“ビジネスシヨウ”は、もともと“IT(情報技術)”という言葉が定着する以前から、デスクワークの効率化を図るべくステーショナリー(文具)などの最新製品、新コンセプトなどが発表・展示される場であった。大手パソコンメーカーは日本ヒューレット・パッカード(株)がブースを構える程度で、昨年までは華やかなコンパニオンと最新機種が目を引いた携帯電話各社もブースを構えない今年は、そうした原点に回帰したような印象を受ける。
“インケ”ブランドのインク充填機 |
日本電算機用品(株)が“インケ”ブランドで展開している自動インク充填システムは、インクジェットプリンターのインクカートリッジに代替インクを補充することで再利用を可能にする“インク再充填”を、手を汚さずに行なえるというもの。7月発売予定で、価格は1万6000円程度になるという。最近はプリンターメーカー側もこうした“想定外の使用”に対策するべく、インクカートリッジにICを搭載して印刷枚数をカウントし、インクを再充填しても使えない場合もあるが、こうしたインクには対応しないという。実際にデモを見てみると、カートリッジ(専用アダプター)に空になったインクタンクを置き、専用インクボトルを反対側にセットしてカバーを下ろすと準備完了。あとはボタンを押して3分程度で自動的にインク充填が完了する。デモを見る限り、充填直後は若干インク汚れがあるので、ふき取る手間はかかるが、注射器型のようにインクをこぼしてしまう心配はない。
IPAX 2005のゲート |
西2ホールに展開しているIT関連の産業や技術の育成を目的とした展示会“IPAX 2005”では、まだ産業には至っていない発明・開発・新技術などを来場者に広く知らしめ、産業の育成を促すというもの。そこで見つけたユニークな入力機器が、日本エコロジー(有)の“ユビツキィ(Ubitzky)”だ。同社では“ユニバーサルキーボード”と呼称するこのキー入力デバイスは、スキーのストック部分のような形状で、指の形に窪みをつけた左右グリップ部に4つずつボタンを設けている。このボタンを使って点字(2列3段の合計6ドットで50音を示す)の要領で文字を入力したり、小指にあたる4番目のボタンを組み合わせることで、パソコンとしてのコマンド入力を行なえるという。入力だけでなく、入力した文字を合成音声で発音しながら、左右3つずつのボタンを押し出す(強度は128段階)ことで、点字としての読み出しも可能。千葉大学自然科学研究所の依頼で作成したもので、同社だけでは商品化して一般販売するには至らないため、IPAを通じて利用機会の創出、将来の商品化を目指すという。有線接続(USB)のほか、赤外線通信と無線LAN(IEEE 802.11b)でワイヤレス入力できるほか、ユビツキィ同士の通信(会話)も行なえる。
ジョイスティックのような、スキーに使う“ストック”のグリップのような、点字式入力デバイス“ユビツキィ” |
同社では、このほか点字翻訳ソフトなども開発しており、公式ウェブサイトではユビツキィを体験する“指点字シミュレーター”が公開されている。