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日本HP、ブレード型パソコン『HP bc1000 blade PC』およびクライアント統合ソリューションを発表

2005年06月21日 22時16分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本ヒューレット・パッカード(株)は21日、ブレード型パソコン『HP bc1000 blade PC』および同製品を用いたクライアント統合ソリューション“HP Consolidated Client Infrastructure”を、同日から提供開始すると発表した。bc1000×100台構成時の参考価格(クライアント端末/各種ソフトウェア/サービス費用は除く)は約1400万から。

“HP Consolidated Client Infrastructure”の基本構造。スライドの左半分はユーザーの手元の環境、右側はデータセンターの環境を示す“HP Consolidated Client Infrastructure”のコンセプト

“HP Consolidated Client Infrastructure”(以下HP CCI)の基本的な考え方は、従来のパソコンの3つの主要な機能(アクセス/ビューアー機能、アプリケーション実行、データストレージ)を分解・再構成し、アクセス/ビューアー機能はシンクライアントとして各ユーザーの手元に残し、アプリケーション実行やストレージの機能をデータセンターに集約するというもの。クライアント・ユーザーの環境をデータセンターに集約することにより、高いセキュリティー環境の構築と管理/運用の効率化・コスト削減を同時に実現することが可能だとしている。

CPUやメモリー、HDDなどのクライアント・パソコンに近いパーツ類を搭載したブレード型パソコン『HP bc1000 blade PC』
100台(枚)の『HP bc1000 blade PC』や、システムを構成するロードバランサー、電源、NASなどを収容したキャビネット

実際の構造は、データセンターなどに集約したブレード型パソコンでクライアント環境となる『HP bc1000 blade PC』に、Windows Embededベースのシン・クライアント端末を利用してリモートデスクトップ接続し(Microsoft Remote Desktop Protocolを使用)、仮想的なクライアントとして利用するという形を取る。シン・クライアント・システムやサーバーベースド・コンピューティング・システムのように、サーバーのリソースを複数の仮想的に分割しユーザーで共有するのではなく、ユーザーごとに割り振られた(動的/固定割り当てが可能)『HP bc1000 blade PC』を1ユーザーが1枚占有可能なのが大きな違い。

『HP bc1000 blade PC』を収容するキャビネットは、『HP bc1000 blade PC』のほか、ネットワーク、ロードバランサー(ダイナミックアロケーションソフトウェア、クライアント端末とブレード型パソコンの割り当てを制御)、NAS、管理サーバー(ブレードサーバーを採用。Avtive Directoryによる認証や、システム全体やストレージの管理などを行なう)、電源(冗長タイプ)から構成される。『HP bc1000 blade PC』上には、CPUやメモリーなどに加え、HDDも搭載されているが、ブレード上のHDDはOS(Windows XP Professional Blade PC Edition SP2)やアプリケーションをインストールするために利用し、各ユーザーのプロファイルやアプリケーションで作成したデータなどの保存にはNASを利用する。



もっとも基本的なクライアント端末に動的に『HP bc1000 blade PC』を割り当てる構成のフロー部署ごとに仮想グループを作成し、動的に割り当てる構成のフロー
HP CCIの運用イメージ
“自動切換機能”“自動再生機能”の流れ

対障害機能としては“自動切換機能”“自動再生機能”を持ち、ユーザーが使用中の『HP bc1000 blade PC』に障害が発生した際、自動的にスタンバイ中の別の『HP bc1000 blade PC』に切り替え、設定情報や個人プロファイルの再読み込みを行なったり、ブレード交換後の環境の自動再構築が可能となっている。

『HP bc1000 blade PC』の主なスペックは以下のとおり。

CPU
Transmeta Efficeon TM8600-1.0GHz
HDD
40GB(Ultra ATA/100)
メモリー
512~1024MB(メモリースロット×2、DDR SDRAM)
ネットワーク
10/100BASE-TX
サイズ
幅20.3×奥行き393.7×高さ119.4mm/約1kg
保証
3年間ハードウェア保証(センドバック方式)
筐体(エンクロージャー)
HP e-Class ブレードPC エンクロージャ(垂直挿入、3Uラックマウント型)

