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JEITA、平成16年度のパソコン出荷実績と“中古パソコンに関するガイドライン”を発表

2005年04月27日 19時25分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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発表会の出席者
発表会の出席者。左は協会専務理事の吹譯正憲(ふきわけまさのり)氏、中央はパーソナルコンピュータ事業委員会委員長で日本電気(株)の執行役員の片山 徹氏

(社)電子情報技術産業協会(JEITA)は27日、東京・湯島の東京ガーデンパレスにプレス関係者を集めて、“平成16年度(2004年度) 第4四半期(2005年1月~3月)”“同 下半期(2004年10月~2005年3月)”および“同 通期(2004年4月~2005年3月)”でのパソコン出荷実績と平成17年度(2005年度)の出荷見通しを発表した。同時に、JEITAのパーソナル情報部会、(社)日本コンピュータシステム販売店協会(JCSSA)の小売事業専門委員会、(社)日本パーソナルコンピュータソフトウェア協会(JPSA)の3者が合意した“中古パソコンに関するガイドライン~安心・安全な普及を目指して~”も合わせて発表された。



■2004年度の総出荷台数は1300万台突破!!

平成16年度 第4四半期/下半期および通期の出荷実績は以下のとおり。

平成16年度(2004年度) 第4四半期出荷実績

総出荷台数
402万4000台(前年比120%)
内訳:国内374万9000台/輸出27万5000台
デスクトップ
180万1000台(同126%)
ノートパソコン
194万8000台(同115%)
総出荷金額
5572億円(同117%)

平成16年度 下半期出荷実績

総出荷台数
713万7000台(前年比118%)
内訳:国内658万9000台/輸出54万8000台
デスクトップ
318万1000台(同123%)
ノートパソコン
340万8000台(同112%)
総出荷金額
1兆75億円(同116%)

平成16年度 通期出荷実績

総出荷台数
1303万9000台(前年比113%)
内訳:国内1207万5000台/輸出96万4000台
デスクトップ
575万9000台(同118%)
ノートパソコン
631万6000台(同107%)
総出荷金額
1兆8522億円(同108%)
平成16年度 第4四半期の形状別出荷台数の推移 出荷金額の推移
平成16年度 第4四半期の形状別出荷台数の推移同じくの出荷金額の推移

この数字についてパーソナルコンピュータ事業委員会委員長で、日本電気(株)の執行役員の片山 徹氏は、「第2四半期からデル(株)が統計に加わっているため、前年比120%のプラス成長を記録している。市場別に見ると、ビジネス系では企業業績の好調を背景にリプレイス(パソコンの置き換え需要)が進んでいる。3月には期末の需要増加傾向も反映され、下支えした。個人市場は従来から回復の兆しが見えていたが、年末の勢いが年明けも継続している。また、小中高校生への“マイPC(1人1台パソコン)”の普及が進み、裾野の拡大が期待される」と説明した。実際、国内出荷台数が1200万台を超えたのは平成12年度(2000年度)以来で、平成14年度(2002年度)から3年連続のプラス成長を続けていることになる。

平成16年度 下半期の形状別出荷台数の推移 平成16年度 下半期の出荷金額の推移
平成16年度 下半期の形状別出荷台数の推移平成16年度 下半期の出荷金額の推移

さらに、2005年度の見通しについて、「2000年から2001年にかけて1300万台以上が企業に出回った。この置き換えが進む」と述べ、その「誘引材料」として、

  • 個人情報保護法全面施行による情報漏洩対策やセキュリティー対策の必要性
  • 職場の生産性向上に向けた電子化の進展
  • 業績回復を背景にした中小企業の投資の拡大

があり、これらを新税制(“IT投資促進税制”/“少額減価償却資産の取得価額の損金参入制度(平成15年度改正)”)が後押しすると予測。

平成16年度 通期の形状別出荷台数の推移 平成16年度 通期の出荷金額の推移
平成16年度 通期の形状別出荷台数の推移平成16年度 通期の出荷金額の推移

一方、個人向けでも“1人1台”の傾向がさらに進むと期待し、「CPUの64bit化やマルチコアCPUが使い勝手を向上させ、ブロードバンド時代にふさわしいコンテンツの充実が(パソコンの)魅力を引き出す。年末から続く個人市場の好調が今後も続く」と楽観的な見通しを示した。

これらの要因を踏まえて、平成17年度(2005年度)の具体的な数字予測を、「総出荷台数は1280万台(106%成長)。売上金額については単価下落の影響もあり前年度並み(1兆8500億円程度)を見込む。これをボトム(最低ライン)として、上方修正を行なうべく業界を挙げてがんばっていきたい」と締めくくった。

平成17年度のパソコン市場の拡大に関するキーワード
平成17年度のパソコン市場の拡大に関するキーワード

最後に記者からの質問に答えるQ&Aセッションで、「(昨年の数字にはデルの数字が入らなかったが)デルの数字を差し引いてもプラスなのか、あるいはマイナスに転じるのか?」と聞かれると、「個別企業の数字は公表しないので、あくまでも雰囲気として答えると、デルを除いても明らかに前年を上回っていたと考える」(片山氏)と、出荷数量の好調感をアピールした。中国における反日感情の顕在化やデモの影響について聞かれると、「生産面では今のところ影響はない。出荷(輸出)については、現時点で影響は出ていないものの、各社とも危惧しているようだ」と懸念を示した。さらに、「中国の話題が出たので聞くが、(日本IBMのパソコン部門を受け継ぐ)レノボは(JEITAに)引き続き参加するのか?」と聞かれると、事業委員会幹事長として列席していた日本アイ・ビー・エム(株)のPC&プリンティング事業部PCパートナー営業部部長の榎本一郎氏が「まだ会社はないけど(笑)、参加します!」と断言し、会場を沸かせた。

■中古パソコンが抱える課題を“ユーザーの目線”で解消

“中古パソコンの安心・安全な普及に関するガイドライン”の概要
“中古パソコンの安心・安全な普及に関するガイドライン”の概要

引き続いて、“中古パソコンの安心・安全な普及に関するガイドライン”についての説明が行なわれた。このガイドライン作成・発表の背景には、一昨年(2003年)で86万台、昨年(2004年)は95万台(いずれもJEITAが把握している数字)の中古パソコン市場の成長があり、この急成長によって利用上の問題も顕在化したという。具体的には、

セキュリティー
データ消去/パスワードの解除の必要性
製品の耐用年数
消耗品や部品の特性劣化/修理保守部品の保有年数
ライセンス
ソフトウェアによって異なるライセンス発行形態
サポート
安全・使用上の注意/OSやアプリケーションの更新ファイル/サポートコスト

の4つの問題に分類できる。

これらを解決するために、JEITAや中古パソコン関連団体、ならびに消費者団体として(社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)が参加してガイドラインを策定。メーカー/販売店/ユーザー(パソコンを手放す方と中古パソコンを購入する方の双方)が理解しておくべき内容を、今年10月1日以降に発売される新製品から明文化していく。

ガイドラインの詳細はJEITAのウェブサイトに掲載されているが、利用者においては、中古パソコンとして手放す際に気をつけるべきこと、中古パソコンを購入する際に知っておくべきリスク/コストなどがまとめられている。

JEITAでは、今後

  • 各業界団体でのガイドライン適用の推進
  • ガイドライン適用実態の把握(適用不十分な場合の原因分析など)
  • ガイドライン内容の拡充(ユーザー登録やライセンスについて)
  • エンドユーザーへの啓発策の検討

などの活動を進めるとしている。

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