WiMAXやWi-Fiの通信用チップ、モバイル向け省電力CPUと多方面からワイヤレスに取り組むインテルブース。女性が手にしているのはVoIP対応携帯電話 |
パソコンやサーバー向けCPUだけでなく、通信関連デバイスにも注力しているインテル(株)。“ワイヤレスジャパン2005”会場の同社ブースでは、4月に発表した高速無線データ通信規格“WiMAX”(Worldwide interoperability Microwave Access)対応システムオンチップ製品『Intel PRO/Wireless 5116 ブロードバンド・インターフェース』を、実際に伝送実験してみせていた(WiMAXの詳細についてはこちらの記事を参照)。
インテルではこのデモを含むWiMAXの伝送実験のために、今月5日から15日(つまりワイヤレスジャパン2005の最終日)まで有効な無線局免許を取得したというのだから、普及にかける意気込み、本気度もかなりのものがありそうだ。
会場にはこの日のために取得した無線局免許も展示してあった |
同社広報室の郡司雅博氏によると、実験局の免許取得にあたっては使用する帯域幅をWiMAXの仕様にある10MHzではなく3.5MHzに設定しているという。この場合、伝送速度は理論値で約13Mbpsとなるが、会場のリアルタイムモニターを見る限り、ファイルのリード/ライトを繰り返すプログラムを使った実効速度は平均約9Mbps(理論値の約7割)を出しており、実効性能の高さも併せて確認できた。
WiMAX対応システムオンチップ製品Intel PRO/Wireless 5116を2基使っての伝送実験が会場内で行なわれた | ファイルのリードライトを連続して行なうテストプログラムの画面。転送速度は毎秒約1.24MB=約9.92Mbpsを示している |
さらに、同社ではモバイル機器向けの低消費電力CPU“PXA270シリーズ”を出荷しており、11日にはこのCPUを使ったVoIP対応携帯電話ソリューションをフュージョン・コミュニケーションズ(株)が発表している(同社ニュースリリース)。会場には、これに対応する端末も展示され、IEEE 802.11bでSIP(Session Initiation Protocol)サーバーに接続して、一般の携帯電話にかけたり呼び出したり、あるいはプレゼンス(在席状況)サーバーと組み合わせて最適な通信環境で相手を呼び出す(連絡する)といった実践的なデモを行なっていた。
こちらもWiMAXに注力するYOZANのブース。女性が手に持っているのは、同社のPHS通信網を利用して子供たちの所在を確認する“見守りシステム”。今年6月に品川区が区内の学校向けに導入したという |
インテルのWiMAXデモコーナーに向き合う形でブースを構えた(株)YOZANも、インテルと同様WiMAXに力を入れている。同社は今月6日に(株)ライブドアと公衆無線LANサービスに関する事業協力の覚書を交わすなど、話題を振りまいているが、会場でもWiMAX事業のロードマップを紹介するイベントスペースは通路に人があふれるほどの盛況ぶりだった。
発表されたロードマップは、すでに同社ウェブサイトなどで公開されているものから大きな変更(アップデート)はないが、会場で新たに公開されたものとして今年12月にページャー(いわゆる“ポケットベル”)と無線LAN(Wi-Fi)のデュアルモードに対応するPCカード型端末を発表するほか、2007年頃にはページャーとWiMAXのデュアルモード対応PCカード型端末も発表を計画しているという(ちなみにYOZANのWiMAX商用サービス開始も同じく2007年予定)。
YOZANがWiMAXの実験や商用サービスまでのロードマップを説明するイベントスペースには、あふれんばかりに人が集まっていた | “皿にコップを重ねた”ように見える屋内用コンバーター(WiMAX⇒Wi-Fi)『EasyST』 |
また、会場には“皿とコップを重ねた”ようにも見える独特の形状をしたWiMAX⇒Wi-Fiの屋内用コンバーター『EasyST』、および屋外に取り付けるWiMAXアクセスポイント『ProST』が展示された。屋内用コンバーターは内蔵基板も併せて展示されており、サービス開始に向けて着々と準備が進んでいることを印象付けた。