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日本HP、仮想RAIDシステムなど、企業向け中規模ストレージの新製品を発表

2005年05月19日 16時39分更新

文● 編集部 小林久

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日本ヒューレット・パッカード(株)は19日、企業向け中規模ストレージシステムの新製品を発表した。仮想RAIDディスク装置、仮想ライブラリー、テープライブラリーの3つのカテゴリーに対して8製品を投入する。

仮想RAIDディスク装置の『HP StorageWorks Enterprise Virtual Array』(以下EVA)には、3製品が新たに追加された。エントリー製品『EVA3000』の後継で最大容量16.8TB(搭載可能HDD:8~56台)の『EVA4000』。ハイエンド製品『EVA5000』の後継で最大720TB(同8~240台)の『EVA8000』。容量と性能がこれらの中間となる、最大33.6TB(同16~112台)の『EVA6000』で、EVA4000は、差額でEVA6000にアップグレードすることもできる。

『HP StorageWorks 4000 Enterprise Virtual Array』

EVAは、同社が持つ仮想化技術の“Vraid”や“Vsnap”により、ストレージ管理者の負担を減らせるのが特徴。物理ディスクの構成を意識せずに、論理ディスクの構成変更が可能で、バックグラウンドでパフォーマンスを最適化したり、動的な負荷分散を行なう仕組みがシステムから提供される。ディスク追加時に通常必要となるRAIDボリュームの再作成といった処理も自動化されており、仮想ボリュームの容量設定など最小限の操作を行なうだけで済む。

EVA8000の場合、シーケンシャルリードが毎秒650MB(従来は毎秒525MB)、ランダムアクセス性能(30ミリ秒ごとのI/O回数)が5万4000回(従来は1万3200回)と、パフォーマンスが大幅に向上したほか、ストレージシステムの性能を監視するツールである『HP Command View EVAPerf』が利用できるようになった。また、“FATA”(Fibre Attached Technology Adapted)のディスクにも対応しており、ファイバーチャネルとATAのディスクを同じエンクロージャー内で取り扱うこともできる。

最小構成時の価格は、EVA4000が363万3000円。EVA6000が678万3000円。EVA8000が1312万5000円。出荷開始は6月上旬を予定している。なお、従来製品のEVA3000は価格を207万9000円に値下げして併売する(値下げ率33%)ほか、ディスク(146GB 10Krpm FC-AL HDD)の価格も23万2050円にする(値下げ率15%)。



『HP StorageWorks 6105 Virtual Library System』


訂正とお詫び:EVA8000の価格に関して、メーカーから提供された資料に誤りがありました。税込価格1312万5000円に修正させていただきます。

仮想ライブラリーの『HP StorageWorks 6000 Virtual Library System』(以下VLS 6000)シリーズは、ソフトウェアの機能でディスク装置を仮想的なテープライブラリー装置にできるシステムで、テープを使用するより高速(毎秒最大450MB)にバックアップやリストアーを行なえるのが特徴。バックアップソフトとの併用で、単一ファイルやディレクトリー単位のリストアーにも対応する。

VLSには2製品がラインナップされており、下位モデルの『VLS 6105』の容量は標準2.5TB(最大5TB)、スループットが毎秒140~280MB。上位モデルの『VLS 6510』は容量が標準5TB(最大10TB)、スループットが毎秒280~450MB。ともに64ドライブ・16ライブラリーまでの構成が可能。

最小構成時の価格は、VLS 6105が367万5000円、VLS 6510が714万円。出荷開始は6月中旬。

テープライブラリーの『HP StorageWorks EML eシリーズテープライブラリ』(以下EMLシリーズ)は、同社のMSLシリーズとESLシリーズの中位に位置づけられる製品。最大442巻のテープと16台のUltriumドライブ、4基のファイバーチャネルポートを搭載可能。

EMLシリーズのベースモデルには、ローエンドの『EML 103e』とハイエンドの『EML 245e』の2種類があり、EML 103eはスロット数103、最大容量41.2TB(LTO3)、最大スループット毎時1.15TB、ドライブ数4。ミッドレンジのEML 245eはスロット数245、最大容量98TB(LTO3)、最大スループット毎時2.3TB、ドライブ数8。ELM 103eに4つのドライブと必要なモジュールを追加した『EML 103e 4ドライブバンドル』も用意されている。

必要なモジュールとドライブ1つを追加した最小構成時の価格は、EML 103eが1008万円。EML 245eが1375万5000円。EML 103e 4ドライブバンドルが1730万円。

日本ヒューレット・パッカード(株)エンタープライズストレージサーバ統括本部の平塚 浩(ひらつか ひろし)氏。

なお、会見に出席した日本ヒューレット・パッカード(株)エンタープライズストレージサーバ統括本部ストレージ・ワークス製品本部 プロダクトマーケティング部 部長の平塚 浩(ひらつか ひろし)氏は、米IDCの調査を引用しつつ、米ヒューレット・パッカード社はSAN(Strage Area Network)の分野で現在世界2位のシェアを占め、テープ系のストレージでは世界トップシェアを誇ると述べた。会見後の質疑応答では、米インテル社などを中心に標準化が進められている次世代インターフェースの“InfiniBand”は「現在研究中で機が熟したら投入する見込み」「ファイバーチャネルを利用したSANやiSCSIなどを積極的に進めていく」などと述べた。

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