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インテル、FSBが667MHzに高速化されたItanium 2プロセッサー2製品を発表

2005年07月19日 16時54分更新

文● 編集部 小西利明

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667MHz FSBに対応する新Itanium 2を搭載した日立のエンタープライズサーバー“BladeSymphony”
667MHz FSBに対応する新Itanium 2を搭載した日立のエンタープライズサーバー“BladeSymphony”

インテル(株)は19日、667MHzに高速化されたFSB(フロント・サイド・バスまたはシステムバス)に対応した新しいItanium 2プロセッサー2製品を発表、同日出荷を開始した。主な仕様と価格は以下のとおり。なお価格は1000個受注時の単価。

インテル Itanium 2プロセッサー 1.66GHz/9MBキャッシュ 667MHzフロント・サイド・バス対応
内蔵3次キャッシュ 9MB、FSB 667MHz
51万2050円
インテル Itanium 2プロセッサー 1.66GHz/6MBキャッシュ 667MHzフロント・サイド・バス対応
内蔵3次キャッシュ 6MB、FSB 667MHz
24万1340円

都内にて開かれた報道関係者向けの新製品説明会にて、同社マーケティング本部 本部長の阿部剛士氏は、同社のサーバー市場におけるプラットフォーム戦略などについて語ったうえで、Itanium 2プロセッサーの好調さについて述べた。2004年にItanium 2シリーズは、ワールドワイドでの売上金額ベースで2003年の3倍もの成長を記録。ソフトウェアも3600以上のIA-64対応アプリケーションが揃い、プラットフォームも2~4プロセッサーの小規模なものから、8~128プロセッサーの大規模システムまで、採用プラットフォームが着実に増加しているとした。

インテル マーケティング本部 エンタープライズ プラットフォーム マーケティング統括部長の平野浩介氏
インテル マーケティング本部 エンタープライズ プラットフォーム マーケティング統括部長の平野浩介氏

同社マーケティング本部 エンタープライズ プラットフォーム マーケティング統括部長の平野浩介氏による新製品の説明では、FSB帯域がシステム全体のパフォーマンスに大きく影響する点について述べられ、従来の400MHz FSBが新製品で667MHz(10.6GB/秒)へと66%高速化されたことにより、最大で34%のパフォーマンス向上を実現したとしている。コアアーキテクチャーやキャッシュメモリー関連の仕様は従来のItanium 2と変更はない。ただし新製品はFSBの高速化にともない、コアクロック自体も若干向上(1.60GHzから1.66GHzに)しているが、性能向上に与えるインパクトは、FSB向上に比べればごくわずかだろう。

新しいItanium 2の特徴。大きく変化したのはFSBクロック周波数くらいで、アーキテクチャー自体はまったく変わっていない
新しいItanium 2の特徴。大きく変化したのはFSBクロック周波数くらいで、アーキテクチャー自体はまったく変わっていない

平野氏は新しいItanium 2-1.66GHz/9MB 3次キャッシュ/667MHz FSBと、従来のItanium 2-1.60GHz/9MB 3次キャッシュ/400MHz FSBを比較して、浮動小数点演算性能を計測するベンチマークテスト“SPECfp base2000 1CPU”の結果が約10%ほど高速化され、単体では世界最高性能であると、優れたパフォーマンスをアピールした。

667MHz FSBに対応したチップセットは発表されておらず、現時点ではシステムベンダーが独自に開発したチップセットを使用することになる。発表会ではいち早く667MHz FSBに対応するサーバー製品を投入する(株)日立製作所から、エンタープライズサーバ事業部 副事業部長の渡部眞也氏がゲストとして来場し、新Itanium 2に対応する同社のサーバー製品“BladeSymphony”についての説明を行なった。展示されていたシステムでは、2つのItanium 2とノードコントローラー(NDC)間を667MHz FSBで接続。NDC同士の接続やNDCとメモリーコントローラー間の接続にも667MHzのバスを使用することで、各バス帯域の向上によるシステム全体の高速化を実現するとしている。

日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 副事業部長の渡部眞也氏 新Itanium 2の667MHz FSBに対応する日立製作所のサーバーモジュールのブロック図。FSBに合わせて、メモリーバスやノード間バスも高速されている
日立製作所 エンタープライズサーバ事業部 副事業部長の渡部眞也氏新Itanium 2の667MHz FSBに対応する日立製作所のサーバーモジュールのブロック図。FSBに合わせて、メモリーバスやノード間バスも高速されている

新しいItanium 2は従来どおりのシングルコア/シングルスレッドCPUであるが、発表会での説明では、むしろ次世代ItaniumであるデュアルコアCPU“Montecito”(モンテシト)の話が中心と言っても過言ではなかった。新Itanium 2の667MHz FSBにしても、同じFSBアーキテクチャーを使うMontecitoへのスムーズな移行が可能といった具合であり、Itanium 2の発表会なのか、Montecitoの説明会なのか分からないような気分にさせられた。Montecitoはデュアルコア化によるパフォーマンスの向上に加えて、マルチスレッド対応(2コアで計4スレッドを同時実行可能)や省電力機能の強化、仮想マシン技術“インテル・バーチャライゼーション・テクノロジ”への対応など、多くの仕様が取り入れられる予定のCPUだ。Itaniumシリーズを大きく変革するものになると予想されており、Montecitoの前座的な位置づけとも言える今回の新Itanium 2の影がいささか薄くなってしまうのも、仕方のないことかもしれない。平野氏によれば、Montecitoは年内に正式発表され、来年には量産出荷が立ち上がるとのことだ。

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