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最新テクノロジーを体験する! “ソニーコンピュータサイエンス研究所展”が開催中

2005年07月19日 14時44分更新

文● 編集部 小林久

ソニーコンピュータサイエンス研究所展は、お台場メディアージュ5Fで開催中

(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所(以下Sony CSL)は、同社の研究成果を発表するイベント“ソニーコンピュータサイエンス研究所展”を東京・台場のメディアージュにおいて開催中だ。会期は16日から24日まで。メディアージュ内にある体験型のサイエンスミュージアム“ソニー・エクスプローラサイエンス”の併設イベント。同ミュージアムの入場料は大人500円、小人300円。

今回のイベントでは、インターフェース関連の展示のほか、5人の研究員による講演が予定されている。Sony CSLは“コンピュータサイエンス”を研究することを目的に1988年に設立された機関で、最近ではシステム複雑系や脳科学などにも研究範囲を広げている。学問的に高度なものも含まれているが、展示や講演の多くは、実際に参加することが可能で、子供でも楽しめる内容となっている。

なお、ソニー・エクスプローラサイエンスでは夏休み後半のイベントとして、8月6日から14日までソニーの二足歩行ロボット“QRIO”のデモンストレーションイベントを開催する。イベントでは、歴代試作機の展示やQRIOに実際に触れられる“ふれあい体験ワークショップ”(ウェブでの予約制)なども開催される予定。



展示内容の見どころ

展示会場にはインターフェース関連の8つの研究成果が行なわれており、すべてを実際に体験できるようになっている。

ソニー・エクスプローラサイエンス(左)の会場脇に設けられた“ソニーコンピュータサイエンス研究所展”の特設会場”(右)

特設会場では“コンピュータと人間のインタラクション”に関する研究の中から、代表的で親しみやすいデジタル技術を選定して、初めて一般公開するもの。人間の体を伝わる電気を利用した認証システムや、触感も感じられるタッチパネル、物体の表面に書いたドットパターンを認識して、画像に変換するシステムなどが展示されており、実際に体験することができる。以下、展示の見所を紹介する。

認証デバイスの“Wearable Key”。腕時計型の認証デバイスとマウスの両方に電極が設けられており、腕時計を付けてマウスを握ると微弱な電気が人体を通して伝わる。非接触型ICのようにかざす動作が不要で、マウスを握るだけで自然に使えるようにしたという。

Wearable key
認証デバイスの“Wearable Key”。腕時計型のデバイスを腕にはめ、マウスを握るとトラの画像が表示される。
人体に電気を通す実験、右と左の電極を同時に触れると左右のパソコンの画面が同じものになる

“CyberCode”は立方体表面や厚紙に書かれた2次元のドットパターン。これをウェブカムで撮影すると、コードに組み込まれたデータと3次元的な向きをコンピュータが認識して、画像の一部を変換して表示する。立方体の向きを変えることで、ペンギンの表示向きを自由に変えたり、厚紙のパターンの一部を手で隠すことによって複数枚の画像を切り替えて表示することが可能。応用例としてはビデオ会議などを想定しているという。

立方体をカメラに見せると、ペンギンがあたかもそこにいるように見える。立方体の角度を変えると、ペンギンの角度も変わる
厚紙のパターンの一部を手で隠すことによって、画像を切り替えることも可能

“ChatScape”は“パラパラ漫画”風のビジュアルコミュニケーションシステム。テキストを入力すると2枚の画像が撮影され、アニメのようにランダムに切り替わる。また、入力したキーによって自動的にエフェクトが追加される点も面白い部分で、たとえば“びっくり”と入力すると人物を中心に放射状の線が表示されたり、“虹が出ます”と入力すると虹の絵が画面に表示されたりする。

“LUMEN”(ルーメン)は、3次元的な表現もできるようにした表示デバイス。黒い直方体のボディーにLEDの光とアクリルのライトガイドが浮かび上がる。アクチュエーションには形状記憶合金を利用しているという。

ルーメン(左)に表示するものは、パソコンで指定することができる(右)

タッチ・圧力センシングにより、さまざまな操作が行える“Pre-Sense”。タッチパッドに似ているが、指の圧力に応じてより複雑な操作が可能になっており、画像の拡大縮小や切り替えなどが指先の操作で簡単に行なえるようになっている。

