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キヤノン販売と日本オラクル、中堅・中小企業向けERPパッケージの提供で業務提携

2005年05月10日 18時00分更新

文● 編集部 小林久

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キヤノン販売(株)と日本オラクル(株)は10日、基幹系システムのビジネスで業務提携を行なうことで合意し、中堅・中小企業向けに特化したERP(Enterprise Resource Planning)パッケージをキヤノン販売が市場投入すると発表した。

左から順にキヤノン販売(株)常務取締役ビジネスソリューションカンパニープレジデントの土門 敬二(どもん けいじ)氏、日本オラクル(株)代表取締役社長・最高経営責任者の新宅 正明(しんたく まさあき)氏、キヤノン販売(株)代表取締役社長の村瀬 治男(むらせ はるお)氏

オールインワンで低コストと早期の導入を実現

今回発表になった『キヤノン DECISION SUITE(ディシジョン・スイート)』は、米オラクル社が世界市場に向けて販売している中堅企業向けERP製品『E-Business Suite Special Edition』(以下EBS)をベースにしたパッケージ。キヤノン販売は、これに日本市場特有の商慣習や業務フロー、帳票などを反映したテンプレートを追加し、ユーザーサポートやコンサルティングのサービスを提供する。

DECISION SUITEがターゲットとする市場

DECISION SUITEは、従業員数500人以下、売上額300億円以下の中堅・中小企業をターゲットにしている。ERPシステムを導入する際には、基本的な機能を提供するERPソフトウェアだけでなく、システムを動かすハードウェアやその企業の利用形態に合わせたテンプレートやアプリケーションを追加していく必要があるが、DECISION SUITEは、サーバー、OS、ユーザーライセンス、テンプレートなどがあらかじめ含まれたオールインワンパッケージの形で提供される。導入や運用の手間が減り、導入コストの全体像を見やすくすることで中堅・中小企業が導入しやすくする考えだ。

まずは2005年6月に“会計・販売管理”のパッケージが提供される。その後は年内に“ワークフロー連携”と“ビジネスインテリジェンス”、年末から2006年初頭にかけて“生産管理パッケージ”と“環境管理会計”の各パッケージが投入される予定。

先行して発売される“会計・販売管理”パッケージの価格は1900万円台で、これには、2CPUのLinuxサーバー1台と、OS(MIRACLE LINUX V3.0)、EBSのライセンス料金(10ユーザー)、キヤノン販売の帳票管理ソフト『imageWARE Form Manager』、会計用テンプレート、導入費用などが含まれる。サポートは1年分が付加されており、2年目以降はパッケージ価格の20%程度の料金が毎年加算される。

販売はキヤノン販売と関連会社のチャンネルを通じて行なわれ、2005年からの3年間で合計320セット、100億円の売り上げを目指す。



キヤノン販売のビジネスの方向を変える戦略的な製品

10日に都内で行なわれた記者会見には、キヤノン販売代表取締役社長の村瀬 治男(むらせ はるお)氏、日本オラクル代表取締役社長・最高経営責任者の新宅 正明(しんたく まさあき)氏などが出席した。

キヤノン販売代表取締役社長の村瀬 治男氏

まず村瀬氏は、キヤノン販売の売り上げの中でITサービスの占める割合が急速に伸びていることを述べ、全体の約6割を占める企業向けビジネスの売り上げの中で、50%を超えるようになったと説明した。同氏は2007年にはITサービスで3000円億円以上の売り上げを目指すと公言し、「キヤノン販売をソリューションビジネスに軸を置く、情報サービス企業へと発展させていきたい」と述べた。同氏はその重点課題として中堅企業向けのITサービスを上げた。

日本オラクルとの提携に関しては、中堅・中小企業向けのビジネスを行なっていく上で、将来に渡って新製品やサポートを提供できる信頼のおける企業とした上で、「キヤノン販売自身がEBSのユーザーでその運用に関するノウハウが蓄積されており、製品開発に生かせる」とした。



日本オラクル代表取締役社長・最高経営責任者の新宅 正明氏

一方、新宅氏はキヤノン販売との協力で“大企業向け”というイメージが強いオラクル製品が、いままでカバーし切れなかった中堅・中小向けのERPビジネスを展開していけるとした。また、今回の製品を迅速に市場投入するためには「日本の商習慣に詳しいキヤノン販売のノウハウが不可欠だった」と述べた。

DECISION SUITEの直接の競合は、中堅・中小企業をターゲットにした各種業務パッケージとなるが、新宅氏は同製品を、旧資産を生かしていくのではなく、新しいシステムへの切り替えを推進するものと定義づける。業務パッケージからデータベースに移行することで、業務の統合から情報の統合を推し進めていく考えだ。



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