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富士通、SOAに基づいた企業向けシステム構築の方針について説明

2005年07月12日 16時25分更新

文● 編集部 小林久

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富士通(株)は12日、SOA(Service Oriented Architecture)に基づいた、企業向けシステム構築の方針を発表。プレス関係者にその概要を説明した。

平田氏
富士通経営執行役常務プロフェッショナルサポートビジネスグループ長の平田 宏道氏

SOAとは、ビジネスプロセスの処理単位に合わせて構築・整理されたソフトウェアコンポーネント(サービス)をネットワーク上に公開し、相互に連携させることで、柔軟な企業システムを構築できる仕組み。サービス間の情報は“ウェブサービス”という、XMLやHTTPといったウェブの標準技術を用いたプロトコルを使ってやり取りする。ハードウェア、OS、言語に依存せずにサービス間の連携を取ることが可能。

発表会に出席した富士通経営執行役常務プロフェッショナルサポートビジネスグループ長の平田 宏道(ひらた ひろみち)氏は会見の冒頭で「変化のスピードが飛躍的に高まっている現状においては、現場の変化にすばやく対応できる“フィールドイノベーション”(現場レベルでの改革)が必要」と述べた。

しかし、企業システムの現状を見ると、時々のニーズによって構築したさまざまなアーキテクチャーが混在し、全体像の見えにくい複雑で肥大化したシステムとなっている。このような現状が、新規事業の追加や、システムを改修する際に既存業務と整合性を保つ際の足かせになっている。平田氏は、富士通が現在取り組んでいるKDDI(株)との案件に触れながら、既存資産を有効に活用しつつ、SOAの考え方にのっとったビジネスプロセスの整理を段階的に行なっていくことが必要と説明。合併統合によって肥大化したKDDIの注文系、請求系システムを段階的に再構築していくなかで、システム規模を5分の2に削減できたこと、追加案件の開発期間を7ヵ月から2ヵ月に短縮できたこと、年間30億円のコスト削減効果を実現できたことなどの成果を上げられたと報告した。



SOAソリューションの全体像
富士通が提供するSOAソリューションの全体像。実行基盤となるのがミドルウェアの“TRIOLE”(Interstage)。業種共通のサービスモデリングと業種別/パッケージ&テンプレートのサービスを組み合わせてシステムを構築する。企業が目的を果たすためにどんなシステムを構築すべきかという、コンサルティングも重視する

今後富士通は、業務改革やIT投資分析を行なう“ビジネスコンサルティング”を重視する。このコンサルティングで最適化した業務をIT化する“サービスインテグレーション”に関しては、顧客の課題に応じたアプローチでサービスモデルを策定し、既存資産を生かした段階的なSOA対応を図る。また、これらを安定して動作させるために必要な“実行基盤(ミドルウェア)”には、ウェブサービスなどのオープンアーキテクチャーを利用することで、富士通以外のデータベースやアプリケーションとも柔軟に連携できるようにする。

具体的な製品計画に関しては、以下のとおり。

コンサルティングサービスは“業務改革コンサルティング”や“投資効果分析コンサルティング”のサービスをすでに提供中。



システム構築例
パッケージを利用したシステム構築例。既存システムも1サービスとして、ERPサービスなどと連携できるようにする。サービスバスでは、SOAPやWDSLといったオープンアーキテクチャーを利用する。書式の異なるデータコードを変換して整合性を保つ“コードマスタ”という仕組みも用意する

サービスインテグレーションに関しては、電気/水道/ガスなど社会基盤を提供している企業の大規模レガシーシステム向けに業務システムのあり方から追求する“社会基盤向けSOA開発ソリューション”、金融/公共事業などの中大規模企業向けにビジネスプロセスの可視化/業務改善から入る“製造・流通向けSOA開発ソリューション(Valuevision)”を2005年度第2四半期に投入する。

一方、必要なサービスが明確な中堅以上の企業や教育機関向けには、ERPの『GLOVIA』、ソリューションサービス商品の『WebSERVEスマートソリューション』といったパッケージと、業種別テンプレートを利用したソリューションを組み合わせた展開を考えており、2005年第4四半期をめどに提供していく予定。また、“業務データモデリング”“業務プロセスモデリング”の考え方をベースに、企業システムのSOA化のための分析・設計サービス『SDAS/Service Modeling』を2005年度第3四半期に提供する。

これらの実行基盤(ミドルウェア)としては、同社のIT基盤“TRIOLE”にSOAに必要な仮想化、自律化機能を実装した『Interstage V7 エンハンス』を2005年度第3四半期に提供する。



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