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インテル、東京本社内にソフト開発支援のための“インテル ソリューション・センター”を開設――ソフトウェア開発者の64bit環境やデュアルコアへの対応を促進

2005年04月26日 19時31分更新

文● 編集部 小西利明

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インテル取締役 エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部長の町田栄作氏 想定されるソリューション・センターの役割。ソフトウェア各社との協業により、新技術への対応を支援する
インテル取締役 エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部長の町田栄作氏想定されるソリューション・センターの役割。ソフトウェア各社との協業により、新技術への対応を支援する

インテル(株)は26日、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)やソリューション・プロバイダーの64bit IA(インテル・アーキテクチャー)プラットフォーム向けソフトウェア開発を支援するための“インテル ソリューション・センター”を、同社東京本社内に開設、26日に運用を開始したと発表した。最新の64bit CPUを搭載するサーバープラットフォームを設置し、原則無償で利用可能とすることで、64bit CPUやマルチコアCPUに対応したソリューション開発の支援を行なう。

今年を64bit CPUの年として、特にサーバー&ワークステーション分野での普及を推し進める同社にとって、最も重要な課題が企業内のこれらシステムで動作しているアプリケーション資産の64bit化にあるのは明白だ。また同様にマルチコアCPUへの対応(アプリケーションのマルチスレッド化)も、遠からずCPUの主流がマルチコアに移行することを考えれば重要な課題と言える。そこでインテルはワールドワイドで、ISVやソリューションプロバイダー、企業内で業務用アプリケーション開発を手がける情報システム部門に対して、64bit環境やマルチコアCPUといった新しい環境に対応するための、開発支援を行なっている。そうした試みの例が、先日日本でも行なわれた“Intel Developer Forum”のような開発者向けイベントの開催や、同社が力を入れている、IAプラットフォーム向けのソフトウェア開発ツール群の提供である。今回開設されたソリューションセンターも、そうした開発者支援による今後のIAプラットフォームの普及促進を意図したものである。

ソリューション・センターの概要について説明を行なった同社取締役 エンタープライズ&ネットワーク・ソリューションズ本部長の町田栄作氏は、同センターの活動には大きく3つのフェイズがあるとして、“日本市場にあわせたプラットフォームの早期導入”“多様なソフトウェアの動作検証・最適化支援”“エンドユーザー・ソリューションへの導入支援”を挙げた。

同センターにはItanium 2や64bit Xeon MP/Xeonプロセッサーと最新チップセットを組み合わせたプラットフォームが用意される。またサーバーシステムには必須の大規模なストレージや、高速なネットワーク環境も用意される。ソフトウェア開発者は同センターのシステムを、導入や対応を予定するサーバー環境に見立ててテストを行ない、動作検証やパフォーマンスチューニングなどを行なう。高価なサーバーシステムをテスト環境としてISVが導入するというのは現実的ではなく、そうした環境をインテルが用意してくれるというのは、ソフトウェア開発者にとっては朗報だろう。

同センターの概要と、用意されるハード、ソフト、エンジニアについての解説。ハードウェアは最新のプラットフォームベースのものが揃うとのこと
同センターの概要と、用意されるハード、ソフト、エンジニアについての解説。ハードウェアは最新のプラットフォームベースのものが揃うとのこと

また同センターではサーバーシステムだけでなく、同社が開発・販売している開発向けソフトウェア製品『インテル C++コンパイラ』や『インテル VTuneアナライザ』、『インテル スレッド化ツール』なども用意され、IAプラットフォームに最適化されたソフトウェアを開発するための環境が整っている。さらに同社のCPUやプラットフォーム、各種OSやミドルウェアなどに精通したエンジニアによる支援も用意されており、ハードにソフト、支援スタッフの3要素を持って、開発者を支援する体制を整えているという。

ライバルに対するインテルの強みのひとつが、充実した対応開発ソフトウェア群の提供にある。最適化されたコンパイラーだけでなく、パフォーマンス計測ツールや、クラスターシステム向け分析・最適化ツールなどが用意される
ライバルに対するインテルの強みのひとつが、充実した対応開発ソフトウェア群の提供にある。最適化されたコンパイラーだけでなく、パフォーマンス計測ツールや、クラスターシステム向け分析・最適化ツールなどが用意される

また同社は開発ツールの販売などを手がけるエクセルソフト(株)と共同で、5月30日より“インテル ソフトウェア・カレッジ”という開発者向けの有料講習会も開催する。米国ではすでに300を超えるコースが受講できるということだが、日本ではテーマを絞り、“ツール(VTune)”“コンパイラー”“スレッド化”の3点についてのトレーニングコースを実施するとしている。1日のコースで料金は5万400円。

同センターについての説明会では、同社と新プラットフォーム向けのOSやソフトウェア開発で協力関係にある、マイクロソフト(株)、ミラクル・リナックス(株)、日本オラクル(株)から代表者が登壇。自社の提供するOSやソフトウェア製品が、64bit CPU対応を積極的に進めていることをアピールすると共に、インテルとの協業による開発促進を表明したり、自社の開発ラボとインテルとの連携を強化していくとの表明がなされた。64bit対応のハードウェアと対応OSが出そろい、同センターのような開発支援体制も構築されることにより、今後ISVや企業内開発部門での64bit CPU/OS対応も本格化していくことだろう。

マイクロソフト(株)執行役常務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏。64bitやマルチコアシステムをインテルのシステムに積極的に対応させていると述べ、将来の同社開発ラボと同センターの連携を期待するとした ミラクル・リナックス代表取締役社長の佐藤武氏。同センターを活用して、64bitソリューションを拡充。RISCベースシステムからの移行を加速すると表明した
マイクロソフト 執行役常務 エンタープライズビジネス担当の平井康文氏。64bitやマルチコアシステムをインテルのシステムに積極的に対応させていると述べ、将来の同社開発ラボと同センターの連携を期待するとしたミラクル・リナックス代表取締役社長の佐藤武氏。同センターを活用して、64bitソリューションを拡充。RISCベースシステムからの移行を加速すると表明した

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