なお同社では、HP CCIの提供開始にあたり、新たに“クライアントソリューション営業部”を編成するとともに、市ヶ谷事業所内の“アダプティブ・エンタープライズ・エクスペリエンス・センター”にHP CCIのシステム環境を設置し、同環境を実体験できる環境を用意している。

代表取締役副社長、パーソナルシステムズ事業統括の馬場真氏

この日開催された記者説明会の冒頭、同社代表取締役副社長でパーソナルシステムズ事業統括の馬場真氏は、今回のソリューション発表について「画期的な発表で、興奮している」とするとともに、企業に求められる情報漏えい対策や個人情報保護法への対応といった“セキュリティー対策”と“ITコストの削減”の「2点同時に対応できるソリューションがHP CCIだと確信している」と述べ、製品への強い期待を示した。また、今後のクライアントマシンの戦略としては、今回発表したブレード型パソコンをクライアント・ソリューションのコアと位置付けて取り組んでいくとしている。

なお、同社によると、ビジネス向けパソコン市場におけるブレード型パソコンのシェアは、一般的な調査結果では2008年に10%程度を獲得すると見込まれているというが、同社では、これよりペースは早く2007年に10%程度を獲得できると予測しているという。

米HPのパーソナルシステムズグループ ビジネスPCマーケティング担当バイスプレジデント、ジェフ・グローダン氏HP CCIを今投入する理由を説明するスライド。同氏は“セキュリティー”と“TCOの削減”の効果を特に強調している

続いて登壇した米ヒューレット・パッカード社 パーソナルシステムズグループ ビジネスPCマーケティング担当バイスプレジデントのジェフ・グローダン(Jeff Groudan)氏は、企業のクライアント・デスクトップ環境に対するニーズの変化を指摘。従来のクライアント環境(=一般的なパソコン)ではパフォーマンス/価格/物理的セキュリティー/互換性/信頼性が強く求められていたが、現在は運用コスト/データのセキュリティー/互換性/継続運用と経験に基づく操作感の実現が求められているといい、サーバーベースド・コンピューティングから進化したHP CCIは、このニーズに応えられるソリューションだとしている。

HP CCIはすでに米国では昨年4月に発表済みだが、同氏は日本での発売にあたっては「日本市場の持つユニークさ」に注目しているという。同氏によると、日本市場は、最新のソリューションに対する欲求が強く、個人情報保護法の施行などに関する社会背景とスペースや電力の削減に対する強いニーズを持ち、今回発表されたソリューションのような製品への関心と需要は世界的に見ても高いと見込んでいるとしている。さらに、日本市場では今回のソリューションとの競合製品が「世界中のどこよりも多い市場」だと評し、競争の激しい市場での積極的な展開への意気込みを示した。

日本HP パーソナルシステムズ事業統括 デスクトップビジネス本部 本部長の平松進也氏セキュリティー対策手法の時代による変化

また、製品の概要について説明した日本HP パーソナルシステムズ事業統括 デスクトップビジネス本部 本部長の平松進也氏は、プレゼンテーションの中でセキュリティー対策モデルの変化について触れ、外部からのアクセスを排除することで内部を守る初期型の対策手法を“要塞モデル”、ネットワークには外部からのアクセスがあるという前提でセキュリティーを構築し、端末ごとに厳密なアクセス制御を行なう現在主流になっている手法を“ホテルモデル”(ホテルには常に人の出入りがあり、それを前提に各部屋に鍵を設けて守ることから)と表現。HP CCIが実現するセキュリティー対策は、これらからさらに進んだ“仮想化モデル”だといい、「“部屋”(=クライアント環境)には仮想的に情報が格納されるが、その実体は別に管理される」モデルが今後の重視されるとの見方を示した。

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