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ホリエモンに通信会社経営の才能があるなら退いてもいい──売り上げ52%増、純利益4倍の好決算でイー・アクセス会長の千本氏

2005年05月12日 23時13分更新

文● 編集部 小林久

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イー・アクセス(株)は12日、2004年度(2005年3月期)の決算説明会を開催した。

2004年度年間の売上高は579億1000万円(前年比152%)、営業利益93億1000万円(225%)、経常利益80億7000万円(297%)、純利益93億5000万円(496%)と、大幅な増収増益を果たした。

主力事業のADSLの加入者数が35万4000回線増の185万回線と順調に伸びたほか、AOLジャパン(株)から譲り受け、2004年7月に開始したISP事業も成果を上げた。イー・アクセスのADSL加入者数を含まないAOLの会員数は31万40000。加入者数が純増したのは、AOLとしては3年ぶりだったという。

ただし、年平均1.6%のADSL解約率が、四半期ごとに若干増加する傾向が出ているほか、FTTHへの関心の高まりや、KDDI(株)など提携企業の関心が昨年秋ごろから“メタル電話”事業に移り、ADSL向けの販売促進が減ったことで、2004年第4四半期(2005年1-3月期)の加入者数の伸びは第1四半期の16万9000回線を大きく下回る、2万2000回線に留まった。

会見に出席したイー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本 倖生氏

イー・アクセスは4月に“ADSL事業”“ISP事業”“モバイル事業”の3つを柱とした組織変更を行なったが、特にモバイル事業に注力していくという。新たに追加される1.7GHz帯での携帯周波数免許の取得に向け、5月には富士通(株)や米ルーセント・テクノロジーズ社とともに、1.7GHz帯を利用したW-CDMA(FDD方式)の実証実験を開始する。

携帯電話事業の概要に関しては未定だが、料金体系はシンプルなものを目指し、独自の端末の投入なども検討しているという。

ADSL事業では、KDDIのメタル電話とのセット販売を利用した販売促進と解約率の抑制に注力。ISP事業では米アメリカ・オンライン社との関係を深めコンテンツ強化やモバイル向けアプリケーションの充実を図っていくという。

2005年度の業績予想は、売上高は585億円とほぼ横ばいとなるが、ADSLとISP事業の営業キャッシュフローは12%の増加を見込んでいる。ただし、モバイル事業(携帯電話関連事業)で25億円の人件費/研究開発費が必要となる点や、社債の金利負担、税務上の累損解消に伴う法人税の発生などの理由から、経常利益は55億円、純利益は27億円に留まる見込み。

なお発表会では、最近話題を集めている敵対的な企業買収に対して、イー・アクセスがどう取り組んでいくかの説明も行なわれた。

発表された“eAccess Rights Plan”は、一種の“ポイズンピル”(※1)だが、日本の企業にありがちな社長や経営陣が自らの地位を守ることではなく、企業の価値と株主の利益を守ることに主眼を置いているのが最大の特徴だという。

※1 敵対的な買収者が一定割合の株を取得した時点で、市場価格より安い価格で引き受けられる新株予約権を発行。買収者が株を買い進ん時点で株数を増やし、買収者の議決権の割合や持っている株の価値を下げ、同時に買収にかかる総費用を上げるという対抗策。

イー・アクセスに対する買収の提案があった際には、社外の取締役のみで構成される“企業価値向上検討委員会”を組織し、社外の視点から客観的に企業価値を毀損するかどうかを判断。企業価値を下げる可能性が高いと判断した場合は、新株予約権を特定の株式保有者以外の全株主へ発行することが可能になるもの。新株予約権の割り当て時には、特定株式保有者(敵対的な買収者)以外の全株主に対して、1株に付き1個の割合で新株予約権を割り当てるため、株の価値が下がることによって株主に不測の損害を与えないという。

eAccess Rights Planに関して、イー・アクセス代表取締役会長兼CEOの千本 倖生(せんもと さちお)氏は、ニッポン放送とフジテレビを例に上げながら「経営陣をプロテクトするという意味での防御策は世界の基準から見たらとんでもないこと」と指摘。“ホリエモン”ことライブドア(株)の堀江 貴史(ほりえ たかふみ)氏などにも言及しながら「企業の価値を高めるような買収者が出たときには経営陣はすみやかに譲るべきだ」と述べた。



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