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産経新聞社、有料の電子新聞新サービス“産経 NetView”を発表――10月1日に配信開始

2005年09月20日 21時30分更新

文● 編集部 内田泰仁

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(株)産業経済新聞社(以下産経新聞社)は20日、インターネット向けの電子新聞サービス“産経 NetView”を10月1日に開始すると発表した。購読料は月額315円、販売はエー・アイ・アイ(株)(以下AII)/ニフティ(株)“アット・ニフティ”/NTTコミュニケーションズ(株)“OCN”/日本電気(株)“BIGLOBE”/ソニーコミュニケーションネットワーク(株)“So-net”を通じて行なう。

“産経 NetView”の利用イメージ

“産経 NetView”、2005年3月にサービスを休止した電子新聞サービス“ニュースビュウ”の後継となる新サービス。電子紙面の編集/組み立てシステムは(株)ヤッパが開発、配信システムのホスティングはAIIがそれぞれ行なう。紙面データは米マクロメディア社の“Macromedia Flash”を用いて構成され、購読専用のクライアントソフトウェアなどは必要ない(プラグインとしてMacromedia Flash Player 7以上が必要)。

電子新聞のトップ。紙面右に表示されているのはページ選択を行なう“もくじ”実際の紙面と同様に、見開き表示も可能。画面上部に表示されているツールバーには、操作ツールやリンク/検索などのボタンが配置されている

配信する電子新聞は、同社が発行する“産経新聞”の東京朝刊最終版(32ページ構成)をベースに、全20ページ程度で構成。配信は新聞発効日の午前5時から行なわれ、バックナンバーの配信は行なわれない。電子新聞の紙面構成は、“ニュースの強弱(=重要度)のわかりやすさ”を考慮して、当日発行される実際の新聞紙面を踏襲した紙面構成/記事レイアウトが用いられ、25%~400%の拡大/縮小表示が可能。一部の記事については、紙面に掲載されなかった写真や動画などのコンテンツが埋め込まれるという。また、特定記事のみを印刷する機能も用意する(記事は画像として扱われ、テキストデータを抽出することはできない)。

赤枠で囲まれたコンテンツは、追加の情報があることを示している。この写真の場合は、動画と別の写真を見ることが可能ツールバーの“調べリンク”をクリックし、プルダウンメニューを表示したところ

このほかの機能としては、記事に関連する情報を調べる際に便利なリンク系コンテンツを用意し、電子新聞紙面上部に表示されるツールバーに設置された“調べリンク”ボタンから利用できる。用意されているリンクは、世界地図/歴史年表/国会議員名簿/閣僚の顔ぶれ/株価検索/マーケット情報/略語集/全国テレビ番組表。また、新聞発行後に発生したニュースをフォローするニュース速報、過去2ヵ月間のニュースを検索する簡易記事検索といった同社のウェブサイト“SankeiWeb”の記事/機能を参照する機能を持つ。

産経新聞社は“産経 NetView”の立ち上げにあたり、動画コンテンツの調達に向けて、編集局と写真報道局に80台のムービーカメラを配置、各局スタッフが取材時に撮影を行なう体制を整備。さらに、カメラマンや取材記者だけでなく、編集部門以外の社員もムービーカメラでの撮影に広く参加していく方針だという。

代表取締役社長の住田良能氏

この日行なわれた記者説明会で冒頭に挨拶を行なった産経新聞社 代表取締役社長の住田良能(すみたながよし)氏は、「ブロードバンドの普及により情報産業の環境は一変」「ネットの破壊力に対する(紙媒体側の)明快な“解”はなく、(多くの試みが)必ずしも成功しているとは言えない」と述べ、インターネット社会の急速な浸透で活字メディアは岐路に立たされているとの認識を示した。これに対して同社では、「紙媒体のクオリティーを向上させるとともに、時代に即したインターネットでの展開を模索していく」として、豊富なコンテンツと社会的な使命を持つという既存の媒体をベースに、電子媒体ならではの付加価値を与えた新しいサービスを展開し、インターネットの普及に伴って進んでいる若い世代の“新聞離れ”に対しても、新聞の価値を伝えていきたいと述べた。

専務取締役の齊藤徹氏

事業概要を説明した専務取締役の齊藤徹氏によると、同サービスのターゲットとするユーザー層は、「新聞を読まない若者のネットユーザー」だといい、目標ユーザー数は初年度で3万人とし、さらに「早いうちに1万ユーザーを実現したい」と述べた。なお、損益が分岐するユーザー数は7万人程度だとしている。

デジタルメディア局長の小林静雄氏

また、機能の説明を行なったデジタルメディア局長の小林静雄氏は、質疑応答の中で、既存の紙媒体とインターネット配信の両立に関する質問に答え、「前サービスでの経験から、ネット配信により(紙媒体の)購読者数が減少するということはない」と述べ、逆に電子新聞から紙の新聞の購読へと切り替えるユーザーの例も少なくないとした。価格設定についての質問に関連しては、「社内でも(紙に対して安すぎるという)議論はあった」としたが、「インターネットユーザーは(有料のサービスは)100円でも高いと感じる」と述べ、紙とのバランスを考慮して「ぎりぎり妥協できるライン」として315円という価格に落ち着いたとしている。

なお、同じフジサンケイグループの(株)フジテレビジョンと(株)ライブドアの間では、放送/通信事業に関する業務提携の合意が4月に発表されているが、住田氏は「(ライブドアとの)合意は、フジサンケイグループとしてではなくフジテレビとの間で結ばれたものなので、産経新聞としてはコメントできない」と述べたが、産経新聞社の電子新聞サービスに関連したライブドアとの提携は「ない」としている。

ヤッパの代表取締役社長、伊藤正裕氏。「新聞紙面は情報ポータル」とする同氏は、今回のサービスは通常の新聞以上の付加価値を持つものになると述べた配信を行なうAIIの代表取締役社長、大塚博正氏。“産経 NetView”の購読開始とログイン認証の受付は、販売を行なうAIIおよびISP各社の専用ページから行なわれるが、実際の配信はAIIが一元的に行なう。コンテンツへのログインは、AII独自の認証システムを使用して不正なアクセスを防ぎつつ、安定したサービスを提供するとしている
説明会に参加した、システム開発、配信を担当する(株)ヤッパおよびエー・アイ・アイ(株)の代表者

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