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キヤノン、高速&コンパクトなカラーレーザープリンター“Satera”『LBP5900』『LBP5600』を発表――「カラーレーザーでもトップシェアを奪う!」

2005年04月11日 20時17分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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キヤノン(株)とキヤノン販売(株)は11日、東京・品川の本社ビル(キヤノンSタワー)にプレス関係者を集め、A3対応のカラーレーザープリンター“Satera(サテラ)”『LBP5900』『LBP5600』の2製品を5月中旬に発売すると発表した。価格は、LBP5900が39万8000円、LBP5600は24万8000円。

『LBP5900』 『LBP5600』
“Satera”『LBP5900』“Satera”『LBP5600』

発表会には、キヤノン販売の代表取締役社長の村瀬治男氏、キヤノンの取締役 映像事務機事業本部 事業本部長の中岡正喜氏、キヤノン販売の常務取締役 ビジネスソリューションカンパニープレジデントの土門敬二氏らが出席。新製品の特徴である、コンパクト&高速印刷の実現と、機能拡張システム“MEAP-Lite”などを紹介し、「国内レーザープリンターではシェア29%でトップだが、カラーレーザープリンターに限ってみると他社の後塵を拝している。この製品によって、カラーレーザープリンターでも2006年までにシェアNo.1を奪う」(村瀬氏)と意気込みを見せた。

キヤノン販売の代表取締役社長の村瀬治男氏 キヤノンの取締役 映像事務機事業本部 事業本部長の中岡正喜氏 キヤノン販売の常務取締役 ビジネスソリューションカンパニープレジデントの土門敬二氏
キヤノン販売の代表取締役社長の村瀬治男氏キヤノンの取締役 映像事務機事業本部 事業本部長の中岡正喜氏キヤノン販売の常務取締役 ビジネスソリューションカンパニープレジデントの土門敬二氏

LBP5900とLBP5600は、CMYK4色のトナーを定着させるドラムを並列に配置する“タンデム方式”を採用するA3対応カラーレーザープリンター(カラーLBP)。印刷解像度はLBP5900が1200dpi、LBP5600は600dpiで、どちらもソフトウェア補間による最高9600×600dpi相当の出力が可能。従来のタンデム方式プリンターは、1つのドラムで4色分のトナーを定着させる1D(1ドラム)方式に比べて、高速印刷が可能な半面小型化が難しく本体価格も高くなるが、本製品では幅545×奥行き607×高さ380mm(LBP5900の場合、LBP5600は奥行き588mm)とモノクロレーザープリンター(モノクロLBP)並みのコンパクトさを実現しているのが特徴。

キヤノン調べによる、ページプリンターのカラー化率の推移 カートナージャパン調べの2004年度国内ページプリンター市場
キヤノン調べによる、ページプリンターのカラー化率の推移。2004年時点で23%にとどまるが、本製品の投入によってこの角度が急上昇すると自信を見せるカートナージャパン調べの2004年度国内ページプリンター市場

これは、

  • ドラムから“トナータンク”を分離した新ドラムを開発(トナーは専用カートリッジで交換可能)
  • 新ドラムを斜めに重ねあわせるように配置を工夫し、用紙の移動距離を短縮(両面印刷用ユニットを標準装備)
  • ドラムに印刷データを感光する光学系ユニット“4in1レーザースキャナ”を新設計し、薄型化を実現

などの改良を重ねた結果だという。

また、モノクロLBPで実績のある同社独自の“オンデマンド定着方式”(印刷実行時に必要な部分のみを瞬時に加熱してトナーを定着させることで、ウォームアップ時間をなくす機能)をカラーLBP向けに改良・搭載することで、A3カラーLBPでもウォームアップ時間ゼロを業界で初めて達成した。「カラーLBPの場合、印刷に必要なトナー量がモノクロLBPよりも多くなるため、トナーを包むように加熱する“弾性層”の開発など、独自の工夫が必要になった」(中岡氏)と話す。

