(株)ピクセラは31日、東京・大崎のゲートシティ大崎で株主ならびに報道関係者を集めて、今年前半に出荷・発売予定の新製品説明会を開催した。発表会では、
- 『PIX-NTTV/P5W』
- シリコンチューナー搭載のノートパソコン内蔵用TVキャプチャーカード(ミニPCIスロット用)
- OEM販売のみ/5月出荷予定
- 『PIX-MPTV/P8W』
- デスクトップパソコン向け2番組同時録画対応TVキャプチャーカード(PCIスロット用)
- 店頭販売&OEM販売/5月出荷予定
- 直販サイト“ピクセラオンライン”での販売予定価格:2万円後半
- 『PIX-DTTV/P1W』
- 国内初のハイビジョン録画・再生対応地上デジタル放送キャプチャーカード(PCIスロット用)
- OEM販売のみ/4月出荷開始予定
- “次世代型ポータブルメディアプレーヤー”(コンセプトモデル)
- デジタルラジオ(1セグメント/3セグメント)や簡易デジタルTV(1セグメント)の受信・再生に対応
- “デジタルラジオチューナーカード”(コンセプトモデル)
- パソコン用デジタルラジオ受信カード(PCカードスロット用)
- 『RecALL』
- 24時間6チャンネル分のTV番組録画を実現する1.1TB HDD搭載のAVパソコン
- 携帯機器と連動した動画配信サービスソリューションを提供予定
- B.T.O.方式でユーザーがチューナー数やHDD容量などを選択できる購入メニューを用意する予定
- 発売時期/価格は未定
という、新製品およびコンセプトモデルが展示・デモンストレーションされた。
同社が開発中というデジタルラジオ受信端末“次世代型ポータブルメディアプレーヤー” | 同じくパソコン用デジタルラジオチューナー | 24時間6チャンネルのTV番組録画が可能という『RecALL』。外観は大きく変更する予定とのこと |
最高経営責任者 代表取締役社長の藤岡 浩氏 |
発表会には、最高経営責任者 代表取締役社長の藤岡 浩氏、専務取締役の池本敬太氏、常務取締役の栗原良和氏らが出席し、同社の役割や狙いを説明した。最初に藤岡氏が挨拶に立ち、「今回発表するのは、将来を明るくする製品。第一に地上デジタルTVのパソコン版。これは従来日本電気(株)が出していたが、録画形態はSD方式だった。今回開発したものはHD方式(ハイビジョン放送を高解像度のまま)で記録できる。技術的なソリューションとして、PCIバス上に暗号化したデータを流すなど、さまざまな改良が必要だが、ALIB((社)電波産業会、アライブ)との協力で、独自に暗号化したデータをPCIバス上に流すことを了解いただいた。今後の新しい流れを作るだろう」「第二に、デジタルTVというソリューションが盛んに取り上げられているが、デジタルラジオについてはこれまであまり取り上げられなかった。今回見ていただきたいのは、デジタルラジオの可能性。5.1chのサラウンド再生やH.264の映像と音声をライブで放送・受信している。東京FM((株)エフエム東京)に協力を得てライブで受信しているもので、録画ではない。デジタルラジオは総務省の支援によりいい方向に来ている」と語り、これらテレビとラジオの将来の方向性を示す製品を通じてピクセラの技術力を積極的にアピールしていた。
『PIX-DTTV/P1W』を手に説明する、営業部長代理の森 佳昭氏 |
