムイオンバッテリー『BLM-1』を使用するが、オプションのバッテリーホルダー『LBH-1』を利用すればカメラ向けのリチウム単3電池(CR123A)も使用可能
といった新機能を備える。
コントロールパネルは、薄いブルーグレーと、高コントラストなタイプの2種類の配色を用意。これは屋外での視認性に配慮した結果だという | コントロールパネルの操作は、従来どおりメニューキーでツリー構造のメニューを呼び出して操作することもできるが、カーソルキーの1ボタンで機能を直接呼び出す、もしくはOKキーを押すことでフォーカス(変更したいエリア=画面の黄色枠)をパネル上で選んで切り替えることもできる |
上記以外の主なスペックは、撮像素子に4/3インチ(17.3×13.0mm)サイズの有効800万画素CCDを採用。記録解像度は最大3264×2448ドット(4:3)、記録形式はRAW(12bit)/TIF(RGB各8bit)/JPEG(DCF/DPOF準拠、Exif 2.2/PRINT Image Matching II対応)およびRAW+JPEG。
新たに搭載した“ライトボックス再生”機能。パソコンが手元になくても、よりよい写真を選んで残すことができる |
ファインダーはペンタダハミラー方式の光学式で、視野率約95%、倍率は約0.9倍。シャッター速度は1/4000から60秒、およびバルブ(最長8分、リミッター付き)。フラッシュのある軍艦部には、フラッシュ制御用端子のあるホットシュー(外部フラッシュ接続用マウント)を備える。
なお、同時にオリンパス E-システム向けデジタル専用レンズの新製品として、
- ZUIKO DIGITAL(ズイコーデジタル) ED 35-100 F2.0
- 全域F2.0と明るい70~200mm相当(35mmフィルムカメラ換算時)のズームレンズ
- 35万5000円(税別)
- 10月14日発売予定
- ZUIKO DIGITAL ED 90-250mm F2.8
- 全域F2.8で180~500mm相当(同)の超望遠撮影が可能なズームレンズ
- 80万円(税別)
- 12月発売予定
- ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro
- レンズ先端から4.2cmまで近接できる、70mm(同、約2倍相当)の単焦点マクロレンズ
- 3万5500円(税別)
- 11月発売予定
- ZUIKO DIGITAL ED 18-180mm F3.5-6.3
- 440gと軽量な、38-380mm(同)10倍ズームレンズ
- 6万円(税別)
- 2006年春発売予定
の4製品を順次発売すると発表した。これにより、ZUIKO DIGIATLシリーズのレンズ群は15製品がラインナップされることになる。
『ZUIKO DIGITAL ED 35-100 F2.0』 | 『ZUIKO DIGITAL ED 90-250mm F2.8』 | |
プロ向けレンズ2製品 |
『ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro』 | 『ZUIKO DIGITAL ED 18-180mm F3.5-6.3』 | |
撮影シーンを広げる手ごろな新型レンズ |
また、同社ではE-500を発売前に試せる“体感講座”を10月8日/9日の東京を皮切りに、名古屋/大阪/札幌/広島/仙台/福岡の各地で実施する。詳細は同社ウェブサイトで確認いただきたい。