Pre-Sence。VAIO Pocket VGF-AP1などにも採用されている

また、ピエゾ素子を利用して“さわり心地”も表現する“タッチエンジン”、音楽の一部を演奏するとデータベースを照合して続きを演奏してくれる“Continuator”といった機器のデモも行なわれている。

Touch Engine。ディスプレー上のボタンを押すと、ピエゾ素子が振動し、本物のボタンを押したようなさわり心地が感じられるContinuator。演奏者の音階やテンポ、音楽的スタイルなどを人工知能が学習し、それに続く楽曲を自動的に作り出す


クオリアの茂木氏が講演

講演は土日と祭日に10コマが用意されているが、初日と2日目の目玉はSony CSLの研究員の茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)氏が行なった“科学の恵み”という講演。

茂木健一郎氏
Sony CSL研究員の茂木 健一郎氏

茂木氏は“感覚に伴う質感”(感覚質=クオリア)をカギに脳科学の研究を行なっている。ソニーが全社的に取り組んでいるプロジェクト“QUALIA”は、ソニー(株)前会長の出井 伸之(いでい のぶゆき)氏が、移動中の飛行機内で茂木氏の記事を読み、感銘を受けたことがきっかけになったと言われている。

初日の講演では、感情の中枢を司る“扁桃体”を育むためには「昆虫採集が最適」とした茂木氏だが、2回目の講演では“Serendipty”(セレンディピティー:偶然の出会い)をキーワードとした“科学との接し方”について紹介した。

“Serendipty”とは、18世紀イギリスの首相ロバート・ウォルポール(Robert Walpole)の息子ホレス・ウォルポール(Horace Walpole)が、1754年に考案した造語。ペルシャのおとぎ話『セレンディプの三人の王子たち』にちなんだもので、王子は“智恵と偶然”によって予想外の幸運を手に入れる。

茂木氏は「最近ノーベル賞を取った4人の日本人科学者のうち、実に3人が意図せず研究テーマに出会った」「電気を見つけたガルバーニやX線を見つけたレントゲンの発見も偶然だった」と説明し、「暗いところで試験管を振るのが科学者の仕事じゃないんですね。偶然の出会いが科学を作ってきたんです」とコメントした。



右と左の写真の違いがわかるだろうか? 一見同じ写真に見えるが、ひとたび違いに気付くと、元には戻れないのが脳の不思議だ

また脳科学の分野で最近注目されている“Change Blindness”(一発学習)という概念を紹介。“よく似た2つの絵の相違点を見つけ出す”という問題を通じて、“気付く前は同じに見えた絵でも、一度その違いに気付いてしまうともう同じ絵には見えなくなる”という脳の特性を紹介。「私たちがいかに世界の変化に気付かずにいるかを知ってほしい」と述べた。

Serendipty
Serendiptyとは、Aという目的を達成するために旅を続けるうちに、Bというに予期せぬ結末を迎えるという図式。これは科学的な発見にもしばしば見られるという

Serendiptyには、何か新しい「行動」を起こし、その過程で何かに「気付き」、それを「観察」して「理解」することが必要になる。茂木氏は、学生時代の恩師に言われた「“hand waving”はダメだよ」という言葉を引用。“hand waving”は身振り手振りで相手を説得することを示す。つまり自分の考えが正しいと相手に押し付けてはいけないという意味だ。“自分の利益”に固執することは、科学に対する目を曇らせてしまう。

茂木氏は「最近、目的がないと行動しない人が増えているようですが、これは自分の利益から離れられていないことでもあります」と指摘。重要なのは行動を通じて“何かに気付くこと”で、それにはとにかく行動を起こして、その中で出会ったさまざまな事象に偏見なく接することが重要であると述べた。

なお、Serndiptyを実現する上で最後に必要になる要素は「実現」すること。茂木氏は「天才とは1%のひらめきと、99%の汗の結晶である」という言葉を引用。自分の発見を他人にどう伝え、納得してもらうかが一番難しいことだと、講演に出席した親子たちに説明した。



Sony SCL研究員の田島 茂(たじま しげる)氏の講演から。人間が動くことで発生した電気を計測したり、その電気が実際に何人を通せるかを調べる実験を、会場の子供たちが参加して行なった

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