続いて営業部長代理の森 佳昭氏が、新製品の詳細についてデモを交えて説明した。ノートパソコン向けTVチューナーカード『PIX-NTTV/P5W』は、従来のチューナーユニット(カン(CAN)チューナー)ではなく、ピクセラの100%子会社で富士通(株)/(株)日立メディアエレクトロニクス/エフエム東京らの共同出資を受けたデジタルチューナー開発メーカー、(株)RfStream(アールエフストリーム)が開発したシリコンチューナー『TA0500ST』を搭載する小型TVチューナー&キャプチャーカード。従来のカンチューナーと比較して、本体サイズも消費電力も1/4程度まで低減できたという。具体的には、同社が従来採用しているカンチューナーのサイズと消費電力が幅56×奥行き25×高さ6mm/1000mWなのに対し、TA0500STは幅21×奥行き15×高さ2.2mm/280mWで、チューナー単体では500円玉より小さいという。PIX-NTTV/P5Wは、このチューナーユニットに富士通製MPEGエンコーダー『MB86395』を搭載、さらにオプションで高画質化回路をサブボードで搭載可能という。
ノートパソコン向けTVチューナーカード『PIX-NTTV/P5W』。上に置いてあるのが高画質化向けのサブボードで、右はシリコンチューナー | ミニPCIスロットをPCIスロットに変換するカードを使って、『PIX-NTTV/P5W』を実際のパソコンに組み込んだところ |
Wチューナー搭載のデスクトップパソコン向けTVチューナー&キャプチャーカード『PIX-MPTV/P8W』は、2万円台後半の低価格でWチューナーの録画・視聴環境を実現する製品。パイオニアマイクロテクノロジー(株)の10bitビデオデコーダー『CM0041AF』とカナダViXS Systems社のMPEGエンコーダー『XCode II-L』、NEC製の高画質化チップ(ゴーストリデューサー/3DY/C分離/タイムベースコレクターなど)を搭載し、2チューナーいずれも高画質なTV録画・視聴が可能になるという。視聴・録画用のアプリケーションも『StationTV G2』を新たに開発し、2画面並列で表示するほか、一方を全画面、もう一方を子画面にするピクチャーインピクチャーの表示でも子画面を自由な位置に移動可能。また、(株)ナノ・メディア/加賀電子(株)と協力して電子番組表(EPG)サービス“REC Station”を開発し、1週間分の番組情報から見たい番組を検索したり、携帯電話からの録画機能も実現するという。
Wチューナー搭載のデスクトップパソコン向けTVチューナー&キャプチャーカード『PIX-MPTV/P8W』 | ピクチャーインピクチャーモードで2画面表示したところ | |
EPG(電子番組表)機能を利用したところ | 高画質化回路の機能を示すデモ。左が高画質化回路を通した画面 |
地上デジタル&BSデジタル/110度CSデジタル放送対応のTVキャプチャーカード『PIX-DTTV/P1W』 |
『PIX-DTTV/P1W』は、独自のコンテンツ保護システムを搭載することで、HD放送を高解像度のまま記録できるのが特徴の地上デジタル&BSデジタル/110度CSデジタル放送対応のTVキャプチャーカード。放送波の暗号方式“Multi2”を受信時にいったん復号し、カードの固有番号を含む独自形式で再度暗号化してからPCIバス経由でHDDに記録する。記録したデータにはカード固有の番号が含まれるので、録画したパソコンからほかのパソコンにデータをコピーしても再生できない。この暗号方式によりARIBの承認が得られたと説明する。OEM供給時には、Windows XP用のソフトウェア(視聴用のデコーダー、データ放送受信用のBMLブラウザー、ARIB準拠のコンテンツ保護ツールなど)をセットで提供する。
『PIX-DTTV/P1W』の特徴 | 『PIX-DTTV/P1W』のコンテンツ保護機能の説明 |
なお、同社では新製品の説明後に製品戦略発表会と題して、デジタル放送対応機器のロードマップも示した。森氏はこの中で、同社ではパソコン以外にも薄型TVやカーナビゲーションシステム、携帯電話、PDAなどの組み込み向けデジタル放送対応機器も手がけ、地上デジタル放送のほかデジタルラジオ/簡易デジタルTV放送の受信・視聴も実現していくと示した。
デジタル放送関連ビジネスの展開予定 | 同社が開発中の次世代型デジタル放送受信機 |