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アスク ジーブス ジャパン、事業方針の説明を行なうプレスカンファレンスを開催――「検索サイト第2の選択肢を目指す」

2005年05月10日 19時33分更新

文● 編集部 内田泰仁

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(株)アスク ジーブス ジャパンは10日、都内ホテルでプレスカンファレンスを開催し、2005年度の事業方針などについての説明を行なった。同社代表取締役社長で最高経営責任者の塩川博孝氏はこの中で、同社が提供する検索サイト“Ask.jp”の今後のシェア目標について、3年以内を目標に5%を目指し、短期的な目標としては“市場的存在シェア”である6.8%を、中長期的には“市場的影響シェア”となる26.1%を獲得し、「(検索サイトの)第2の選択肢」というポジションを得たいとした。

プレスカンファレンスで登壇したアスク ジーブス ジャパン、米アスク ジーブスの代表者“Ask.jp”のサービス画面

“Ask.jp”は、2005年2月15日に正式にサービスを開始した検索サイト。同サイトは、米アスク ジーブス(Ask Jeeves)社が米国と英国で提供している検索サイトを日本語版として最適化したサービスで、独自の検索エンジン“Teoma(テオマ)”を用いている。“Teoma”は、検索語に関連性の高い話題の“コミュニティー”と呼ばれるグループを抽出し、独自の順位決定処理により結果を表示するアルゴリズム“サブジェクト・スペシフィック・ポピュラリティ”を採用しているのが特徴。このアルゴリズムは、検索結果の重要度判定時に、検索語と同一のテーマを扱っているサイトからのリンクを評価することで重要度を決定するため、他のアルゴリズムより質の高い検索結果が得られるという。

米アスク ジーブスのエグゼクティブ バイス プレジデント、アポストロス・ジェラスリス氏“Teoma”による検索の仕組み

この日のカンファレンスで、“Teoma”の概要を説明した米アスク ジーブスのエグゼクティブ バイス プレジデント、アポストロス・ジェラスリス(Apostolos Gerasoulis)氏によると、“サブジェクト・スペシフィック・ポピュラリティ”は、Googleで用いられている検索アルゴリズム“リンク・ポピュラリティ”と同時期の1998年に発表された研究論で、当時は実用化は難しいとされていたというが、2000年に同氏がTeoma Technologies(テオマ・テクノロジーズ)社を設立、2001年に同アルゴリズムによる検索エンジンを稼動するための数学的アルゴリズムとサーバーインフラの構築を実現し、“Teoma”が生まれたという。その後、同年の9月11日に米アスク ジーブスとの間で買収が成立し、同年12月、“Ask.com”への“Teoma”導入が行なわれ、現在に至る。同氏はこの中で、米国で同時多発テロが発生した9月11日に買収が成立したことに深い意義を感じていると述べている。

米アスク ジーブスのシニア バイス プレジデント兼アスク ジーブス ジャパン代表取締役、ジム・ランゾーン氏

ジェラスリス氏によると、“Teoma”発表当時、世界には約3600程度の検索サイトがあったというが、現在では、世界的な検索サイトは、“Ask.com”を含む4つにまで絞られてきたという。厳しい競争の中、“Teoma”を採用した“Ask.com”が生き残ってきた理由をジェラスリス氏は、同社のもつ独自の技術によるところだと述べ、米アスク ジーブスを代表して挨拶を行なったシニア バイス プレジデント兼アスク ジーブス ジャパン代表取締役のジム・ランゾーン(Jim Lanzone)氏も「日本市場は技術志向が高く競争が厳しいが、(技術で勝負するのは)望むところでもある」と語り、自社技術への強い自信を示した。

“Bloglines”の説明を行なった米Bloglinesのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのマーク・フレッチャー(Mark Fletcher)氏“Bloglines”の画面

またこの日のカンファレンスでは、ニュースコンテンツやブログの検索/定期購読/公開/共有などが可能なRSSリーダーのウェブサービス“Bloglines”(米アスク ジーブスが今年2月に米Bloglines(ブログラインズ)社を買収し、サービスの提供を行なっている)の概要についても説明が行なわれた。“Bloglines”は2004年12月から日本語版のサービスを開始しており、今後はモバイル版の投入も計画しているという。また、同サービスの今後の展開としては、ワールドクラスの検索機能の構築や、情報源/ニュースコンテンツの多様化と充実化を進め、「21世紀型ホームページの構築」を目指していくとしている。

アスク ジーブス ジャパンの代表取締役社長兼最高経営責任者、塩川博孝氏“Ask.jp”の市場におけるポジショニング(同社が占める位置は図中の右上)“Ask.jp”が狙っていく主要ユーザー層

日本市場における“Ask.jp”の展開について説明した塩川氏によると、“Ask.jp”では、“欲しい情報への行き着きやすさ”と“ヒューマンタッチ”という他社の検索サービスと異なる特徴を強調し、Yahoo!やGoogleなどの先行するサービスがカバーできていない領域を狙って、ターゲットユーザーを520万ユーザーがいると見ている“デキる社員”層にフォーカスしたサービスの充実や展開を図っていくとしている。同氏の説明によると、インターネットや検索サイトのコアなユーザーである“ITオタク”層の人口は約260万人程度で、この層は「道具を使うこと自体を目的としている」ような技術志向に非常に特化したものだという。それに対して、同社がターゲットとしている“デキる社員”層は、「道具は道具として使用する」層だといい、道具を利用して得られる成果に高い関心があり、この層の要求を満たすには高い技術が必要だとしている。

また、2005年の製品展開については、「検索サイトでの第2の選択肢を目指す」ことを念頭に、他社キャッチアップや便利なサービスの拡充、差別化機能の導入と拡充を図り、“Teoma”の強化(キャッシュの導入、更新頻度の向上、ボリュームの拡大)、“Teoma”と“Bloglines”の統合、パーソナライゼーション機能の強化、検索語にマッチした情報のサマリーや購買情報など、単純な検索結果の一覧ではなく、情報自体をダイレクトに表示する“一発検索”機能の強化を進めていくとしている。

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