これにより、LBP5900ではA4横用紙で毎分30枚、LBP5600は同じく毎分22枚の高速カラー出力が可能。ファーストプリント(印刷開始から1枚目の出力までの時間)もカラーで9秒以下、モノクロでは7.5秒以下という高速化を実現している。

コンパクト化を実現した3つの技術 “4in1レーザースキャナ”の薄型構造 “Color CAPT”と一般的なプリンタードライバーの動作の違い
コンパクト化を実現した3つの技術“4in1レーザースキャナ”の薄型構造“Color CAPT”と一般的なプリンタードライバーの動作の違い

LBP5900はカラー対応ページ記述言語“LIPS V(リップスファイブ)”に対応し、内蔵プリントプロセッサーPowerPC 750CXR-400MHzと標準128MB(最大384MB)の搭載メモリー、オプションで内蔵可能な20GB HDDで、印刷するデータ内容に関わらず高速印刷が可能という。プリンターフォントは平成明朝体W3/平成角ゴシック体W5/Courier/Swiss/Dutch/Symbolを内蔵。

一方、LBP5600はプリント実行するパソコン側でラスタライズ(色分解、イメージ化)、画像圧縮したデータをパイプライン転送しながら印刷することで、標準32MB(増設不可)でも高速な印刷を実現するというプリンティングソフトウェア“Color CAPT”を採用する(Windows 98/Me/2000/XP、Windows Server 2003対応)。

オプションボード『NB-J1』 “MEAP-Lite”の特徴 “MEAP-Lite”の活用例
オプションボード『NB-J1』“MEAP-Lite”の特徴“MEAP-Lite”の活用例

MEAP-Liteは、マルチファンクションレーザープリンター“image RUNNER(イメージランナー)”シリーズが採用した、Javaアプリケーション実行環境(J2ME)で機能拡張に対応する“MEAP(Multifunctional Embedded Application Platform)”を、単機能プリンター向けに開発したもの。LBP5900にオプションボード『NB-J1』(価格未定)を搭載することで、MEAP向けアプリケーションの移植・実行が容易に行なえるという(LBP5600はMEAP-Lite非対応)。NB-J1は、J2ME実行環境のほか、DES/RSAの暗号化アルゴリズムに対応するセキュリティー機能、HTTPサービス、USBホストインターフェース、10/100BASE-TX対応Ethernet端子などを搭載。同社では、例えばUSB接続のICカードリーダーを組み合わせて、印刷実行した後にICカードで個人認証しなければ印刷出力されないことで、他人の印刷結果を持ち去る/印刷出力したこと忘れて放置する、といった情報漏洩の危険を防ぐ“個人認証印刷ソリューション”などを提案していく。なお、当面はキヤノン販売からソリューションとして提供・販売されるが、2006年以降は規格をオープン化し、SIer/ソフトウェアベンダーとのアライアンス(協業)を実現したいという販売戦略を表明した。

発表会後のデモ展示 LBP5900の内部
発表会後のデモ展示では、ライバル社のカラーLBP(タンデム機)を並べて大きさや印刷速度の比較を行なっていたLBP5900の内部。左側にドラムから分離したトナーカートリッジが並ぶ

そのほかの主なスペックは、給紙容量がカセット250枚/トレイ100枚、排紙容量がフェイスダウン250枚。インターフェースはパラレル×1、USB 2.0×1を共通で持ち、LBP5900は10/100BASE-TX準拠のEthernet端子を標準搭載、LBP5600はオプションで増設可能。動作音は動作時52.0dB以下、待機時25.0dB以下。消費電力は最大1300W以下/動作時約493W(LBP5900)または約470W(LBP5600)/待機時約25Wまたは約20W/節電時約9Wまたは約3W。本体重量はLBP5900が52.0kg、LBP5600は50.0kg。

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