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【ワイヤレスジャパン2005 Vol.7】フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、UWB搭載携帯電話を日本初公開

2005年07月14日 19時53分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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UWB搭載携帯電話
UWB搭載携帯電話の“手作りデモ機”

米モトローラ(Motorola)社の半導体事業部が独立して設立された、米フリースケール・セミコンダクタ(Freescale Semiconductor)社の日本法人、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン(株)。同社のブースは東3ホールの入り口脇で、インテル(株)や(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモに隣接する絶好の位置取りになっている。そこに展示されたワイヤレス関連デバイスは、“UWB(Ultra Wide Band:超広帯域無線)”と“ZigBee(ジグビー)”という2つのホットな、かつ対照的な無線規格に関するものだった。

同社はこれら2つの規格に対応するそれぞれの通信用チップを開発しているが、UWBでは応用機器の一例としてUWB搭載携帯電話をデモ展示した。これは今年1月に米国・ラスベガスで行なわれた家電製品に関する世界的なトレードショー“2005 CES(Consumer Electronics Show)”で公開されたものだが、日本では初のお披露目となる。同社も携帯電話向け基板の開発も行なっているため、手作業で基板上にチップをハンダ付けして作ったデモ用機器(試作品のさらに手前)だという。



P2P通信をデモンストレーションUWB対応携帯電話は、ノートパソコンにUWB通信用のminiPCIカードを内蔵し、これとのP2P通信をデモンストレーションするもの

UWBの特徴は、現行の無線LAN規格(IEEE 802.11a/b/gなど)より省電力で高速、という2点。消費電流は現在のチップでは700mA程度だが、さらに下げることもでき、「将来的にはBluetoothと同程度を目指す」(説明員)という。転送速度は理論値が110Mbpsで、実効速度(スループット)は70Mbps程度。こちらも将来的な高速化を予定している。使用する周波数帯は3~5GHz帯で、ほかのデバイスと干渉しにくいのもメリット。

ただし、説明員によるとUWB自体は無線LANと並存する規格であり、主にP2P(ポイント・トゥ・ポイント)で使われるソリューション/デバイスになる。年内には高速伝送用と省電力用の2種類のチップを出荷予定で、価格は20ドル(約2240円)程度。来年夏ごろには搭載デバイスが出始めるのではないか、との観測も聞かれた。

1円玉より小さい新光電気工業のZigBeeモジュール NECエンジニアリングの小型ZigBeeモジュール
ZigBee通信用チップの評価システムを2社が展示。こちらは1円玉より小さいモジュールを開発した新光電気工業のものSDカードと同様のサイズにアンテナとチップ(2つ)を搭載したNECエンジニアリングの小型ZigBeeモジュール

もうひとつのZigBeeは、今年2月に国内でも普及促進団体“ZigBee SIGジャパン”の設立準備が始まった、“未来型リモコン”“IrDAの後継”を狙う短距離・多機能の無線通信規格(規格の詳細はこちらの記事を参照)。

ブースでは、同社の通信チップセット(2チップ構成)のサンプルモジュールを新光電気工業(株)と日本電気エンジニアリング(株)がそれぞれ展示していた。新光電気のほうは2チップを1円玉サイズの極小モジュールにしたもので、アンテナは別途必要。スイッチやアンテナなどを搭載した評価ボードも作成・展示している。

NECエンジニアリングは、SDカードを厚くしたような小型モジュール(アンテナ内蔵)を開発。物流現場での無線管理などへの利用を提案していた。いずれも、出荷時期や価格は未定。

ZigBeeチップの同社ロードマップとしては、2005年夏にシステム・イン・パッケージ(スイッチ内蔵)として今年の第4四半期にサンプル出荷を開始、来年第1四半期に量産を開始。その後来年第4四半期には1チップ化を目指すとのこと。

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