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ハンディカム DCR-PC1000

ハンディカム DCR-PC1000

2005年06月10日 00時40分更新

文● 伊藤 裕也

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カセット1本を使い切る前にバッテリーが切れてしまう

 映像を録画できる時間は、miniDVカセットをメディアに採用するDVカムコーダーなのでSPモードで最大60分、LPモードなら最大で80分だ。

バッテリーは底面の向かって左側にある部分に収納する。バッテリーの持続時間が短いのに、三脚を外さないととバッテリーを交換できない――という点は不満が残る
バッテリーは底面の向かって左側にある部分に収納する。バッテリーの持続時間が短いのに、三脚を外さないととバッテリーを交換できない――という点は不満が残る

 一方気になるバッテリーの持続時間はというと、標準付属のバッテリー「NP-FA50」でロケで試したかぎりでは約40分ほどだった。ソニーのカムコーダーといえばスタミナをセールスポイントにするものが多いだけに、この持続時間には驚いてしまった。慌ててスペックを確認したところ、ソニーによる資料ではNP-FA50での連続撮影時間は1時間20分、実撮影時間は45分だという(ともに液晶ディスプレー使用時)。つまり撮影している映像の確認に液晶ディスプレーを使う一般的な使用法では、miniDVカセット1本を使い切る前にバッテリーが先に切れてしまうわけだ。行楽などに用いる場合には電源を入れて撮影可能な状態にしたまま持ち歩いたりするだけに、この持続時間は短すぎる。オプションの大容量バッテリー「NP-FA70」であれば持続時間がほぼ倍になるが、それでも液晶モニタ使用時の実撮影時間は1時間25分程度だという。撮影が主体の旅行に持ち歩くのであれば、NP-FA70が最低でもふたつは必要だ。

 ちなみにバッテリーはボディ底面から交換する方式なので、カムコーダーを三脚に固定している状態でバッテリーを交換したい場合にはいちど三脚からカムコーダーを外す必要がある。バッテリーの持続時間とともに、これも少し残念だ。

 撮影した映像は、DVフォーマットなのでi.LINK(IEEE 1394)またはUSB経由でPCやビデオ機器に取り込むことができる。取り込んだ映像はビデオ編集ソフトなどで自由に編集可能だ。



DCR-PC1000のデータ入出力に関する機能を拡張するクレードル。AV入出力のほか、USBポート、i.LINKポートを搭載する
DCR-PC1000のデータ入出力に関する機能を拡張するクレードル。AV入出力のほか、USBポート、i.LINKポートを搭載する

 なお、DCR-PC1000にはUSBを接続するだけでDVデータのキャプチャーを実行できる。さらに、VideoCDや簡易スライドショーの作成、映像や静止画像の視聴・管理を行なうソフト「PicturePackage Ver.1.7」(※1)などが付属する。映像を撮影したあとのことまで考えられているのはうれしいところだ。

※1 PicturePackage Ver.1.7の対応OSは、Windows 98/98SE/ME/2000 Professional/XP。

 なお、それらソフトの中には、DVD-Videoの作成ソフトは付属しない。収録されるソフトのタイトルを眺める限りではなぜDVD作成ソフトだけないのかと残念にも思うが、DVD作成ソフトは大抵の場合、パソコンまたはDVDドライブにバンドルされている。DV-AVIに対応しないDVD作成ソフトはまずないので、実際のところはさほど問題ないだろう。

 実売価格は13万円前後。オンラインショッピングサイト“ソニースタイル”での価格は13万4800円だ。バッテリーの持続時間に不満はあるものの、色の再現性に優れ、また、スミアの心配もない3CMOSの採用は実に興味深い。

撮影風景
映像品質を重視する人や狙ったとおりの映像を撮影したい人など映像にこだわりのある方はもちろん、映像の撮影を考えている幅広い層の人ににおすすめ

 また、このクラスのカムコーダーでは手持ち・フルオートでの使用を考えて設計されるため、その多くはマニュアル撮影をはじめとする“絵作り”のための機能が貧弱なのだが、DCR-PC1000では実用的なマニュアル撮影機能(カメラコントロールダイヤル)や映像の明るさを直感的に確認できるヒストグラムの搭載など、そうした絵作りを真剣に考える人に対応できる仕様となっている。

 もちろん映像品質を追求しはじめるとキリがなく、極限まで突き詰めれば民生機レベルでは1080i対応の3CCD搭載HDVカムコーダー「HDR-FX1」しかなくなるわけだが、HDR-FX1はカムコーダー本体の価格がまず30万円台後半と非常に高価であり、また、ボディが大きく重量に至っては2kg超と重い。趣味で映画の撮影をしている日曜映画監督やクリエイター志望の方ならともかく、一般の人がそう気軽に手を出せるものではない。

 その点DCR-PC1000は片手で持てるサイズと重量で、価格も手に届く範囲だ。つまり、トータルでのバランスがいいのである。映像品質を重視する人や狙ったとおりの映像を撮影したい人など映像にこだわりのある方はもちろん、映像の撮影を考えている幅広い層の人ににオススメの製品だ。


DCR-PC1000のスペック
製品名 DCR-PC1000
撮像素子 1/6インチCMOSセンサー×3
有効画素数 映像:67万画素/静止画:69万画素
焦点距離(35mm換算) 映像(16:9モード):44~520mm
映像(4:3モード):41~480mm
静止画(16:9モード):43.5~435mm
静止画(4:3モード):40~400mm
開放F値 F1.8~2.4
ズーム倍率 光学10倍/デジタル120倍(デジタルズームは動画撮影時のみ)
フォーカス オート/マニュアル
フィルター径 30mm
液晶ディスプレー 2.7インチワイド液晶パネル
最低被写体照度 15ルクス
手ぶれ補正機能 電子式
ホワイトバランス 自動/ワンプッシュ/屋外/屋内
明るさ調整 24段階
プログラムAE オート+5モード
シャッタースピード 1/2~1/500秒
マイク ステレオエレクトレットコンデンサー(2ch)
記録メディア miniDVカセット
記録フォーマット DVフォーマット
映像品質 SP/LP
インターフェース 映像入出力/LANC/アクセサリシュー/USB/i.LINK(ハンディカムステーションに搭載)
サイズ 幅54.5×奥行き102.1×高さ117.1mm/約400g(NP-FA50使用時は約470g)
付属品 リチャージャブルバッテリーパック(NP-FA50)、ACアダプター、ハンディカムステーション、AV接続ケーブル、ワイヤレスリモコンほか

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