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アドビ システムズ、2005年度上半期の業績説明会を開催――Acrobat 7.0やACS2の好調により過去最高の売上

2005年06月22日 19時43分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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アドビ システムズ(株)は22日、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにプレス関係者を集め、2005年度第2四半期(2005年3~5月)および2005年度上半期(2004年12月~2005年5月)の業績説明会を開催した。これは現地時間の今月16日に、米アドビ システムズ(Adobe Systems)社が同期間の決算を発表したものを受けての開催で、日本法人単独での決算内容についてはこの場では明らかにされなかった。

代表取締役社長の石井 幹氏
業績内容を報告する代表取締役社長の石井 幹氏

説明会には代表取締役社長の石井 幹氏が出席し、「(2005年度)第2四半期の売上は、創立以来過去最高の売上を記録し、株価も好調に推移している。上期の業績も好調で、利益率の高いビジネスモデルを展開していることから、売上以上に純利益の増加が目立っている」と同社の好調ぶりに口元を緩めた。

アドビ システムズ(ワールドワイド全社)の業績

2005年度第2四半期

売上高(前年同期比)
4億9600万ドル(約546億円、21%増)
営業利益(※1)
1億8220万ドル(約200億4200万円、28%増)
純利益
1億4980万ドル(約164億7800万円、37%増)
※1 GAAP(米国財務会計基準)に基づく値

2005年度上半期

売上高(前年同期比)
9億6890万ドル(約1065億7900円、16%増)
営業利益(※2)
3億5290万ドル(約335億6100万円、16%増)
純利益
3億170万ドル(約331億8700万円、30%増)

2005年度売り上げ目標

19億2500万ドル(約2117億5000万円、15%増)
売上の内訳の推移 地域別の売上の比率 売上額に占める研究開発費の割合
売上の内訳の推移。Digital Imaging&Video/Creative Professional/Intelligent Documentが、時期によるばらつきはあってもほぼ均等に推移し、「健全な経営体制を維持している」と説明地域別の売上の比率。アジアの22%のほとんどは日本が占めるという売上額に占める研究開発費の割合。毎年20%を目標値にしているが、今年は業績が予想以上に高かったため、比率が下がってしまったと、うれしそうに語った

石井氏は好調な業績の要因について、「第1四半期はAcrobatファミリーの新バージョン“Acrobat 7.0”シリーズが、第2四半期は(日本語版は7月上旬発売予定だが、米国で先行販売されている)『Adobe Creative Suite 2』が特に牽引している」と評価した。

ファイル管理ツール『Adobe Bridge』をデモ
7月上旬に出荷開始予定の、『Adobe Creative Suite 2 日本語版』に含まれる、ファイル管理ツール『Adobe Bridge』をデモ

日本における事業別の実績とマーケティング戦略についても触れ、

Intelligent Document事業(Adobe Acrobatシリーズ/Adobe LiveCycle Policy Serverなど)
官公庁や大企業がAdobe Acrobat 7.0に急速に移行
Adobe Acrobat 7.0 Professional版の導入が加速
“e-文書法”施行に伴う電子文書保管を実現するため、販売パートナーとの協力を推進
今後は建設・建築業や製造業に浸透を図る(日本では特に重要なセグメントと判断)
『Adobe LiveCycle Barcoded Forms』の導入により、転記のミスやコスト削減を図る
Creative Professionals事業(Adobe Creative Suite 2など)
編集・校正・入稿など出版に関わるワークフロー全般に対応するPDF拡張規格“PDF/X-1a”の普及推進
出版印刷業界に対して、ACSを用いた新しいワークフローへの移行を支援
Digital Imaging事業(Adobe Photoshop CS2/Adobe Illustrator CS2など)
Camera Rawプラグインのサポート、RAWファイルのオープンフォーマット“DNG”の標準化などを実現
ホビースト(趣味でフォトレタッチや動画編集を行なう一般ユーザー)を対象にした製品群が好調(『Adobe Photoshop Elements 3.0』『Adobe Premiere Elements』)
特に日本ではデジタル一眼レフカメラやコンパクトサイズのカムコーダーなどが普及し、需要が加速
今後はAdobe Photoshop CS2を活用・販促セミナー、イベントを通じて訴求
マルチメディアカリキュラム向けの教育機関への取り組み
Video and Audio事業(Adobe Premiere Pro 1.5/Adobe After Effects 6.5など)
映画・放送市場への導入促進(『アビエイター』『真夜中の弥次さん喜多さん』『交渉人 真下正義』『ウルトラマンネクサス』)
専門学校や高等学校の映像教育など、教育市場への訴求

など、各事業分野での方針を紹介した。

2次元バーコードを利用した申し込み業務の効率化の例 Adobe LifeCycle Barcoded Formsで作った申し込みフォームの一例
『Adobe LifeCycle Barcoded Forms』によって、2次元バーコードを利用した申し込み業務を効率化した例Adobe LifeCycle Barcoded Formsで作った申し込みフォームの一例。記入欄に書きこんだ内容が、自動的に2次元バーコードに反映される様子がデモされた

Adobe LiveCycle Barcoded Formsは、製品発表自体は昨年中に行なわれていたが、日本語対応の遅れなどから、今年5月に日本語版が出荷開始されたという。PDFで入力フォームを作成・運用していても、現場での書類流通形態の事情(電子印鑑ではなく、現実のハンコを押す必要がある場合など)から入力後のPDFを印刷して回覧し、最後は入力結果を見ながら手動で転記(再入力)するというケースが少なくない。Barcoded FormsはPDFフォームに入力された内容を2次元バーコードに反映することで、回覧後の最終データが印刷出力されたものであっても、バーコード部分をスキャン、読み込むことで手入力による誤記や入力作業にかかる人員/時間などのコストを削減できるのが特徴。同社ではこのソリューションで、電子印鑑が使えない環境へもPDFフォームの導入拡大を図りたいとしている。

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