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ボーダフォン、“反転攻勢”のための事業戦略を説明

2005年07月12日 23時27分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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ボーダフォン(株)は12日、“A New Beginning”と題し、事業戦略に関する会長・社長記者会見を開催した。(社)電気通信事業者協会が発表する携帯電話の契約数で6月末に新規契約数から解約数を差し引いた数が5ヵ月ぶりにプラスとなったが、5ヵ月間にわたる純減で累計契約数が1500万を割り、業界2位のKDDI(株)に大きく水をあけられている(※1)。記者会見では、代表執行役社長のウィリアム・ティー・モロー(William T. Morrow)氏と取締役会議長代表執行役会長の津田志郎氏によって、ボーダフォンが考えるボーダフォンのあるべき姿と、市場で「一刻も早く1500万契約を回復し、次なる目標に反転攻勢をかける」(津田氏)ための戦略の概要が語られた。

取締役会議長代表執行役会長の津田志郎氏 代表執行役社長のウィリアム・ティー・モロー氏
取締役会議長代表執行役会長の津田志郎氏代表執行役社長のウィリアム・ティー・モロー氏
モロー氏が代表執行役社長に就任してから約3ヵ月が経過したが、津田氏によれば「4月から90日間で“お客様第一”を実現するための戦略、組織を策定して発表したい」と公約していたという
※1 業界1位の(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモグループは4942万9600件、2位のKDDI(株)/沖縄セルラー電話(株)は2012万2700件、3位のボーダフォンは1496万6600件

モロー氏は、同社のこれまでの不振は、3Gサービスに対する市場の需要を理解しきれていなかったこと、経営陣がうまく機能せずビジネスパートナーとの関係がうまく築けていなかったことに端的に原因があると考えているという。今後同社の目指すべきものとして挙げたポイントは、以下の3点。

  1. 携帯電話=メッセージデバイスと位置づけ、“リッチで革新的”なコミュニケーションを提供する
  2. ボーダフォンがリーダー性を発揮している、ないし発揮できるコアセグメントに集中して、“最高水準の価値”を提供する
  3. ユーザーや、メーカー/コンテンツプロバイダー/販売代理店といったビジネスパートナーに対して、“便利で分かりやすい”端末やサービス、料金プランを提供する

それぞれ具体的な施策は戦略上の理由から明らかにされなかったが、2点目のコアセグメントについては、コンシューマー分野では“J-SKY”(現在のボーダフォンライブ!)や“写メール”の例を挙げ、「10代後半~28歳くらいの、アクティブで、人生を楽しむ層」といったキーワードが挙げられた。またホールセール分野を今後積極的に展開するとして、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)に無線通信ネットワーク設備を提供する可能性についても言及された。そのほか、WiMAX規格(IEEE 802.16a)やWi-Fi規格(IEEE 802.11a/b/g)などの無線技術を使ったマルチアクセスサービスや、固定網と携帯網をIPにより統合する“Fixed to Mobile IP Convergence”といった構想が紹介されたが、いずれも具体的な内容やスケジュール等は公表する段階でないとされた。

ビジョン、目標、フォーカスするセグメント、戦略のピラミッド
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