日本オラクル、顧客データ統合管理システム“Oracle Customer Data Hub”でジャスミンソフトと提携――“日本標準”のソリューション提供目指す
2005年08月08日 20時14分更新
日本オラクル(株)は8日、顧客データ統合管理システム“Oracle Customer Data Hub”において、(株)ジャスミンソフトの住所データ正規化ツール『住所正規化コンバータ for Oracle』と連携した統合ソリューションを提供すると発表した。この日行なわれた記者説明会では、2005年6月に同分野での協業を発表している(株)帝国データバンクとの連携製品に関する説明も併せて行なわれた。
日本オラクルとジャスミンソフトおよび帝国データバンクの提携により実現する“日本標準”の統合顧客管理基盤の構成図 | 利用用途 |
“Oracle Customer Data Hub”は、データ蓄積の基盤となる“Customer Data Model”、情報源管理/名寄せ/検索などの機能からなるエンジン部“Customer Data Librarian”、データ表示機能部“Customer Online”を核に、企業における顧客データ管理システムの統合/システム連携/情報の可視化を実現する顧客データの統合管理システム。今回発表されたジャスミンソフトおよび6月に発表された帝国データバンクと“Oracle Customer Data Hub”の連携は、同製品の日本市場に特化した機能強化が狙いで、日本で標準的に用いられている住所表記や企業概要データに基づいた“日本標準の”統合顧客データ管理基盤の確立を目指すものとなっている。
日本オラクル アプリケーションソリューション本部 担当シニアマネジャーの中山厚紀氏 |
ジャスミンソフト、帝国データバンクとの提携の目的や機能の概要を説明した日本オラクル アプリケーションソリューション本部 担当シニアマネジャーの中山厚紀氏は、同社の顧客企業や大企業が抱える顧客データ管理に関する課題として、社内システムが業務毎に縦割り運用されていることによる顧客情報共有や有効活用の不足、企業統合やM&A情報への迅速な対応が困難な点、情報のメンテナンス(名寄せなど)のコストが高額であることなどを挙げ、これらを解決するための日本市場向けのソリューションとして、両社との提携に至ったとしている。
ジャスミンソフト 代表取締役の贄良則氏 | 『住所正規化コンバータ for Oracle』と連携した“Oracle Customer Data Hub”の構成図 |
ジャスミンソフトの『住所正規化コンバータ』は、顧客データの都道府県名の補完、異体字/番地/郵便番号の表記の異なる同一住所を正規化するツール。この日行なわれた記者説明会で製品の説明を行なったジャスミンソフト 代表取締役の贄良則(にえ よしのり)氏によると、日本の住所表記には統一された“標準表記”がなく、企業や省庁によって表記法はばらばらだという。同社では、製品の開発にあたって、最も認知度が高く事実上の標準として用いられており、市町村合併などへの対応(データ更新)が速い日本郵政公社のデータを表記ルールに採用したという。
今回発表された『住所正規化コンバータ for Oracle』は、オラクルが新たに開発/追加した“Oracle Customer Data Hub”のXML標準インターフェース“Address Validation”を経由して通信を行ない、複数アプリケーションに渡って存在する顧客データの住所を自動変換し、顧客データベース上の情報の重複排除を行なう。“Oracle Customer Data Hub”による顧客データベースの統合管理と『住所正規化コンバータ for Oracle』による重複排除や名寄せを用いることにより、企業内の顧客データ統合によるより有益な営業支援システムの構築や、顧客データのメンテナンス・コストの低減などが可能になるとしている。
『住所正規化コンバータ for Oracle』の製品価格はプロセッサーあたり8万円、保守費用は年間1万6800円。
帝国データバンク 企画部マーケティング課 グローバル マーケティング チームの錦織総一氏 | “Oracle Customer Data Hub”と“COSMOS2”を連携させたシステムの構成図 |
6月に発表された日本オラクルと帝国データバンクの提携では、“Oracle Customer Data Hub”の“Customer Data Model”と、帝国データバンクの企業概要データベース“COSMOS2”を連携させ、“Oracle Customer Data Hub”で蓄積/管理する顧客データと“COSMOS2”に登録されている“TDB企業コード”(帝国データバンクが独自に取材/収集した企業情報をベースに、1社=1コードとして設定している企業特定のための識別コード)を紐付けし、オンライン上で特定顧客の各種情報を閲覧できるようにするというもの。この連携により、“Oracle Customer Data Hub”における企業情報の表記を“COSMOS2”を基準に標準化し、企業合併やM&Aなどに伴う顧客情報の迅速な統合や、データベースのメンテナンス・コストの低減が可能となる。
“COSMOS2”と“Oracle Customer Data Hub”の連携について説明した帝国データバンク 企画部マーケティング課 グローバル マーケティング チームの錦織総一氏は、顧客から寄せられた要望として、与信管理のルール整備/取引先のリスクの分析/効率的な与信管理などを挙げ、この連携により“情報の活用”と“システム化”を可能とし、「顧客情報価値の最大化を実現」すると述べ、これらの要望に応えていくとした。
なお日本オラクルでは今後、“Oracle Customer Data Hub”に関連して、以下の製品/サービスの展開を予定しているという。
- ビジネス・インテグレーション・ソリューション(2005年冬予定)
- コールセンター連携ソリューション(2006年予定)
- 導入企業による導入事例紹介セミナー(2005年秋予定)
- 簡易導入サービス(2005年秋予定)
- 認定コンサルタント設立(2005年秋予定)
- 導入ユーザーコンソーシアム設立(2006年予定)