独立行政法人の産業技術総合研究所は6日、ネットワークの帯域制御とトラフィックの平滑化を行なうソフト『PSPacer1.0』を公開したと発表した。
『PSPacer1.0』は、これまで専用のハードウェアが必要だったネットワークの精密な帯域制御や平滑化を、ソフトと一般のパソコンで行なえるのが特徴。100以上のコネクションの帯域制御/平滑化が一般のパソコンで行なえ、Gigabit Ethernetの場合、IP通信のコネクションごとに8kbps~930Mbpsの範囲で帯域制御が可能。パケットとパケットの間に別のパケット(IEEE 802.3xのPAUSEフレーム)を送信することで送信間隔を制御しており、ギャップパケットの数や大きさを制御することで、パケットの送信間隔を1B(バイト)のデータ送信に要する時間単位で制御できるという。ギャップパケットはスイッチやルーターの入力ポートで破棄されるため、ネットワークに影響を与えることもないという。IPv6にも対応している。
『PSPacer1.0』はLinuxのローダブルカーネルモジュールとなっており、GNU GPL(General Public License)に従ったオープンソースソフトとして無償公開される。IPアドレスやポート番号によるパケット振り分けルールを記述し、帯域制御/平滑化を行なう通信のインターフェースと帯域を指定することで利用できる。
産総研では、『PSPacer1.0』を、遠距離広帯域のTCP/IP通信や、同一経路で複数の通信を行なう場合に利用できるとしており、大陸間のような非常に遅延が大きな環境でもネットワークの帯域の9割以上を利用できるとしている。
同ソフトを開発したのは産総研のグリッド研究センターで、開発の一部は、文部科学省“経済活性化のための重点技術開発プロジェクト”の一環として実施している“超高速コンピュータ網形成プロジェクト(NAREGI: National Research Grid Initiative)”により行なわれたという。